象が転んだ

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蘇る天才アーベルのアイデア”その6”〜1824年の論文と解の不可能性(後半)

2024年07月05日 16時40分28秒 | 数学のお話

 前回「その5」では、証明の第1段階のおさらいも兼ねて、詳しく丁寧に説明しました。
 アーベルは証明の第1段階で”yを表す為に必要な全てのべき根ᵐ√R,ᵐ√R²,…,ᵐ√Rᵐ⁻¹が、最初の5次方程式の解y₁,y₂,…の有理式となる事が示せれば、「不可能の証明」を完了させる事は難しくない”と主張しました。
 そこで、今日の第2段階では、元の5次方程式①の解y₁,y₂,…,y₅の置換(入れ替え)と可解性について考えます。 


ステップ2-1

 ”まず、ᵐ√Rの形のべき根を考える。ここで、Rはa,b,c,d,eの有理式(従って、y₁,y₂,y₃,y₄,y₅の対称式)とすると、ᵐ√R=rと書ける事に注意しよう(ここで、rは元の方程式の解y₁,y₂,y₃,y₄,y₅の有理式とする)。
 ここで問題にしてるのは、一般の5次方程式の解であり、y₁,y₂,y₃,y₄,y₅は独立と考えてよい。そして、この仮定の下で、ᵐ√R=rとなる事が必要となる。だが、rをm乗したRはy₁,y₂,y₃,y₄,y₅の対称式なので、rはy₁,y₂,y₃,y₄,y₅の順序の入れ替え(置換)により、m個の値をとる必要がある。
 但し、有理式rはそれを構成する5つの変数の可能な全ての置換により、m個の異なる値をとるという性質を持つ必要がある。しかし、mが素数である事に注意すれば、m=2又は5となる事を意味する”
と、アーベルはコーシーの置換論をここで持ち出す。

 実際にアーベルは、1826年の論文の中で”n個の独立変数の有理式がとる異なる値の個数は、1又は2以外なら、nの約数となる最大の素数以上である”との事実を、コーシーのやり方で証明している。故にこの場合、有理式rがとる異なる値の個数mは、2又は5(5の約数となる最大の素数)となる事が判る。

 ”そこで仮にm=5としよう。この時、rは5種類の異なる値をとり、⁵√R=r=p+p₁y₁+p₂y₁²+p₃y₁³+p₄y₁⁴―⑭と書ける。ここで、p,p₁,p₂,…はy₁,y₂,…の対称式とし、この関係式でy₁とy₂を置換すると、y₁がy₂に置換されるとすると、p+p₁y₁+p₂y₁²+p₃y₁³+p₄y₁⁴=αp+αp₁y₂+αp₂y₂²+αp₃y₂³+αp₄y₂⁴―⑮となる。ここで、α⁴+α³+α²+α+1=0―⑯とする。が、これは不可能であり、故に、m=2となる必要がある”

 ここも少し判り辛いが、⑭式の両辺をα倍する事により、⁵√Rがα・⁵√Rに置換されると考えれば、α(p+p₁y₁+p₂y₁²+p₃y₁³+p₄y₁⁴)=p+p₁y₂+p₂y₂²+p₃y₂³+p₄y₂⁴となり、y₁とy₂を置換すれば、p+p₁y₁+p₂y₁²+p₃y₁³+p₄y₁⁴=αp+αp₁y₂+αp₂y₂²+αp₃y₂³+αp₄y₂⁴―⑮を得る。
 一方で、αは”1の虚5乗根”なので、α⁴+α³+α²+α+1=0―⑯となるが、⑮式はα=1又はy₁=y₂でないと成立しないし、解は全て異なるのでどちらもありえない。故に、m=5との仮定では矛盾し、m=2である必要がある。

