映画を観たよ

ただ今、休止中。
その内戻ってくる予定です

潜水服は蝶の夢を見る

2008-02-28 | サ行の映画
正直、思っていた作品と違いました。
淡々としていて、言われている「感動作」とはちょっと違う。
いつもだったら、私の中ではどちらかというとあまり・・・って思ってしまうタイプの作品です。
でも今回はなんだか何かを見つけられたような気がしました。

いきなりジャン=ドーの目線にほおり出されるこの作品。
視界は悪く、何が起こっているのかはわからない。
そしてわかることは彼は体が動かず、見ることと聞くことしか出来ないということである。
片目を通して彼の見える世界がいかに小さいのかがよくわかる。
右にいれば誰も見えず、涙が溢れればその世界は曇る。
ジャン=ドーの気持ちは想像以上の深いところにあるのは当然。
彼は最初、自分を憐れみ蔑んでいた。
自分自身で気持ちをコントロールするのだから、その気持ちのまま一生を過ごすことも出来る。
でも彼はそうしなかった。
だって、自分には想像力と記憶がちゃんと残っていることを知っていたから。
人間なんだもん、せっかくの自らの想像力と記憶を贅沢に使えばいい。
ここ以外の場所に行けないのなら、自分の中で行けばいい。
それを知るまでの過程が短くもあるります。そこには相当の葛藤があるだろうから、ちょっと物足りなさも。
でも私はある意味、彼の中で何かが突然吹っ切れたからのように感じました。
違うかもだけど、そういうことってあると思うから。
それに彼の周りには素晴らしい人々と、忍耐強い人々がたくさんいたしね。
だからかこの映画には嫌味が全くなくって、どこか温かさも感じてしまうくらいでした。

その後に瞬きを使って、本を書き上げる。
その方法は途方もないけど、彼の努力と精神力以上に周りの人々のおかげが何よりも大切。
だってこの気持ちの変化だって、彼一人じゃ出来なかっただろうからね。
文章はどこか小難しかったりもしたけど、でも美しい言葉だったと思う。
こんな風に生きた人もいたんだなって思って。
彼の気持ちこそ蝶になりはばたいたのかも。そして私たちの目の前まで飛んできたのかな。
日々を今のように「生きている」うちにはやっぱり気づかないものってたくさんあると思います。こういう映画を観るとそういうことをすっごく感じる。
何かが戻っていくようなラストの氷山のまき戻しが印象的でした。
そんな風に感じたりして、すーぅっと心に残った作品でした。
・・・自分で書いててよく分からず伝えにくい今回の感想でした(苦笑

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18 コメント

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Unknown (mig)
2008-02-29 22:40:53
なななちゃん☆

コメントTBありがとう~。
これ、結局アカデミー賞、逃しちゃったのよね。
わたしはヘンな状況で見たせいもあるけど
そこまで入り込めなかったの、、、
いい映画だとは思うんだけど、ネ。
でも主演のジャンがやっぱりすごかったなぁ。
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生きるっ (swallow tail)
2008-02-29 22:42:12
なななちゃん、こんばんみぃ~。
(↑古い??)

そして、お帰りなさい!!
エジプトを満喫してこれたみたいで良かったわ~。
スワロは小学校の時は「世界不思議発見」のエジプトの回は欠かさず見ていたから
正直、ピラミッドの写真には萌えたわ(照)
「デカくなりそうだから角度を変えた」って言うのがいいよね。
そういうラフさって大事よね。

>彼の努力と精神力以上に周りの人々のおかげが何よりも大切。
この作品ってジャン=ドーの苦労した様子がかなり割愛されているから忘れがちだけれども
周囲のヘルプも忘れちゃいけないのよね。
特に、執筆を手伝った出版社の女性は縁の下の力持ちだよね。
よく言えば彼女とのエピソードをもうちょっと濃く描いてくれたらよかったのに・・・

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こんばんは (はらやん)
2008-03-01 19:23:29
なななさん、こんばんは!

