母子家庭系成り上がりと､橋下徹の愚策と空虚な実行力

母子家庭上がりのモンスター

　橋下徹元大阪市長(元大阪府知事)は､私と同じ母子家庭育ちである。ただ彼の方が母子家庭の度数からすれば､ずっと純度が高い。
　小学1年で東京から大阪に引っ越し､中学1年で母が再婚。つまり､母子家庭→引っ越し→再婚と､筋金入りの”スラム系”だ。
　お陰で神様は彼に､逞しい身体と不屈な精神を与えた。彼が今､メディアから”モンスター”と持て囃されるのも､幼少の頃のタフな環境を生き抜いてきたそうした逞しさから来るのであろう。

　それに比べ私は､父が小学4年の時に他界したが､それまではかなり裕福だった。取り残された母には再婚の話もあったが､うまくは行かなかった。
　母子家庭の割に私は甘やかされて育った。橋下氏とは大きな違いだ。だから､今のダメダメな自分が存在するのだろうか？いやそうでもないか。
　そういう私は､スラム上がりの人種は嫌いではない。少なくとも､裕福な育ちのエリート族よりかは好感が持てる。
　現大阪府知事の吉村洋文は橋下氏とは対称的に､イケメンでエリートで育ちもいい。出来過ぎとも思えなくもないが､これも人生であり､運命でもある。
　しかし有名人としてみれば､今のところ橋下氏が遥か上を言ってるように思える。

　但し､大阪都構想の住民選挙では､見事なまでに思惑が外れ､イメージと履歴書だけでは本当の勝利は得られない事も判明した。
　橋下氏や吉村氏に限らず､市長や知事は誰がやっても同じ様なものだが､少なくとも彼が弁護士からTVスターにのし上がり､大阪知事選に打って出た時は､正直期待した。
　不幸な幼少時を過ごしてきただけに､正直同情や憐れみもあった。
　しかし､慢性的な不況の只中にある大阪はビクともしなかった。勿論､誰が知事や市長になっても同じだったろうが。

ファクトチェック 

　今､ファクトチェックという言葉がTwitter上を賑わしてる。
　私達はブログを書く時に､プロのコラムを参考にして書く事が多い。
　勿論我々は素人だから､ネットに書かれてる事がフェイクやデマだったりするのはよくある事で､それを嘘か？ホントか？見分けるのは､その人の洞察とか知力とか､過去の色んな経験とかに大きく影響される。
　つまり､ファクトチェックは簡単な様で難しい。

　今､学術会議任命問題が日本を大きく賑わしてるが､それに輪をかける様に､橋下徹氏が学術者に対して放った言葉が話題になってる。
　”こやつらは税金もらって､学問をさせてもらってる事に謙虚さが足りない。だから学術会議には国民の支持が得られない。それに､アメリカとイギリスは学者団体には税金は投入されてないようだ。日本は年1500円ほどの会費で十分だ”

　因みに､年間4500万の税金が投入される日本学術会議の会費は､4500万/210名=21万円(年間)となる。これを多いと見るか？安いと見るか？
　最後に関しては､橋本も後に慌てて訂正した様に､アメリカもイギリスも税金は投入されてはいる。
　アメリカ(アカデミー)は約72億円(2017年)､イギリス(王立協会)はここ5年間で約324億5千万円で年間65億ほどの補助金を政府から受けている。
　事実､各国全てのアカデミーは政府からの支援を受け､依存率は30〜80%とされる(日本学術者会議調べ)。ただ､日本の場合､全てが国費で賄われてるが故に稀なケースとしてる。　
　アメリカの補助金依存率は38%ほどだから､アカデミーの予算は72億の3倍弱の190億ほどになる。日本の年間僅か4500万は全額補助なので､アカデミーの予算は米英に比べ､哀しいかなゼロに近い。
　つまり､”税金でやってるのは日本だけ”という誤情報もネット上を賑わしたが､その補助金は無に等しいレベルだ。

今時の弁護士〜橋下徹のケース

　橋本氏は説明不足だったとして､”米英では日本の様に税金で学者団体を丸抱えする事はないが､日本の学術会議も同じく早く非政府組織となるべき”と主張したが。これも明らかに間違ってる。
　年間4500万というのは､政府が抱きかかえる補助金としてはゼロに等しい。つまり日本には､政府が抱えるアカデミーは最初から存在しない。

　知を排除しようとする管内閣も無能なら､橋下徹も輪をかけて無能？だったのか。
　メディアや一部の橋本シンパからは”大阪府の財政は良くなった”と評されてるが。
　彼が大阪府知事になった間､府の税収は1兆3425億円から9860億円にダウンし､国からの借金は2443億円から6220億円と悪化したとされる。結果､地債発行に総務大臣の許可が必要な”起債許可団体”に転落した。
　公平を期す為に大阪府のHPで確認すると､負債残高(p23)は58288億→63293億(=5005億の悪化)。財政調整基金(p15)は13億→1500億(=1487億の改善)。減債基金積立不足(p16)が2028億の復元？？？
　つまり､大阪府の主張では5005−1487−2028=1490億の財政悪化だが､国(総務省)の基準では､減債基金積立不足が1632億の悪化となる。
　故に国の基準では､5005−1487+1632=5150億円の悪化となる。
　結論から言えば､財政調整基金や減債基金を沢山積み上げた所で､それ以上に負債を増やせば､財政悪化には変わりない。
　”サラ金から借金した金で負債を返済しただけ”と揶揄されるが。結局､慢性的な財政悪化で国から借金できず､負債を増やしただけなのだろうか。
　事実､橋下氏は典型の叩き上げ型弁護士である。脊椎反射でものを考え､条件反射で行動する人種にとって､こういう事は朝飯前なのかも知れない。

モンスターとは名だけか？

　結局､メディアが”モンスター”などと持ち上げる､スラム上がりで叩き上げ型の脊椎反射系の無能な政治家では､ファクトチェックすらままならないのだろうか。
　つまり､アーベルやカントールなどの異次元の脳神経を持つ真の知識人が政治家にならないと､本当の意味での改革は行えないと痛感した。
　しかし､そういった堅苦しい知識人は税金の無駄だとして､月1万7千円掛る”学術会議”という生ゴミの様に排除されようとしてる。
　本当の生ゴミは､内閣府を支える政治屋なのにだ。

　真相が排除されるように､何時の世も本当に大切なものは排除される傾向にある。
　メディアが”モンスター”と持ち上げる脊椎動物では､真の改革は無理なのだろうか。