NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#153 ウェスト・ロード・ブルーズバンド「ジャンクション」(ビクター音楽産業 VICL-2039)

2022-04-16 04:55:00 | Weblog

2003年5月11日(日)


#153 ウェスト・ロード・ブルーズバンド「ジャンクション」(ビクター音楽産業 VICL-2039)

永井ホトケ隆率いるW.R.B.B.は75年に解散したが、その8年後の83年、このアルバムで復活する。

レコーディング・メンバーは永井(vo)、塩次伸二(g)、山岸潤司(g)、小堀正(b)、松本照夫(ds)。黄金期の5人が勢ぞろいだ。

現在のホトケ氏のライヴでも演奏されることの多いナンバーが揃ったこの一枚、ファンなら必聴だが、そうでなくてもなかなか楽しめる出来ばえ。

いわば「隠れた名盤」であります。

<筆者の私的ベスト3>

ウェストロードの場合、ジャズ、ジャズ・ブルースのラインより、ピュア・ブルース、ファンク系の音が筆者的には好みなんで、そういうチョイスになりました。

3位「SHOTGUN」

ジュニア・ウォーカーの代表的ヒット。ヴァニラ・ファッジ、BB&Aでもおなじみのナンバーをカヴァー。

ホーン・セクションをバックに、タイトでファンキーな演奏を聴かせる。ホトケのシャウトも絶好調。

現在N.O.で活動中のジュン山岸がアレンジ、ギターで大活躍、センスのよさを見せつけてくれる。

彼のスピーディでスリリングなギター・プレイは、他に「I CAN'T BE SATISFIED」あたりでも堪能できます。

2位「SHAKE YOUR HIPS」

スリム・ハーポのナンバー。典型的ワン・コード・ブギのスタイルでノリまくる一曲。

ジェイムズ・コットンをカヴァーした「BOOGIE THING」などにしてもそうだけど、ホトケさん、こういうブギが実にお好きなようです。

小堀&松本が弾き、叩き出すビートがなんともイカしている。さすが老舗バンド、息の合いかたはハンパじゃない。

おもわず、一昨年のパークタワーでの興奮を思い出しちゃいました。

そしてなにより、ゲストのウィーピングハープこと、妹尾隆一郎のハープがさすがの出来。

もちろん彼は、ウェストロードの面々とは旧知の仲であります。

1位「TAKE ME TO THE RIVER」

なんともシブい選曲。大御所、アル・グリーンぢゃござんせんか!

トム・ジョーンズ、ブライアン・フェリー、キャンド・ヒート、トーキング・へッズなど、白人シンガー&バンドにもカヴァーされることの多い、人気ナンバー。ソウル大好き人間にはたまらない一曲だ。

こちらは伸ちゃんこと塩次がアレンジ。強烈なフックのあるメロディに見事にハマった、ガッツあふれるサウンド。彼のアンニュイなギター・ソロもいい。

一度とりこになると、抜けられらなくなる「ヤク」のような魔力をもった音であります。

本盤にはこの他、その年に亡くなった、マディ・ウォーターズへのトリビュートも2曲、入っている。こちらのほうは、歌の出来が今ひとつなんですが。

ホーンを本格的に導入、きめこまかいアレンジをほどこし、ジャズやファンクの隠し味を加えて、洗練された音を聴かせる先駆者、ウェストロード。

20年前にこれだけのハイ・クォリティなサウンドを生み出していたとは、さすがトップ・バンド。

キレのいい音を、あなたもぜひ楽しんで欲しい。

<独断評価>★★★★