象が転んだ

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「サイコパスインサイド」に見るサイコの脳と遺伝と環境”その6”〜サイコパスの冷酷なる共感

2018年03月12日 16時31分07秒 | サイコパス

 何時もの様におさらいです。
”その1”では、サイコの脳(冷めた脳)を、”その2”では、悪の遺伝子が衝動殺戮に、サイコの脳が計画殺人に結び付き、環境因子がそれら悍ましい犯罪行為を決定付け。
 ”その3”では、サイコの脳と悪の遺伝子が絶妙にブレンドされ増殖して行く事を。”その4”では、サイコの99%は過酷な環境が支配し、脳とか遺伝子はローテクで十分と。そして前回は、熱い認知と冷たい認知の互助作業をです。
 

 先ず、共感(Enpathy)と同感(Sympathy)の違いについて。よく”同情は反感を食らう”というが。よく考えれば明らかですと。そういうの多いですな、表面上だけ同調するヤツ。痛そ〜じゃなくて、痛いんデス(怒)。

 前者は他人の立場になって考える事、つまり、人が感情的に体験してる事を貴方も体験する事。
 後者は、他人が体験してる事を想像上で同意する事。故に、実際に体験する事を必要としない。器用な振舞いの人が、薄っぺらで信用に欠けるのも、そのせいだ。

 同感は馬鹿でもできるが、共感は人が思う様に簡単ではないのだ。あなたの周りにも、そういう上手に立ち振る舞うサイコ的人種が。

  
 次に、霊長類が持つ高次機能。他人が何かをするのを目撃し、即座に同じ事をする能力をミラーニューロンシステム。前頭葉と頭頂皮質の領野における、ニューロン間に形成される回路を基盤にすると。

 人が練習もなしに、複雑な仕事を素早く覚えるのもこの為で。全く、"学ぶより習うより慣れるより、先ずは真似ろ"ですな。つまり、真似る脳の事。

 
 前頭前皮質(PFC)と体性感覚皮質(ホムンクルスといい、皮膚感覚・深部感覚・内蔵感覚を掌り、視床で処理され、その信号を頭頂葉の中心後回で受け取る)及び、下頭頂皮質&頭頂・側頭ジャンクションの3つ。
 この3つの領野は、脳深部にある快楽・快感・ストレス・痛みの領野と繋り、これらを支配するという事で。

 ここには、セロトニン・ドーパミン・テストステロンに加え、副腎皮質放出ホルモン(自律神経を促す)やエンドルフィン(脳内麻薬とも)、バソプレッシン(抗利尿)とオキシトシン(出産ホルモン)等の大切なホルモンが充満してる。
 何だか、ドーピング検査に出てきそうな名前ばっかですな。つまり、ドーピングと脳とは密接な関係にある訳で。


 これらのホルモンと神経伝達システムは、上述した”共感”において、重要な役割を果たす。これら神経化学物質を処理する対立遺伝子の重要性も明らかに。


 これらの化学物質は、否定的衝動(恐怖、拒絶、羨望や嫉妬、我儘や他人の不幸を喜ぶ気持ち)と肯定的情動(同感と思いやり、憐れみと寛大さと信頼、恋や祖国愛、人類愛に神への愛)の互いの末端までの衝動スペクトルを構成するのです。

 つまり、私達が嫉妬したり情けを掛けたりするのは、この化学物質で決まるのですが。何だか呆気ないですな。


 この”共感の欠如”こそが、サイコパシー最大の特徴である。大半のサイコパスは、暴力的ではないが、他人の傷には殆ど無関心でいられる。が、同時に彼らの多くは、親たちへの仲間達への愛情を大袈裟に表現する。

 残忍で冷酷な殺し屋や独裁者が持つ偉大なる冷酷な共感とは、彼らのグループや身内に対する共感であり、他人の命や幸福への共感ではない。
 集団対個人(同感対共感)に応じた、共感の2つのタイプの組合せ以外に、”心の理論”としての”情動的共感と認知的共感”の間の”二項対立”が存在するという。判った様で判んない様な。

 自閉症は、この”心の理論”の共有を欠くが、対照的にサイコパスは一部には認知的共感を有するが、情動的共感を全く欠くのだ。

 
 前述した、頭頂・側頭ジャンクション(右脳の側頭葉と頭頂葉が隣接する部位)こそが、ミラーニューロンシステムの一つで。
 これこそが、他人の意図や道徳心と倫理性を如何に知るかを処理する重要な回路であり、自分自身の意図や倫理性と道徳心を処理する”熱い脳”である、前頭眼窩皮質(PFC)の良きパートナーでもあるのだ。

 皮質の前部と後部の、これら2つの領域は相互に連結しており、”行動規範”の為の神経解剖学的回路を形成する。
 つまり、”熱い脳”もミラーシステムと相互に結びつく事で、相手の立場になって物事を考え、心の痛みを喜びを共有できるというか。
  
 一方、サイコはどうやって、自分が共感に欠けるかを知るのか。勿論、サイコパスは人を操作する事を楽しむし、冷酷無慈悲的な勝利の美学を尊重する。それは、自己愛やエゴや競争以外の何ものでもないのだが。

 少しここら辺は難しいですな。という事で今日はここまで。



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