つぐない

壮大な悲恋は・・・ちょっぴり苦手です。

美しい音楽にぐっと心掴まれました。
タイプライターの音が美しいピアノへと変わっていく。
夏の日差しと、うだるような一日。
ただそれだけなのに、何かが起こりそうな予感がしました。
そんな最初の掴みはとってもよかったのですが、後半になるにつれてどうも・・・。
セシーリアとロビーの悲恋はわかります。
たった一つの嘘が彼らを死ぬまで翻弄してしまった。
ただ私はそういう壮大な悲恋が苦手だからか（苦笑）彼らのことは正直どうでもよかったのです。
そういう運命にあったんだから、仕方ないとも思う。
乾いている意見だけど、壮大な悲恋を観るといつもそう思ってしまいます。
ただその運命の引きがねになったブライオニーには、どうにかしてあげられないかしらと思ってしまいました。
自身を行いを省みて、精一杯の出来ることをして最後まで自分を責めていた。
しかし私は彼女が全て悪いとは思えなかったです。
この映画のほとんどは彼女の目線から見た人々の気持ちが混じっているため、映画の中で彼女が責められるのは当たり前なのですが、少し引っ掛かりがありました。
彼女の小さな恋心は嫉妬ともいえない感情を生み出した。
彼女が見てしまった光景は、多感な彼女にどれほどの影響を与えたのか。
ブライオニーはロビーを陥れようとも捉えられるし、純粋にその時はロビーが犯人だと思っていたのかもしれない。
なぜそう言ったのかは「わからない」と言っていたけど、そんな理由じゃ許されるわけでもないけど、でもきっとそうだったんだと思う。
どちらにしても彼女は言葉に出来ない感情をもった故に、それをどうにかしたかっただけなのだ。
見たままのことを伝えただけだ。言葉一つですべては変わる。
少女の無垢な思いの恐ろしさ、それを償うために彼女は人生を捧げた。
でも上手くいえないけれど、セシーリアとロビーにも非はあると思うのよね。
そんな気がしてならない。
なのにブライオニーが後生に至るまで苦しみ続ける姿が痛々しかった。
なんだか結局は誰も救われてない気がして、観終わった後は苦しくなった。
映画としては素晴らしいと思うのですが、なんだかちょっと色々引っかかってしまいました。

ほとんど主役のシアーシャ・ローナン。
彼女の姿がとてもキレイでした。
お庭で遊んでいて、光が彼女にあたると透き通る美しさ。
3人の女優さんがブライオニーを演じているのですが、全く違和感なかったです。
キーラは相変わらず全体が薄いですねー。
こういう役柄と時代がとてもよく似合うのですが、やっぱり好きになれない。
やっぱりあの口元が苦手ー。