NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#159 シンディ・ローパー「SHE'S SO UNUSUAL」(Epic 62169)

2022-04-22 05:04:00 | Weblog

2003年5月18日(日)



#159 シンディ・ローパー「SHE'S SO UNUSUAL」(Epic 62169)

シンディ・ローパーのデビュー・アルバム。84年リリース。

遅咲きの個性派シンガー、シンディが齢三十にして初めて世に問うた作品。当時日本でも大ヒットしたから、ご記憶のかたも多いだろう。

あれから、19年。彼女も五十歳目前となったが、現在でも数年に1枚のペースでアルバムをリリース、地道に活動している。

彼女の魅力といえば、その天然(?)のファニーなキャラ、ぶっとんだファッション、そしてなんといっても千変万化のミラクル・ヴォイスだろう。

<筆者の私的ベスト4>

4位「SHE BOP」

彼女の魅力にもうひとつ加えるなら、「ユニークな発想での曲作り」も上げられるかもしれない。

この「SHE BOP」は、わかるひとならわかると思うが、バディ・ホリー歌う「RAVE ON」の本歌取りだ。

それもメジャーではなく、マイナーにおきかえるという「ヒネリ」が入っており、歌詞のほうもシンディ流のエスプリ、シニシズムが加味されて、原曲のイメージをいい意味で裏切っている。さすが。

派手なテクノポップ風アレンジも、当時の流行の「先端」を感じさせます。

3位「TIME AFTER TIME」

アレンジも担当するキーボーディスト、ロブ・ハイマンの作った、哀感に満ちたバラード・ナンバー。

ここでのシンディは、あえて「不思議ちゃんヴォイス」でなく、正統派の唱法でしっとりと歌い上げている。

彼女の引き出しの多さをしめす、好例といえるだろう。

最後に延々と続く「TIME AFTER TIME」のリフレインが、心に迫ります。名曲です。

2位「ALL THROUGH THE NIGHT」

「TIME AFTER TIME」が”静”のバラードの傑作だとすれば、”動”のそれはこの曲。

バック・ヴォーカルをつとめる男性シンガー・ソングライター、ジュールズ・シアーの作品。

しみじみとしたメロディ・ラインながら、リズミックなサウンドにのせて、素直でのびやかなヴォーカルを聴かせてくれるシンディ。

こういったバラード系での真っ当な表現と、ハデな曲でのファニーなハジけぶりが、無理なく共存しているのがスゴいよね。

1位「GIRLS JUST WANT TO HAVE FUN」

1位はやはり、この曲をおいて他にはないだろう。シンディの最初のヒット、世界中のリスナーに彼女の強烈な存在感を知らしめたナンバー。

一瞬、鮮烈なイントロが流れただけで、聴く者の気分が一気に昂揚してしまう、そんなアッパー系のサウンド。

オーヴァー・ドライヴのきいたシンディの声、そしてメリハリのきいたリズムに、思わずこちらのカラダも踊り出してしまう。

邦題の「ハイスクールはダンステリア」ってのは、今となってみれば「何のこっちゃ!?」って感じだが、オンナのホンネをストレートに主張した、当時としてはかなりユニークな歌詞がいい。

惜しくもベスト4には入りきらなかったが、プリンスのヒットのカヴァー「YOU WERE A MINE」、ダイナミックな「MONEY CHANGES EVERYTHING」など、この一枚には他にもいい曲が満載である。

80年代は、マドンナとならんで二大人気女性シンガーのひとりだった彼女。

「女は女らしくあるべし」という常識の呪縛などものともせず、赤裸々な本音で勝負するふたりの勇姿は、いかにも「女性の時代」の到来を感じさせたものだ。

もちろん、力強さだけでなく、女性としての可愛らしさもしっかりと感じさせたところが、シンディの人気の秘密だろう。

アルバム・タイトル通り、やはり、シンディは「ただ者」じゃない。


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