東北電力、東京電力管内で節電が始まってから一週間になる。大口需要企業はもちろん一般家庭の協力もあって、発電能力に余裕を持って目標をクリアしている。計画停電を避けるためにやむを得ず始めた節電であるが、いったん決まればおとなしくそれに従う従順さは見上げたものである。
しかし、節電意識が高まったせいで体調を崩すお年寄りが増えているのは問題である。クーラーもつけずに暑いのを我慢するのは、お年寄りにとって命取りになる恐れもある。どうか無理をしないで欲しい。老人になると発汗作用が衰えて体温調節が難しくなり、喉の渇きにも鈍感になる。そのために本人が気づかないうちに室内で熱中症に陥ることが珍しくないのだそうだ。
それを防ぐために室内に温度計を置き、28℃を超えたらクーラーを稼動させることを専門家は勧めている。ボタンがいっぱいあるリモコン操作が難しい老人のために、電源を入れる切るだけがはっきり分かるリモコン・デザインも必要だろう。
これとは別問題であるが、節電に対する誤解もあるようだ。節電の目的はピーク時の電力需要が発電能力を上回らないようにするためだから、電力使用が少なくなる時間帯まで節電する必要はない。街路灯の点灯をを極端に減らして夜道を暗くするのは考えものだ。それによる治安悪化の方が怖い。
電力は作り貯め、ストックができない特殊な商品だから、その性質を良く理解して賢く利用し、暑い夏を乗り切りたいものである。