 但し、この証明は非常に抽象的で理解に苦しむが、アーベルは1826年の論文にて、m=5が不可能である事の説明を簡潔に完全に記述している。
 例えば、(⑪-1)の様な解の1つをy₁とし、y₁=p+⁵√R+p₂・⁵√R²+p₃・⁵√R³+p₄・⁵√R⁴を持つ場合を考える。この時、(⑫-2)は、⁵√R=(y₁+α⁻¹y₂+α⁻²y₃+α⁻³y₄+α⁻⁴y₅)/5となり、αは1の虚5乗根より、α⁵=1を使えば、⁵√R=(y₁+α⁴y₂+α³y₃+α²y₄+αy₅)/mを得る。だが、これは”不可能”である。因みに、(⑪-1)と(⑫-2)は前回「その5」上図を参照です。
 これは、上式の左辺は5乗根で5個の値を持つが、左辺はy₁,y₂,y₃,y₄,y₅の5個の解の置換の総数120(=5!)個の値をとるからである。故に、m=5はありえない。従って、m=2となる(証明終)。
 但し、この厳密な証明はアーベル自身が証明の第3段階で述べてるので、次回「その7」で紹介する。


ステップ2-2

 一方で、⑭と⑮の導入も理解に苦しむが、アーベルはこれにも長い証明を与えている。
 今、前回「その5」での⑬式でやった様に、vをy₁,y₂,y₃,y₄,y₅の有理式でy₂,y₃,y₄,y₅の置換により変化しない(つまり対称な)ものと仮定する。
 この時、vをy₂,y₃,y₄,y₅を解の全体とする方程式の係数とy₁により表す事が出来る。
 これを確かめるには、まず(y−y₂)(y−y₃)(y−y₄)(y−y₅)=y⁴−py³+qy²−ry+sとおく。この時、解y₂,y₃,y₄,y₅は、4次方程式を解く事で係数p,q,r,sを用いて表わせる事に注意する。
 一方で、y₁,y₂,y₃,y₄,y₅は元の方程式①の解全体なので、既に仮定した事から、(y−y₁)(y−y₂)(y−y₃)(y−y₄)(y−y₅)=y⁵−ay⁴+by³−cy²+dy−e=(y−y₁)(y⁴−py³+qy²−ry+s)と出来る。この右辺をyについて展開し、①式の左辺と係数比較すれば、p=a−y₁,q=b−ay₁+y₁²,r=c−by₁+ay₁²−y₁³,s=d−cy₁+by₁²−ay₁³+y₁⁴を得る。
 つまり、p,q,r,sは、y₁と元の方程式①の係数a,b,c,dにより表せる。以上より、vはy₁,a,b,c,dの有理式となる事が判る。
 ところで、vはa,b,c,d,eの有理式p₀,p₁,…,pₘにより、v=p₀+p₁y₁+p₂y₁²+…+pₘy₁ᵐ―(B0)と書ける事が判る。
 因みにアーベルは、以下で示す(1826年の論文にあるのと非常によく似た)議論により、これを証明している。

