もし、”地図にない人生”が本当の人生であったなら?それに、地図にない人生こそが自分の生き方だとしたら? そして、そんな人生が自分の全てを支配するとしたら・・・「地図にない町」を読んでて、ふとそういう事を考える自分がいた。 ”メイコンハイツ行きの切符の回数券を売ってくれ”と、ある駅に古びれた背広を着た奇妙な小男が駅の窓口にやってくる。だが、メイコンハ . . . 本文を読む
私は自己啓発本というのが、どうも好きになれない。というか、癪(しゃく)に触るのだ。 単なる脊椎反射系成功者の自慢話や”受験の神様”的な詐欺物語や、それに叩き上げ系カリスマ経営者の幼稚な精神論などは、ウンザリするほどに聞かされてきた。 聞く度にアホ臭と思いながら、我ら大衆は成功の本質はどこに埋もれてるのか?と、知らず内に(カルト的で薄っぺらな)”成功の哲学&rd . . . 本文を読む
フォロワーの記事に「善人ほど悪い奴はいない」(中島義道 著)の紹介がなされてた。 弱者は自分が弱い所(無教養・無能・無知など)を認めつつ、敢えて開き直り、自分では何もしない(いや出来ない)。そのくせ、全身でその無力さを正当化する。 逆に、強者がその事を指摘すると、弱者は慄き怯え、行き場とやり場を失う。やがて強者への憎悪や怒りは沸点に達し、集団で強者を血祭りに上げる。 つまり、現代社会ではあり得な . . . 本文を読む
「7日間で突然頭がよくなる本」(小川仁志著)は、2012年初版と少し古いが、非常に正直な本だと思う。 著者は京都大学法学部出身ながら、自分の事を落ちこぼれだと評価する。 学歴のない人や知能が低い人が自らを落ちこぼれと判断するのは(とても悔しいけど)簡単な事かもだが、高学歴な人が自分を落ちこぼれだと評価するには、それなりの覚悟と勇気がいる筈だ。 勿論、某ノーベル賞受賞者の様に、東大出ながら自身を& . . . 本文を読む
3日連続、マイクル・コナリーで突破します。上下巻を1つに纏めたので少し長いですが、悪しからず・・・ ハリウッド署の刑事を退職したバリー・ボッシュ。彼にはどうしても心残りな、4年前の未解決事件があった。 ”この世における私の使命は、バッジがあろうがなかろうが死者の代弁をする事なのだ” 映画会社の従業員である若い女性アンジェラ・ペイトンが殺された。が、その直後に映画のロケ現場 . . . 本文を読む
「前半」では、大まかなあらすじと後半の入り口まで紹介しました。 殺人容疑の濡れ衣を掛けられたハラー弁護士ですが、彼を弁護する側も現役検事の元妻マギーに加え、今回は特別に”ハリー・ボッシュ”を味方につけ、非常に強力です。 弁護側は陪審員選定で何とか優位に立てたものの、サム・スケールズ殺害事件の黒幕ルイス・オリバジオを見失ってしまう。故に、”10月のサプライズ&r . . . 本文を読む
法律用語のオンパレードで、読んでて鬱になりそうな時もあったが、これこそがリーガル・サスペンスの王道を突っ走るストーリーテラーの真骨頂と言えるのかもしれない。 ま、理屈っぽいという点では私のブログも偉そうな事は言えないが、こんな濃密すぎる小難しいサスペンス巨編を次々に送り出すマイクル・コナリーの文才には頭が下がる。 展開そのものは、タイトル通りに至ってシンプルである。この”リンカーン弁 . . . 本文を読む
新しい紙幣が2024年7月に発行される。新しいデザインは、1万円札は実業家の渋沢栄一で、5千円札は女性の地位向上に貢献した津田梅子、千円札は生物学者の北里柴三郎になる。 この新紙幣発行による経済効果は1.6兆円と試算されている。 実は、この”経済効果”という言葉だが、その数字は勿論、その意味も含め、私はずっと怪しいと思っていた。 関西大学の宮本勝浩氏が、東京オリンピックの . . . 本文を読む
「自殺する脳」でも書いたが、自殺をするのは人ではなく脳である。 同じ様に、戦争をするのも人ではなく脳である。厳密に言えば、プーチンやネタニヤフみたいな独裁者の脳である。 ”<戦争は人類最大の狂気>というが・・・精神的な病が日常と繋がってる様に、戦場と日常も地続きである。戦後日本の自衛隊の奇妙な存在の仕方やイラク戦争の泥沼に現れた病理現象を読み取り、戦争に突き進むメカニズム . . . 本文を読む
”本書はおそらくリンカーン弁護士のシリーズ中ベストの作品となるだろう。ベストでなくても最も印象深い作品であるのは間違いない”との評価に思わず手が伸びた。 バリー・ランセット著の「ジャパンタウン」でレイモンド・チャンドラー以来の探偵ミステリーの虜になってしまったが、マイクル・コナリーという探偵小説の巨匠が存在する事を知った。 彼に関しては、ネット上でも数多くの評価がなされて . . . 本文を読む