今、外は雨が降っているようだ。
窓の向こうからは豪雨を想像できるような音が聞こえてくる。
雨といえば、こんな想い出が僕にはある。
あれは高校の頃だっただろうか。
僕は降り出した雨に困って、誰もいない教室で一人で本を読んでいた。
確か油本秀樹の『ふざく』だった。
しばらく本を読んでいたのだが、雨は止む気配を見せない。
そこで僕はふと黒板の前に立ち、チョークで絵を描き始めた。
はじめは何気なく描き始めた絵だったのだが、描いているうちに夢中になってしまっていた。
だから僕は彼女の存在に気がつかなかったのかもしれない。
教室の入り口に女の子が立っていたのである。
見覚えのない女の子だったのだが、じっと僕の絵を見ていた。
僕は「“うまい棒”に書いてあるあのドラえもんのパクリみたいなやつを描いてるんだ」と言った。
彼女は軽く微笑み、「分かるわ。上手いもの」と言った。
そして彼女は他の絵を指して、「これはたまに出てくるワカメちゃんのクラスメイトの子ね。そしてこっちはカバオ君の横にいるウサギみたいなやつ」と聞いた。
僕は「その通りだ」と答える。
彼女は楽しそうに次々と僕の絵を指しては何を描いたかを当てていった。
最後の“中トトロ”を当てると、彼女はふとこんなことを言った。
「あなた、私のこと知ってる?」
僕は「ごめん、知らないんだ。君は誰なの?」と聞いた。
すると彼女は一瞬悲しそうな顔を見せた。
僕にはそれが泣いているようにも見えた。
「わたし?」
そして彼女は顔をあげて言った。
「おばけー」
はい、ゲームオーバー!
窓の向こうからは豪雨を想像できるような音が聞こえてくる。
雨といえば、こんな想い出が僕にはある。
あれは高校の頃だっただろうか。
僕は降り出した雨に困って、誰もいない教室で一人で本を読んでいた。
確か油本秀樹の『ふざく』だった。
しばらく本を読んでいたのだが、雨は止む気配を見せない。
そこで僕はふと黒板の前に立ち、チョークで絵を描き始めた。
はじめは何気なく描き始めた絵だったのだが、描いているうちに夢中になってしまっていた。
だから僕は彼女の存在に気がつかなかったのかもしれない。
教室の入り口に女の子が立っていたのである。
見覚えのない女の子だったのだが、じっと僕の絵を見ていた。
僕は「“うまい棒”に書いてあるあのドラえもんのパクリみたいなやつを描いてるんだ」と言った。
彼女は軽く微笑み、「分かるわ。上手いもの」と言った。
そして彼女は他の絵を指して、「これはたまに出てくるワカメちゃんのクラスメイトの子ね。そしてこっちはカバオ君の横にいるウサギみたいなやつ」と聞いた。
僕は「その通りだ」と答える。
彼女は楽しそうに次々と僕の絵を指しては何を描いたかを当てていった。
最後の“中トトロ”を当てると、彼女はふとこんなことを言った。
「あなた、私のこと知ってる?」
僕は「ごめん、知らないんだ。君は誰なの?」と聞いた。
すると彼女は一瞬悲しそうな顔を見せた。
僕にはそれが泣いているようにも見えた。
「わたし?」
そして彼女は顔をあげて言った。
「おばけー」
はい、ゲームオーバー!