 「その1」でも述べたが、アーベルは1824年の論文で、元の方程式①の一般解がy=p+p₁・ᵐ√R+p₂・ᵐ√R²+⋯+pₘ₋₁・ᵐ√Rᵐ⁻¹―②=(B1)と書ける事の証明を省略した。この式の右辺には多重にべき根が含まれるが、「その5」でも書いた様に、この議論を繰り返すと①式の係数a,b,c,d,eの有理式p₀,p₁,…,pₘのみを含む多項式(代数式)に帰着する事が判る。
 その証明だが、代数式v=T/Vとする。いま、V=v₀+v₁・ᵐ√R+v₂・ᵐ√R²+⋯+vₙ・ᵐ√Rⁿとし、Tにても同様の形とする。
 ここでアーベルは、αᵐ⁻¹+αᵐ⁻²+…+α+1=0の様な置換の列:ᵐ√R→α・ᵐ√R,ᵐ√R→α²・ᵐ√R,…,ᵐ√R→αᵐ⁻¹・ᵐ√Rを考えた。但し、αは1の虚m乗根より、α≠1かつαᵐ=1。
 ”これらm−1個の置換の下で、Vは一般にm−1個の値:V₁,V₂,…,Vₘ₋₁をとるだろう”とアーベルは仮定した。そこで、v=T/Vと1=(V₁V₂…Vₘ₋₁)/(V₁V₂…Vₘ₋₁)の値の積を考えると、v=(TV₁V₂…Vₘ₋₁)/(VV₁V₂…Vₘ₋₁)―(B2)となる。
 アーベルは、この(B2)の分母について考察する。その為に、まず、V=v₀+v₁γ+v₂γ²+⋯+vₙγⁿ―(B3)をΦ(γ)と書く。
 ここで、「その5」のSTEP1で書いた様に、v₀,v₁,…,vₙは元の方程式の係数から作られる有理式全体から出発し、素数べき乗根を順次添加して得られる四則で閉じた体系Ωの元とし、R∈Ω、γ=ᵐ√Rする。
 そこで、置換:ᵐ√R→α・ᵐ√Rにより、V→V₁=Φ(αγ)となり、置換:ᵐ√R→α²・ᵐ√Rにより、V→V₂=Φ(α²γ)などと変化する。
 従って、(B2)の分母を求めるには、置換により変化した結果全体の積をとればいい。つまり、VV₁V₂⋯Vₘ₋₁=Φ(γ)Φ(αγ)Φ(α²γ)⋯Φ(αᵐ⁻¹γ)となるが、これは明らかに、γ,αγ,α²γ,…,αᵐ⁻¹γ(これらはzᵐ=Rのm個の根になる)に関する対称式なので、v₀,v₁,…,vₙ,Rの多項式となり、Ωの元である。つまり、VV₁V₂⋯Vₘ₋₁∈Ωとなる。
 また、(B2)の分子のVV₁V₂⋯Vₘ₋₁=Φ(γ)Φ(αγ)Φ(α²γ)…Φ(αᵐ⁻¹γ)は、(zᵐ⁻¹+zᵐ⁻²+⋯+z+1=0のm個の解になる)α,α²,…,αᵐ⁻¹に関する対称式なので、v₀,v₁,…,vₙ,γの多項式となり、Ωの元を係数とするγの多項式である。従って、(B2)の分子VV₁V₂…Vₘ₋₁もまた、Ωの元を係数とするγの多項式となる。
 こうして、Ωの元をq₀,q₁,…,qₙ,Rとすれば、v=q₀+q₁γ+q₂γ²+⋯+qₙγⁿを得る。これは、先の(B0)式でのvが、p₀,p₁,…,pₘを係数とするy₁の多項式:p₀+p₁y₁+p₂y₁²+…+pₘy₁ᵐの形となる。
 更に、vはk位の代数式として、v=q₀+q₁・ᵐ√R+q₂・ᵐ√R²+⋯+qₙ・ᵐ√Rⁿ―(B4)と書ける事が判る。但し、q₀,q₁,…,qₙ,RはΩの元とする。
 また、(B4)にて、0<n<mと仮定出来る。というのは、もしn≥mとすると、n=am+bと書け、R^(n/m)=R^((am+b)/m)=R^a・R^(b/m)となり、代数式としては(R^aの部分は係数に繰り込まれ)v=q₀+q₁・ᵐ√R+q₂・ᵐ√R²+⋯+qₘ₋₁・ᵐ√Rᵐ⁻¹の形に整理できる。これは、②の形そのものである。故に、②=(B1)が得られる(証明終)。


ステップ2-3

 話を先のSTEP2−2の(B0)式に戻すが、a,b,c,d,eの有理式p₀,p₁,…,pₘを使い、v=p₀+p₁y₁+p₂y₁²+…+pₘy₁ᵐと書ける事が判った。また、y₁は元の5次方程式①の解により、y₁⁵=ay₁⁴−by₁³+cy₁²−dy₁+eとなる。
 そこで、これを使えば、v=p₀+p₁y₁+p₂y₁²+…+pₘy₁ᵐのy₁に関する次数mを5より小さくする事が可能になる。
 こうして、y₂,y₃,y₄,y₅の置換により対称性を保つ任意の有理式は、v=p₀+p₁y₁+p₂y₁²+p₃y₁³+p₄y₁⁴の形に直せる事が判る。

