once ダブリンの街角で

心地よい。
何となく身を委ねたくなる音楽ばかり。

ダブリンでのステキな出会い♪
ホントにほとんどが歌で占められているので、どこかＰＶを観ているような感覚になりました。
でもそこにはストーリーがしっかりあって。
なんでもない日常を淡々と描いているんだけど、最後まで観るととてもステキなことがあって。
心にすぅーっと染み入るような作品でした。
彼らの出会いは「恋」と呼ぶにはどこか頼りなくて、多分単純に「小さな出会い」っていうのが一番似合うと思います。
初めて会ったときはこの二人はどうなっていくのかなって少し心躍ったけれども、ストーリーが進むうちにそういう関係にはなれなさそう。
もちろん二人で幸せを掴むのは可能だし、もしかしたらその方が幸せになれたかもしれない。
そんな淡い希望もあったけど、でも彼らが選んだ道は違ったのよね。
一緒にいれたらよかったのにって思ったけど、それは彼らが自分自身で希望を見つけるために選んだから。
目の前にある幸せを選ぶことも大人の選択だと思う。
でもだからこそ二人が過ごした日々が輝いて見えてくると思うのよね。
ラストはきゅんと切なかったけど、とても希望があるように感じたからどこかほっとしたし、何となく笑顔になってしまいました。
特にピアノがお家に来たときは、ほわって何かが灯ったように温かくなりましたよ。

そんなステキなストーリーをもっとステキにしているのがたくさんの音楽。
その歌詞が見事に彼らの心情を代弁している時もありました。
言葉にしてしまえば薄くなりそうだし、恥ずかしくなりそうなものを音楽に乗せて伝えていく。
その音楽は時に心地よくて、時に悲痛で、時に切なくて。
入りそうで入り込めない二人の間の溝は、音楽を通してだけとても近づいていくのですよね。
この二人ってもしかしたらお互いの名前を知らなかったかもしれない。
一度も呼び合わなかったし私たちもわからなかった。
でもそれを不思議に思わなかった。だって二人は音楽を通してつながっているってわかってたから。
音楽にするからこそ、淡々としたものの中に何か迫ってくるものがあったと思います。
女の子が初めて歌詞を付けた「If You Want Me」なんかはとても気持ちがこもっていたな。
でも映画の中で一番印象的な曲はやっぱり「Falling Slowly」
観終わった後になかなか頭から離れなかったよー。
それから主演のグレン・ハンサードさんとマルケタ・イルグロヴァさんににTIFFにてお会いしていたのですが、いきなり目の前にしたので「どちらさん？？」って思っていたのでした。
ので映画を観て「あっ、見たことある」ってなって、やっと気づいてびっくりしました。