NEST OF BLUESMANIA

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音曲日誌「一日一曲」#9 スティーヴン・スティルス「Love The One You're With」(Stephen Stills/Atlantic)

2023-04-10 05:00:00 | Weblog
2007年8月18日(土)

#9 スティーヴン・スティルス「Love The One You're With」(Stephen Stills/Atlantic)






スティーヴン・スティルスのソロ・デビュー作「Stephen Stills」から、A面トップ、初ソロ・シングルでもある「Love The One You're With(愛への讃歌)」を。

スティーヴン・スティルスについて、くだくだしい説明など不要だろう。バッファロー・スプリングフィールド、CSN&Yにおいて、リーダー的な存在感を発揮してきたこの男。でもスターというよりは 地道なミュ-ジシャンというイメージなんだな、筆者においては。

いかにもヤサ男なんだけど、彼がおそらく大目標にしていたであろう、エルヴィス・プレスリーみたいな万人向きの人気者というよりは、人によってちょっと好き嫌いの分かれるクセ者タイプ。歌声にしても、誰もが「うまい!」というよりは、評価がふたつに分かれるところがある。

スティルス本人は、ストレートなタイプのスターになりたかったのかも知れないけどね。

でも逆にいうと、それがスティルスなりの「個性」なんだろう。

なんていいますか、ものすごくベタな白人的要素、つまりフォーク、カントリー的なものへの傾倒が一方にありながら、その一方で黒人音楽、とりわけソウルへの入れ込みかたはハンパじゃない。

それは、このデビュー・ヒットを聴けば、よくわかるはずだ。

白人向けにだいぶんフォーキーな味付けはしてあるものの、その躍動感、グルーヴは、まさにソウルのそれ。

アコギやオルガンの響き、女声コーラスなど、寸分の隙もない見事にソウルなアレンジに、ただただ脱帽であります。

アイズリー・ブラザーズ、ボラニー・ブラムレット、ビリー・エクスタイン、ジョー・コッカー、アリサ・フランクリン、エンゲルベルト・フンパーディンク、トニー・オーランド(ドーン)、ミーターズ、サム&デイヴ、シュープリームス、スリー・ディグリーズ、ルーズヴェルト・サイクス、ルーサー・ヴァンドロス‥‥。この曲をカバーしたアーティストたちである。

人種、音楽ジャンルを越えて、ここまで支持された白人作のソウル・チューンは。なかなかないよね。

スティルスの数多い作品の中でも、ひときわ輝く金字塔。文句なしの名曲であります。


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