普段生活していると気づいていないことに、映画を観ていて時折気づかされることありますよね。
本作もそういう感じがしました。
見ること、話すこと、触ること、何気にやっているけれど、とてもそれで受ける感覚は大切なもの。
そういうのを改めて気づかされました。
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こんばんは♪ (きらら)
2008-03-01 22:21:45
なななちゃーん
またまた多摩センにいるよー
花粉がすごいかと思ったけど、意外と平気だった☆

んで、この作品。
私は、はまれなかったんだよね。。。
今思うと、彼目線じゃないサイドストーリーも見たかったな。なんて。。。でもそうするとありきたりっぽくなっちゃって、
この作品は”ありきたり”じゃなかったからこうやって評価されている部分もあるもんね。
でも映画のすごさや、ジャン・ドーという人のすばらしさってのはよく伝わってきました!
自分を憐れまない、、、ってふつーに私でもなかなかできないことだもん!
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こんばんは (未来)
2008-03-01 23:30:05
なんだか不思議な感覚・・・・
大きな感動というより、フワッとした感じでした。
穏やかな哀しみ・絶望から希望に変えていく、
ジャンの精神力はスゴイなと思います。
‘想像力と記憶’~改めてその素晴しさに気付きました。
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コメントありがとうございます (ななな)
2008-03-02 18:21:33
migさん
何部門かノミニーされてたけど、残念でしたねー。
でもmigさん結構すごい状況で観ていましたよね!
私だったらもう絶対寝ちゃう。
だってお昼寝には勝てないもの(笑
いい映画だけど・・・っていう感想が多い気がします。
その気持ちもすごくわかりますよー。


swallow tailさん
スワロさーん、ちゃんと帰って来れましたよー。
萌えてくれましたか(笑
私も同じくエジプトの回は見ておりましたよ。
んであのお姉さんになりたかった!今でもちょっとなりたい(笑
ピラミッドって別に奴隷を使って作ったわけじゃないらしいから、なんだか変なトコがラフ~。
んでもそんなトコがまたステキです。

結構いろんなことがあっさりと描かれていた映画でしたよね。
そこに物足りなさを感じちゃうのもわかります。
どうしてもジャン=ドーの生き方に焦点を当てちゃってるから。
執筆した女性の苦労や大変さなんて、もうそれだけで映画に出来ちゃいそうなものですものね。
この人も強い女性ですわ。
絶対私にはムリですもの~!!
でも人間その状況になればできる??
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コメントありがとうございます (ななな)
2008-03-02 18:27:50
はらやんさん
普段だと、もう絶対考えないことだらけでした。
日々の自分の生活だけでいっぱい、いっぱいでございます。
ホントはらやんさんの仰るとおり、普段何気ないことがとっても大切でそれを感じ取れることは幸せなことですよね。
どんな状況であれ、それは強く思いました。
こういうことをじんわりと考えられるところが、この映画の素敵なとこだと思います。


きららさん
おぅ、まだ花粉は来てない感じ?
私は後1ヵ月後くらいに行く予定です♪
その頃には桜が満開になってたらいいな~!

うんうん、きららさんの言ってることもわかります。
彼目線だとどうしても淡々と一方になっちゃうけど、周りの人たちも相当苦労しているだろうからそんなところも知りたかったですよね。
でも「ありきたり」な映画じゃないからこそ、こういう人のすごさって言うものが真っ直ぐ伝わってくるのだと思いました。
私も自分憐れないなんてムリ・・・今日もバイトで「自分かわいそうー」って思いましたもの。
もっと気持ち的に強くならないと!

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コメントありがとうございます (ななな)
2008-03-02 18:32:26
未来さん
大きな感動が来るんだろうなーって、正直予想していました。
でも観終わった後の気持ちはちょっぴり清々しいくらいのものでしたよね。
人間の持つ力や状況を打開するための前向きな精神は、ホントすごいなーって心から思いました。
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こんばんわ (睦月)
2008-03-02 22:00:03
≫だからかこの映画には嫌味が全くなくって、
どこか温かさも感じてしまうくらいでした。

ハンディを抱えた人を題材にした作品って、
どこかお涙ちょうだいを狙っている感じがイヤらしく
思ってしまうのですが・・・この作品は感動の
押し付けが感じられなくて、逆に清々しさを覚えた
ほどでした。

ところで、エジプトからの無事の帰国、お帰り♪
私も6月あたりに行って来ようと思ってるの。
先日映画『ジャンパー』を観たんだけれど、
スフィンクスの頭の上でお茶するヘイデンくんの
シーンがあって、「早くエジプトにいきたーい!」
って思ったよ。私が行くとき、またアドバイスを
くださいねー!よろしく♪
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蝶になりたい (sally)
2008-03-03 00:17:42
なななさん、こんばんは♪
エジプトからお帰りなさーい。いいなあー。
私もこれ以上この国にいると窒息しそうなので(?)、
近いうちどこかに脱出したいです^^

彼の中で何かが吹っ切れた瞬間、
カメラの目線も変わったのがすごく印象的でした。
そうそう、氷山のまき戻しも・・・。
淡々としているのに、何だかじーんとしてしまう
作品でした。
想像力に精神の自由があるなんて、
素敵な考え方だなーって。
妄想好きの私には^^
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