Lespedeza Museum of Photography レスペデーザ写真美術館

カメラマンな管理人のおたく趣味の雑記と二次創作&コスプレ写真のブログです。Lespedeza(萩)の花言葉は柔軟な精神。

二次創作:ガールズ&パンツァー「その名は“蛍”」

2012年11月19日 22時50分00秒 | 二次創作小説

何年ぶりかの二次創作小説、ガールズ&パンツァー6話以降の妄想ネタになります。

 


 

「困りましたね」

「そうですね」

「…」

「みぽりん、どうしよ?」

「うーん…」

西住みほ達大洗女子学園あんこうチームの面々が頭を抱えている。

戦車道全国大会一回戦にてサンダース大学付属高校に辛勝したものの、大きな問題が起きたのだ。

アヒルさんチームことバレー部チームの八九式中戦車がM4シャーマンとの戦闘で大破、バレー部全員軽傷で済んだものの八九式の修理が次の試合までに間に合いそうにないと判明。

『次の試合をどう戦うか?』

トレーラーに載せられ修理工場に運ばれる直前の八九式を前に思案に暮れていたのだ。

とそこへ

「西住、みほさんね?」

と尋ねる声が。

あんこうチームの面々が声の方に目をやると神妙な面持ちのサンダース大学付属高校チームの隊長ケイとNo.3アリサの姿がそこにあった。

「ケイさん、それにアリサさん、御用ですか?」

「通信傍受の件、ごめんなさい!」

みほに声を掛けられ、深々と頭を下げるアリサ。

「私からも謝るわ、本当にごめんなさい」

そう言ってケイも深々と頭を下げる。

突然の事に驚く大洗女子学園の面々。

「そ、そんな!私たちだって携帯で連絡とったり秋山さんの潜入活動もあったし、私たちそこまで謝られる義理はないですよ。だから顔を上げて下さい」

とみほが答える。

「そうですよ、戦車道のルールブックには傍受機を打ち上げてはいけないと書いてないんですから」

と五十鈴華がフォローする。

「違うんです」

顔を上げたアリサがそっと口を開く。

「え?」

「私たちサンダース大学付属高校は通信傍受機を使う戦術は取らないと決めていたんです。けど、勝利が欲しい一心で私の独断で傍受機を使っていたんです」

「それじゃケイ殿は傍受機の存在を知らなかったんですか?」

「ええ、その通り。私はアリサの指示を勘が鋭いとばかり思っていて傍受機の存在は思いもよらなかったのよ」

秋山優花里の問いにケイが答える。

「はっきり言って私の監督不足。いくらルール違反でないとはいえ、こんな状況で勝ってたら目覚めが悪かったわ」

「あのう」

武部沙織が申し訳なさそうに声をあげる。

「なにかしら?」

「アリサさんの処分とかもう決まっちゃってますか?」

「え?」

沙織の言葉に驚き、顔を見合わせケイとアリサ。そして気まずくなるケイと自分の処分がどうなるかに思いが及び唇を噛むアリサ。

そんな2人を見て慌てたのは沙織の方だった。

「あ、違うんです!ケイさんにはアリサさんの処分をして欲しくないんですよ!」

「いいんですか?」

沙織の言葉に驚くアリサに黙ってうなずく冷泉麻子。

「西住さん、いいの?」

「もちろんですよ、最後はお互い死力を尽くして戦ったんです。恨みっこなしです。いいよね、みんな!」

ケイに答えるみほの言葉にあんこうチームの面々が同意する。

「あ、ありがとう!」

大洗女子学園の寛大さに思わず、涙ぐむアリサだった。

そして

「次に戦う時は最初からズルなしでいきましょう!」

「もちろんよ!」

互いにかたい握手を交わすみほとケイだった。

「それにしても…」

そう言ってケイが八九式が載せられたトレーラーに目をやる。

「こんな旧式戦車でアリサのM4と相打ちに持ち込むとはねぇ」

感嘆の声をあげるケイ。彼女のいう通り八九式が大破したのはアリサのM4シャーマンと相打ちになった為で無線傍受が出来なくなったサンダースは作戦の柔軟的な変更が出来なくなり最終的に大洗に敗れたのだった。

