医療と適当に折り合いをつける内科医

医師国家試験浪人後の適当な医療を目指す内科医を追います

感謝力!

2007-02-14 00:51:17 | 日記
今いる形成外科の上司、K先生はとにかくすごい。何がすごいってまぁ聞いてくれ。見てくれは背が高くてダンディでちょっと冗談なんかもかましてきて仕事に厚く、週末はいつも大阪で飲んでいる様な素敵な先生なんです。ところが私が形成を回った初日、縫合をさせてもらっていると糸が切れてしまったんです。力の使い方が悪かったのですが、それを見てK先生は私に
「先生、ちゃんと糸に感謝をして下さい。感謝の気持ちが足りないから切れるんです!」
というわけですよ。そして手術道具を散らかしていると
「先生は道具に対する感謝力が足りません!」
なんていうわけですよ。最初は一瞬何をいっているのだと、思ったりもするのですが何せ台詞が圧巻に面白いので思わず
「もっと感謝して望みます!」
とか言っちゃうわけです。糸や道具に感謝すると確かにうまく事が運びます。
とにかくK先生は感謝が大好きです。物わかりの悪く言うことを聞かない患者は
「あの人はちょっと感謝力が足りません。でもそういう患者さんにこそ感謝しなければいけません」
と諭します。もう1日何十回か「感謝」という単語を聞きます。私ものってきて何度も感謝を使います。すると何だか1日すがすがしい気持ちで過ごせるのです。いいところに気がついて事が進められると
「いい感謝力です」
とほめられます。
よく考えれば道具を片づけてない時、普通の上司なら
「おい、道具が散らかってるぞ。すぐ片づけて!」とか、酷いのになると
「おまえなにしとんねん、道具はよ片づけんかい!このボケ」
とか言われるところを、さっきみたいに
「ちゃんと道具に感謝してください」
なんて言われると気分を害する隙すら与えてもらえない感じがしませんか?こういういい方、いいなぁと思います。先生も言っていましたが、やはり国民全体的に感謝力は落ちていると思います。常に感謝の気持ちで接していれば世の中もっとうまく回ると思うのです。親も子供を叱る時こういう粋な叱り方をして欲しいものです。今の社会の子供の叱り方は明らかに現代社会のストレスのはけ口としての弱者いじめの構造としか思えないのです。弱者いじめはこういうところから波及している気がします。

もう皮膚や縫合のことそっちのけで感謝力の講義を毎日聴いている感じです。先生はあり得ない状況下を想像し、その中でいかに感謝するか、と言うのを常に考えています。車上荒らしにあってカバンと財布を盗まれた時もいかに感謝できるかなど。車上荒らしなんかしなければ生きていけない人たちが居る中で、自分はそんなことをしなくても生きていける、そのことを気付かせてくれたことに感謝、みたいな。切り口を変えることは想像力です。

そういえば神社仏閣なんかのお参りも、今でこそお願いに行くところと皆思っているのかもしれないけど本当は感謝しに行くところでしょう、神様仏様に。でも今時柏手をついて感謝を申し上げている日本人てどれくらいいるんでしょう。ほとんどがちゃっかりお願い事だけをして帰っているんじゃないかな。これはまさに感謝力の衰退を意味している訳ですよね。もう普段から感謝する機会が大変に奪われてしまっている。感謝の機会を増やす為の先人の知恵を次々となぎ倒している気がします。祭もそうです。祭も昨年の収穫に感謝をする儀式であって、来年の豊作祈願は二の次なんですよ。それがいつの間にか「祭は自己表現の場所」みたいな陳腐な事になってきた。感謝の気持ちで祭れば本当に楽しいでしょうに。今年の夏はそのつもりでどこかに参加したいものです。
とにかく感謝力、今年に入ってマイブームです。楽しくなってきます、いろんなことが。とりあえず口に出していってみるといいです。

1 コメント

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とうとう出ましたか! (りっきー)
2007-02-14 21:21:34
いいですねぇ。感謝力!
とはいえ、あれから感謝普及する機会がないです。

やはり、今週末のY君との飲み会から手始めに広めたいものです。
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