先ほどまでBS11で放送されていたアニメ
ガールズ&パンツァー
http://girls-und-panzer.jp/
今回は戦車道全国大会2回戦と思わせておいての
・前回、入院したと伝えられた冷泉麻子のおばあさんのお見舞い
・大洗女子学園のチーム交流と新戦車探し
・主人、西住みほの過去話
という事で2回戦のアンツィオ高校(イタリアがモデル)戦は30秒経たず終了(東京MXでの放送後に『アンツィオ戦はコミック版でお楽しみ下さい』とのアナウンス有り)という内容でしたが、アンツィオ戦以外の内容が濃すぎて非常に良かったです。
今回のお話の目玉の一つだった
新戦車探し
元々大洗女子学園の戦車道チームの戦力が弱く、劇中でもそのことから過去の書類を頼りに残されているであろう戦車を探すことになった訳ですが登場したのが
・IV号戦車用の長砲身43口径75mm砲(物干し竿に使われていた)
・シャールB1bis(第二次大戦前にフランスが開発・装備していた重戦車、運用面その他の問題から目立った活躍が出来ず)
ともう一つ
・大洗女子学園の学園艦の艦底倉庫に眠っていた謎の戦車
この謎の戦車が東京での放送後からガルパンファンの間で話題になりました。
『あの戦車はポルシェ・ティーガーではないか?』
と。
そのポルシェ・ティーガーに触れる前にティーガー戦車に触れておこうと思います。
ドイツのVI号戦車、通称「ティーガー」は当時としては比類なき火力と装甲を誇り連合軍を圧倒しました。
その圧倒的な存在感から第二次世界大戦時のドイツの戦車を代表する顔となり映画「プライベート・ライアン」で主人公の部隊と死闘を演じたりもしていました。
ポルシェ・ティーガーはそのティーガー誕生の過程で生まれた異端の戦車なのです。
1941年に88mm砲を搭載する重戦車の開発が決まり、二社が試作に名乗りを上げました。
一つはそれまでも戦車などの開発を行ってきた自動車メーカーのヘンシェル社、もう一つがかの
フォルクスワーゲン・ビートル(世界で最も売れた大衆車、その元はナチスドイツの国策自動車「国民自動車」でした)
の設計を手掛けたフェルディナント・ポルシェ博士が設立した自動車メーカーのポルシェ社でした。
通称ポルシェ・ティーガーはこの時ポルシェ社が提出したポルシェ博士設計のティーガー戦車の試作案
「VK4501(P)」
http://ja.wikipedia.org/wiki/VK4501(P)
の事なのです。
では何故この戦車が異端と言われるのか?実はこの戦車
「世界初の電動ハイブリッド戦車」
なのです。
ポルシェ博士は故障が頻発するトランスミッション(当時の技術では故障しない重戦車用のトランスミッションの製造が困難を極めた)の解決策として
変速機の不要な電動モーターで戦車を動かす
という途方もないアイデアを思いつき、それをポルシェ・ティーガーで実用化したのです。当時はまだ大容量のバッテリーがなく
車載のガソリンエンジンで発電機を回してそこから得られる電力でモーターを駆動して戦車を動かす
という機構を採用。
この特殊な機構の為に砲塔が車体の前方ギリギリに配置されている(その為車体の側面に運転手と通信士用のハッチがあった)のでヘンシェル社のティーガーとの区別は遠目からも容易だったりします。
そんな特異な戦車だったポルシェ・ティーガーでしたが、技術的に未熟だったハイブリッド電動駆動の機構が仇になり故障を頻発。
性能的にもヘンシェル社の試作戦車に劣っていたためにポルシェ博士は改良を試みたモノの最終的にはヘンシェル社のプランがティーガー戦車として採用されポルシェ博士の試作戦車は不採用になってしまいました。
僅かに作られた試作車輌がその後実戦に参加したと記録の残るポルシェ・ティーガー。
そんな幻の重戦車がガルパン本編に登場したことに皆が驚いたのでした。
余談ですが、この電動戦車を描いた(日本でおそらく唯一の)マンガが存在したりします。
スタジオジブリの宮崎駿監督が自身が模型誌『モデルグラフィックス』に寄稿していたミリタリーマンガ
「宮崎駿の雑想ノート」(映画「紅の豚」の原作がこの作品集の一編『飛行艇時代』だったりします)
が単行本化された際に
「豚の虎」
というタイトルでポルシェ・ティーガーを題材にした描き下ろしマンガを手掛けているのです。
自分もこの「豚の虎」でポルシェ・ティーガーの存在を知ったのですが、異端の重戦車が21世紀の日本のアニメで蘇ったことに驚きを隠せませんでした。
次回は西住みほにとっても因縁の相手
「プラウダ高校」(旧ソビエト連邦がモデル、使用する戦車もソ連製戦車)
との戦いという事で今回登場した新戦車達の活躍も含め次回のガールズ&パンツァーが非常に楽しみです。