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象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

「博士を殺した数式」に見る、殺人予測方程式と数学的未来予想図

2023年12月19日 14時36分14秒 | 読書
 ”数式”というタイトルと、エドガー賞(最優秀新人賞)ノミネートという言葉に轢かれた私も馬鹿だったが、ミステリーの質や重厚感はノミネートに恥じないレベルだっただけに、空っぽな幕切れ?には実に残念である。 ”大人になって初めて算数と数学の違いを理解した。数学の才能ほど、純粋に洗練された知性と大学で獲得する様な見せかけの知性の違いを明らかにするものはない&rdquo . . . 本文を読む

「菊と刀」と”恥と罪”〜義理と人情に見る日米文化比較

2023年11月30日 00時44分52秒 | 読書
 ロバート・ホワイティングが日本野球を通じて日米の文化比較をユニークな形で記した「菊とバット」(2002)のタイトルは、罪と罰のあり方を通して日米文化比較を論じたルース・ベネディクト氏の名著「菊と刀」(1946)をもじった事は有名な逸話である。 2人の大きな違いは、後者は一度も来日せぬまま既存文献や文化資料や米国にいる日系移民への聞き取りなどを基に日本文化論を執筆したのに対し、前者は1962年にア . . . 本文を読む

本を読まない若者と箱モノ化する図書館〜高知県とTSUTAYA図書館のケース

2023年11月18日 14時57分53秒 | 読書
 あるフォロワーの記事で知ったが、”21歳の6割が全く本を読まない”事が文科省の2022年の調査で明らかになったという。 若者も含め、日本人の活字離れはSNSの普及による世界的な傾向とも言えなくもない。が故に、取り立て驚く程の事でもない。 それ以上に、”増える図書館、活性化の核に〜高知の施設は100万人集客”という記事(日経オンライン)が気になった。 . . . 本文を読む

いま、アジアが注目すべきミステリー〜「トーキョーキル」

2023年11月09日 00時26分13秒 | 読書
 私立探偵ジム・ブロディーの第二弾という事で、前述した「ジャパンタウン」の凄みと悍ましさを期待したが、プロットが複雑すぎなせいか、読んでて少し食傷気味にも思えた。 とはいっても、バリー・ランセットらしさは存分に発揮され、今回の作品は背筋が凍りそうな恐怖というより、濃密でシリアスなアクション活劇というフィクションの要素を強く感じる。 事実、今作はフォーブス誌のアジア諸国首脳の必読書にも選ばれ、&rd . . . 本文を読む

読む者を選ぶ傑作〜「ジャパンタウン」が描く異世界の探偵ミステリー

2023年10月25日 02時57分58秒 | 読書
 ”クズを入力すると、クズが出力される” この言葉は、主人公ジム・ブロディの親友でロス市警の警部補であるフランク・レンナの言葉である。 この言葉が何を意味するか?は、576頁にも及ぶ分厚いハードボイルド、いや超巨編ミステリーを読んで理解して頂く他ない。 結局、悪と闇いう大きな権力は僅か一人の白人によってあっさりと崩れ落ちる訳だが、そこに到達するまでに、どれ程の犠牲と試練と危 . . . 本文を読む

天才の不運(更新)〜「OUTLIERS」”成功する天才の法則”

2023年10月13日 18時53分33秒 | 読書
 才能があるから成功するのか?成功したから才能があったのか? 人よりも努力すれば成功するのか?努力したから成功できたのか? 成功の法則とは異常なまでに抽象的だ。エジソンが言う様に、”1%の閃きがなければ99%の努力は無に終わる”のだろうか。 私が思うに、成功するには才能は勿論、環境と努力と運の4つが必要だと思う。環境と努力をセットと考えれば、才能と環境と運の3つであろうか。 . . . 本文を読む

「暴力の人類史」〜ユダヤ人が見たアメリカに都合のいい”暴力史”

2023年09月19日 02時22分08秒 | 読書
 お気に入りのフォロワーが紹介する本=「世界の危険思想」(丸山ゴンザレス著)が、とても興味深く映った。 結局、奴らの頭の中は単純だ。金がほしいから人を殺すし、儲ける為になら何でもする。つまり、色々考えてたら人など殺せない。 確かに・・言われてみればそうである。 安い金で殺人を引き受ける者も問題だが、頭に来たからという理由だけで人殺しを依頼する者も単純だ。 犯人が多いと取り調べが厄介になるので、逮捕 . . . 本文を読む

こんな本が読みたかった〜「現代奇譚集”エニグマをひらいて”」と「脳に刻まれたモラルの起源」

2023年09月03日 12時24分57秒 | 読書
 私がお気に入りのフォロワーさんが紹介する本は、全てが秀作や良書ばかりである。 決して流行本でもなく、誰もが知ってる様なポピュラーな著書でもないが、読んでて不思議と吸い込まれる。 そこで今日は、”むぎわら日記”さんが紹介してくれた2冊の本について書く事にする。 「現代奇譚集〜エニグマをひらいて」 著者である鈴木捧氏が多くの体験者から聴き集めた様々な”奇妙な体験談 . . . 本文を読む

本を読まない人へ〜ブログが絵日記になる悲しい時代

2023年08月10日 15時32分03秒 | 読書
 最近、不思議と気になりだしたのが、ブログの”絵日記化”現象である。ペットやグルメや旅自慢はブログの王道と化し、ここまで常習化すると流石にウンザリである。 権力の軍門に下ったメディアやジャーナリズムも深刻だが、昨今のブログもここまで軽薄になると、SNSやスマホが幼稚園児のオモチャになる時代も近いのかもしれない。  事実、Gooブログも編集部おすすめ記事の殆どが三面記事や絵日 . . . 本文を読む

松本清張と「帝銀事件」〜人気小説家の推理は正しかったのか?

2023年04月28日 15時43分04秒 | 読書
 帝銀事件が起きたのは、連合国軍の占領下にあった1948年。帝国銀行・椎名町支店に厚生省技官を名乗る男が現れ、”近くで集団赤痢が発生したので予防薬を飲んで欲しい”と銀行員らに液体を飲ませ12人を殺害。逮捕され、死刑判決を受けた画家・平沢貞通は無実を訴え続けるも、獄中死した。 実は捜査の当初、警察が追っていたのは軍関係者であった。GHQが警察や報道機関に影響力を持ってた当時、 . . . 本文を読む