LHFトーク"GONDLA"

LHFの二人のだらだらトーク。

サマーウォーズ

2009年08月20日 | 過去の記事
ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフルがパワープッシュしていた細田守監督。『時をかける少女』『ワンピース』といった彼の作品をしっかり予習して、そしてやっと『サマーウォーズ』を観に行くことができた。あ、今まではDVDで観た作品だからいいと思ってたけど、これは映画館で観たやつだから書いておきます。これよりネタバレを含みます。

もういきなり感想から言うと、「すごい面白かった」っていうのが一番です。“泣ければいい映画”っていうのはおかしいとは思うけど、何回か泣きそうになって。それでいて楽しくて、最後はスッキリ終わる。テーマ的にもこれは今上映するべき作品だと思うし、あのアニメーションを劇場で観れたっていうのも良かった。

まず最初の見どころは、OZの異常から日本中が混乱に陥る場面、そこでおばあちゃんが電話で親戚中に連絡するシーンだと思う。この映画は“旧家”と“仮想世界”という、“すごい古いもの”と“すごい新しいもの”の間でストーリーが進んでいく。その中でもここは“古いもの”の良さのほうを出しているところで。この映画のテーマは「人との繋がりの強さ」だと思うんだけど、特にこの場面では“親戚というものが生む繋がりの良さ”を表現していた。

こう書いてて、じゃあこれは「昔の方がよかった」っていう話かって言うとそうではない。ラストに主人公たちは“親戚の繋がり”の力でラブ・マシーンに戦いを挑む。そこにはかつて親戚の輪に入らずに一人で戦っていたカズマや、自分勝手に生きて親戚から嫌われていたワビスケもいる。そういう“親戚の繋がり”で一時はラブ・マシーンを追い詰める。しかし、一瞬の隙をつかれて絶体絶命のピンチになってしまったときに彼らを助けたのは、ネットという仮想世界だからこそ集まってきた世界中の人だった。そこには親戚たちのような強い繋がりは無くても、ネットだからこその“広い繋がり”がある。そうして生まれた「古き」の生む“強い繋がり”と「新しき」の生む“広い繋がり”。その両極と思われる二つの“繋がり”が、ラブ・マシーンを倒すことに繋がっていく。

そもそも「解決すべき問題」を「敵」にして、それを「倒す」っていう構造が分かりやすくて良かった。やっぱりなんだかんだ言って「敵を倒す」っていうのはシンプルかつ強力な手段なんだって思った。そしてその戦いの方法が『花札』っていうのもまた良くて。海外の人がこれを観たら「日本らしい」って思うんじゃないかな。そういう意味でも『花札』で勝負っていうのはいいと思った。『旧家』にしろ『花札』にしろ、日本の日本っぽい部分を入れるっていいよ。

今インターネットが普及してきて、現代人の生活は徐々に変化をみせている。その中でこの映画は「古いものも良いよ」っていうのと「でも新しいのも良いんだよ」っていうのを同時に言ってるような気がして。そしてさらに「そのふたつは同時に言っても良いんだ」っていうのも言ってるような気がした。そのふたつの“良さ”が描かれていて、その“良さ”の中に“繋がり”っていうものがあって、その大切さも感じられる作品だった。最初は『サマーウォーズ』っていうタイトルはストレートすぎないかなって思ってたけど、そんなタイトルのストレートさに負けないくらいの立派な作品になっている。いやー、『サマーウォーズ』面白いです。また観たい。


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