「でも、こんなに壊れたんじゃ次の試合までに修理間に合うの?」

「ギクッ」

ケイの言葉に固まるあんこうチームの面々。ケイの推察通り八九式の修理は次の試合に間に合わないのは確定状態だったのだ。

かといって他校に内情をおいそれとしゃべる訳にもいかず、答えに苦慮する事に。

そんな様子を見てケイが声をあげる。

「オッドボール三等軍曹!」

「は、はい!」

ケイが優花里がサンダース大学付属高校にて潜入活動を行っていた時の名前を高らかに呼び、思わず反応してしまう優花里。

「この際だからお互い隠し事はなしにしましょう、さあ正直に答えなさい!」

「い、Yes Ma'am!!」

ケイに言い寄られて、現状を洗いざらい白状するしかない優花里だった。

「…なるほど。そういうことだったのね」

大洗女子学園の置かれた状況を聞き、少し考えこむケイ。そしておもむろにアリサに声を掛けた。

「アリサ、部隊編成の都合で予備に回しているファイアフライが1輌あったわよね?」

「はい」

「予備のファイアフライの籍を外して大洗に譲渡する準備を進めて頂戴」

「え!?ファイアフライを彼女らにあげるんですか?」

「もともと予備に回していて使い道もないし不満はないでしょ?」

「それはそうですが…」

「なら早くお願いね」

「はい!」

そんなケイとアリサのやり取りに驚いたのはあんこうチームの面々だった。

「そ、そんな勿体無いですよ!」

驚くみほ。

「確かにファイアフライが大洗に加われば戦力の増強にはなりますが、申し訳ないですよ」

と優花里。

「お気持ちはありがたいですが」

と戸惑う華。

麻子は新しい戦車がくるというのでまんざらでもない感じ。

「私が知らなかったとはいえ無線傍受されるという圧倒的に不利な条件を覆して私たちに勝ったその健闘を讃える為と、アリサを許してくれた礼がどうしてもしたいのよ。ダメかしら?」

「正直すごく嬉しいです、けどいいんですか?」

「女に二言はないわよ?」

そんなみほとケイのやり取りに沙織が割って入る。

「あのう、ケイさんの申し出は嬉しいですしみぽりんは是非受けるべきだと思うんですが、バレー部の皆さんがどう思うか…」

「私たちがどうかしましたか?」

声を掛けたのはアヒルさんチームの運転手、川西忍だった。

あんこうチームとサンダースの会話の場にすっと現れたバレー部の面々に驚く華。

「バレー部の皆さん休んでなくて大丈夫ですか?」

「ちょっと痛いですけどね。八九式が送り出される前に一目見ておこうと思って」

華の言葉に答えるバレー部チームリーダーの磯辺典子の包帯が痛々しい。

他の面々も絆創膏やら包帯やらで結構な姿になっていた。

「それで私たちがどうかしたんですか?」

アヒルさんチームの砲手、佐々木あけびが再び尋ねた。

「それがですね…」

みほはバレー部に事の次第を丁寧に説明した。

「なるほど、大破したこいつ(八九式)の代わりにサンダースの戦車を譲渡してくれると」

事情を理解した典子が少し考え込む。

「機種転換だって楽じゃないですしダメなら断りますよ?」

心配そうに問いかけるみほ。

「いえ、やらせて下さい。この子(八九式)も好きでしたけど、新しい戦車にも興味ありますし、チャレンジしたいんです」

典子はそうはっきり答えた。

「このまんまじゃ皆さん頑張ってるのに自分達だけ遊びほうける事になりますし、そんなの我慢出来ません」

「ずぶの素人だったのに戦車の乗り方を憶えられたんです、新しい戦車にだってすぐに乗りこなせてみせます!」

あけびと忍が立て続けに答える。

「あれ?妙子さんは?」

ただ一人返答をしない近藤妙子を気に掛けるみほ。だが当の本人はといえば

「んふふ~乗れる(はあと)憧れのシャーマンに乗れる(はあと)」

と完全に舞い上がっていた。

(ああ、近藤殿はシャーマン大好きだったんだっけ)

妙子のシャーマン好きを思い出し、半ば呆れる優花里だった。

「そうとなれば話は決まりね」

ケイが話を切りだした。

「一両日中には大洗にファイアフライト付属品と弾薬類を送るわ。楽しみにしててね」

「はい!」

ケイの言葉に元気良く応えるみほだった。

「バレー部一堂、ファイアフライが届いたら早速機種転換訓練だ!」

「「「おお!!」」」

ケガの痛みをモノともせず、バレー部の元気な声があがる。

「西住殿、良かったですね」

「はい!」

優花里の言葉に元気に応えるみほだった。

 


 

あとがき:ガールズ&パンツァーにはまり色々と話をしたり聞いたりしている中で

「明らかに能力的に見劣りするアヒルさんチーム(八九式中戦車)をどうするか?」

というネタを考えてる中でこの話を思いつきました。

実際の展開がどうなるかまだ判りませんが、大洗に新しい戦車が来て欲しいなぁという思いだったりします。

関東では11月20日の未明、地元だと22日未明(BS11では24日)に放送予定のガルパン第6話「1回戦、白熱してます!」、今から非常に楽しみです。

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