 ここら辺の置換と対称性の議論は少し解り辛いが、山下氏は以下の様に説明を補足する。
 この様な多項式において、y₁,y₂,y₃,y₄,y₅の全てを置換をすれば、1個のみの値をとる事しか出来ず、従って対称性を持つ(既にy₂,y₃,y₄,y₅にては対称(=不変)だが、y₁を追加しても対称となる)か、又は、1≤j≤5にてy₁をyⱼと置換する事で5個の値をとるか、のどちらかである。
 つまり、対称性を持てば、解y₁,y₂,y₃,y₄,y₅の置換はどれも同じで不変となり、対称性がなければ解の置換は5個の値をとる。
 ただ、今は対称となる場合を排除し、後者を議論の対象とするので、5個の値をとる任意の多項式は、v=p₀+p₁y₁+p₂y₁²+p₃y₁³+p₄y₁⁴と、先で示した⑭式の形となる必要がある事が判る。また、y₂,y₃,y₄,y₅についても同様の議論が出来る。

 一方で、これらの解は⁵√Rを⁵√R,α・⁵√R,α²・⁵√R,α³・⁵√R,α⁴・⁵√Rに置換する事により、前回「その5」の⑨式の様に関連付けられる。更に、STEP2-1の⑭式を⁵√R=v=p+p₁y₁+p₂y₁²+p₃y₁³+p₄y₁⁴の形にすれば、両辺をα倍する事により、⁵√Rがα・⁵√Rに置換される事になり、y₁がy₂に置換される。こうする事で、α(p+p₁y₁+p₂y₁²+p₃y₁³+p₄y₁⁴)=p+p₁y₂+p₂y₂²+p₃y₂³+p₄y₂⁴となる。
 或いは、アーベルがやった様に、単に上式にてy₁とy₂を入れ替えれば⑮式を得る。また、前述の[STEP2-1]の補足とダブるが、⑮式はα=1又はy₁=y₂でないと成立しないが、解は全て異なるのでどちらもありえない。
 故に(「コーシーの定理」により)、m=5との仮定では矛盾し、m=2となる。また、⑭式の左辺のrは5種類の異なる値をとると仮定したが、それも矛盾し、従って、rは2個の値をとる事が言える。
 と、ここまでで「不可能の証明」の第2段階を終えました。コーシーの置換論が少し厄介ですが、次回「その7」でも繰り返し述べますので、慌てずにです。 



6 コメント

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解がべき根で表される為に (腹打て)
2024-07-06 08:45:01
元の5次方程式の解がᵐ√Rの形の多重べき根の和で展開できる時、ᵐ√R=rとなる事が必要となるけど、rをm乗したRは5つの解の対称式なので、rは5個の解の置換により、m個の値をとる必要がある。
しかし、rを有理式と見ると、5つの変数の全置換により、m個の異なる値をとる性質を持つ。但し、mが素数である事から、m=2又は5となるが、これこそアーベルが証明の第2段階で使うコーシーの置換論である。
ここでアーベルは背理法を使い、m=5とした時の矛盾を導き、m=2とした。故に、√R=rとなり、rは2個の値をとる。以上が、証明の第2段階の大まかな流れとなる。
ただこの厳密な証明は、2年後の論文で詳しく書いてるが、アーベルがコーシーを高く評価していた事が伺える。
驚く事にアーベルは、元の方程式の解がᵐ√Rの形の多重べき根の和で展開できる事の証明も、コーシーの置換論を使い、厳密な証明を加えている。
ここらのアーベルの彗星の如きアイデアとエレガントな手法には、恐れ入る。 
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腹打てサン (象が転んだ)
2024-07-06 16:55:57
 流石、理解が早いですね。こちらこそ恐れ入ります。以下、おさらいになりますが、少し補足します。

 次に、vを元の5次方程式の5つの解y₁,y₂,y₃,y₄,y₅の有理式として、その内のy₁を除いた4つの解y₂,y₃,y₄,y₅の置換により変化しないと、アーベルは仮定しました。
 つまり、vの4つの解は、p,q,r,sを係数とする4次方程式を解く事で表わせます。
 そこで単純に係数比較し、vがy₁,a,b,c,dの有理式となる事を示しました。故に、vはy₁と元の方程式の係数a,b,c,dの有理式となる。
 一方、vはa,b,c,d,eの有理式p₀,p₁,…,pₘにより、v=p₀+p₁y₁+p₂y₁²+…+pₘy₁ᵐと書ける。と、ここまでがSTEP2です。

