NEST OF BLUESMANIA

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音曲日誌「一日一曲」#85 ココ・テイラー「I Cried Like a Baby」(Queen of the Blues/Alligator)

2023-06-25 05:50:00 | Weblog
2009年8月2日(日)

#85 ココ・テイラー「I Cried Like a Baby」(Queen of the Blues/Alligator)





今年の6月3日、73才で亡くなった女性ブルース・シンガー、ココ・テイラーの75年のアルバムより。ナッピー・ブラウン、ポール・デイヴィッドの作品。

ココ・テイラーといえば、とにかくその男勝りの豪快な歌唱で知られる人。「女傑」という呼び名が、彼女ほどハマる人はいないね。

60年代~70年代前半はおもにチェスにて活躍。ブルース界のボス、ウィリー・ディクスンの肝煎りによりデビューし、女性版ハウリン・ウルフのような強烈なキャラクターで、他のブルース・ウーマンたちを圧倒した。

代表曲はディクスン作の「Wang Dang Doodle」。これは60年代を通しての、チェス・レーベルの最大級ヒットとなった。

一度聴くと忘れられないワイルドなシャウト。およそ力のセーブなんてありえない、120%直球勝負の歌声だった。

75年からはアリゲーターに移籍。32年に渡って、地道にアルバムを発表し続けた。遺作は2007年の「Old School」。70代になるまで、ずっと第一線で歌い続けたのは、見事というほかない。

「I Cried Like a Baby」は、彼女が一番脂が乗っていた頃、40才になった年の録音。

アルバム・タイトルの「Queen of the Blues」を名乗っても恥ずかしくないくらい、確たる地位を築いた彼女の、会心の一曲といえる。

とにかく、聴いてみて欲しい。バックの堂々たるサウンドを全て圧倒して余りある、文句なしの咆哮(うたごえ)を。

そして、野獣のような歌声の中にもしっかりと感じられる、きめ細やかな感情表現を。

まさに赤ん坊のように泣き叫ぶココには、ブルースという最もプリミティヴな音楽がふさわしい。

さようならブルース・クイーン、ココ。僕らは、あんたの全身ブルースな生きざまを決して忘れない。その歌声とともに。

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