 最後のSTEPでは、元の5次方程式にy=y₁を代入した式を使えば、mの次数を5以下に出来て、v=p₀+p₁y₁+p₂y₁²+p₃y₁³+p₄y₁⁴の形に直せる。置換と対称性のややこしい議論は記事を読んでもらうとして・・
 ここで、⁵√R=v=p+p₁y₁+p₂y₁²+p₃y₁³+p₄y₁⁴とおき、両辺をα倍すれば、⁵√Rがα・⁵√Rに置換され、y₁がy₂に置換されます。
 そこでアーベルは単にy₁とy₂を入れ替え、p+p₁y₁+p₂y₁²+p₃y₁³+p₄y₁⁴=αp+αp₁y₂+αp₂y₂²+αp₃y₂³+αp₄y₂⁴の⑮式を得るが、m=5との仮定では矛盾し、m=2となる。
 また、⁵√R=r=p+p₁y₁+p₂y₁²+p₃y₁³+p₄y₁⁴の⑭式のrは5種類の異なる値をとるとアーベルは仮定しましたが、それも矛盾し、故にrは2個の値をとる事が言えます。
 従って、√R=rとなり、rは符号が異なる2つの値をとる事の証明になりますね。

 故に、厳密には腹打てサンが指摘した様に1つのSTEPで終えるんですが、理解し易い様に3つに分けました。
 抽象的で理解し辛い所もあるんですが、コーシーの置換論を使う事で何とかクリア出来ます。
 コメント、いつも参考になります。
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数学は学問よりも奇なり (UNICORN)
2024-07-08 14:07:42
ルフィニの不完全な証明が、コーシーの置換論を生み、アーベルの不可能の証明を完成に導いた。
イタリア、フランス、ノルウェーの3人の天才が生み出した見事なハーモニーとも言えますが、数学が現実離れした美しさを持つのは、こうした天才たちの継承と連携に負う所もあるのでしょう。
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UNICORNさん (象が転んだ)
2024-07-08 21:55:31
ルフィニは元々現役の医者でもあったから、厳密な証明には至らなかったんですが、5次方程式の代数的非可解性を証明する為に、5次対称群の部分集合である5次交代群がなす60個の置換の3600通りの組み合せを1つ1つ調べ上げました。
一方で証明という証明は成し得なかったともされますが、方程式の問題を部分群の発見を通し、置換論と群論を結びつけた先駆者とも評されています。
まさに、現実離れしたルフィニの偉業も再評価されて当然ですよね。
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数学と医学の二刀流 (HooRoo)
2024-07-09 22:18:44
現役のお医者サンながら
数学も研究するって
そんな事が現実に可能かしら?
もし可能だとしても
どうやって時間を作ったのだろう
中世のヨーロッパってルフィニのような万能型方の天才を生み出す土壌があったのかな(・・;) 
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Hooさんへ (象が転んだ)
2024-07-10 15:00:48
これには、数々の苦難の事情がありまして
ルフィニはモデナ大学で、数学と医学だけでなく、哲学と文学も学びましだ。
最初は数学教授になったんですが、当時はフランス革命やナポレオン戦争の混乱期でしたから、複雑な事情もあり、ルフィニは辞職を余儀なくされます。
その後、ルフィニは医者として生計を立つ事を決意し、大学を離れた事で数学の自由研究にも打ち込みました。
やがて、ルフィニはラグランジュですら成し得なかった5次方程式の研究に専念し、次々と論文を発表しますが、ラグランジュを筆頭に誰からも打ち合ってもらえません。
「不可能の証明」なんて当時の数学界では受け入れ難い事だったんでしょうね。

しかし彼の著作を受け入れた若き数学者こそがアーベルでした。
アーベルは彼の証明の中に重大な欠陥を見つけ、自らの証明を補足する形で「不可能の証明」を完成させます。
一方でコーシーは、ルフィニの著作に触発され、置換論を展開させますが、これこそがアーベルの証明を後押しました。
こうした混乱の時代だったからこそ、数多くの天才がここに結集したんでしょうか。
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