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茜空日記 goo版

映画と本をこよなく愛するラルゴです。
自然と美味しい食べ物に恵まれた福岡からあれこれ脈絡なく綴ります。

『いつすべきか?119番』 河崎一生

2010-10-26 13:46:38 | 


10月11日付の西日本新聞に紹介されていた記事を読んだ母に頼まれて注文しました。著者は救急救命センターで勤務医として働く医師で、離れて暮らす自分の母親から救急車を呼ぶ必要があるかどうかの相談を受けた経験を元に、救急車を呼ぶべき症状をまとめた一覧があれば便利ではないかと思った事が、この冊子を作るきっかけになったそうです。「頭が痛い」「胸が痛い」「背中・腰が痛い」など10項目に分かれていて、項目ごとに救急車を呼ぶべき症例として5つか6つの計58症例が、イラストと簡単な文章で紹介されています。

全部通して読むといろんな症例がありすぎて素人としてはちょっと混乱するけど、こういうときには呼ばないと命に関わるいうケースを少しでも頭に入れておく事が、とっさのときに家族を助けられるかどうかの分かれ目になると思うと、一家に一冊常備しておく価値があるかも知れません。こういう事態にならずに済めばいちばん良いけど、こればかりはわからないですしね。

離れて住む高齢のご家族を持つ方は、プレゼントとして送っても喜ばれそうです。


発行元:ワイズアップ
TEL:092-715-7225

『高慢と偏見とゾンビ』 ジェイン・オースティン、セス=グレアム・スミス

2010-10-22 15:01:58 | 


タイトルから一目瞭然ですが(笑)あのオースティンの古典的名作『高慢と偏見』を基本のストーリーはほぼそのままに、要所要所になぜか大量のゾンビが出現する不思議なお話です(こういう手法をマッシュアップと言うらしい。世の中いろんな事を考え付く人がいるもんだなぁ~)。日本の古典名作だったら『細雪とゾンビ』とか『源氏物語とゾンビ』とか面白そう・・・。

18世紀末イギリス。謎の疫病が蔓延し、死者は生ける屍となって人々を襲っていた。田舎町ロングボーンに暮らすベネット家の五人姉妹は少林拳の手ほどきを受け、りっぱな戦士となるべく日々修業に余念がない。そんなある日、近所に資産家のビングリー家が越してきて、その友人ダーシーが訪問してくる。姉妹きっての優秀な戦士である次女エリザベスは、ダーシーの高慢な態度にはじめ憤慨していたものの・・・・・。全米で誰も予想だにしない100万部を売り上げた超話題作、ついに日本上陸!(表紙裏紹介より)


エリザベス(リジー/イライザ)・ベネット・・・ベネット家の次女。姉妹きっての優秀な女性戦士
フィッツウィリアム・ダーシー・・・・・・・・・・・・ペンバリー家を所有する大地主。偉大な戦士
ジェイン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ベネット家の長女。姉妹きっての美人
チャールズ・ビングリー・・・・・・・・・・・・・・・・・・ネザフィールド・パーク館に引っ越してきた独身の資産家
ミスター・ベネット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・五人姉妹の父
ミセス・ベネット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・五人姉妹の母
メアリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ベネット家の三女
キャサリン(キティ) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・べネット家の四女
リディア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ベネット家の五女
ジョージ・ウィカム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ブライトンに駐在する軍隊の青年下士官
ウィリアム・コリンズ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ベネット家の親類で限嗣相続人
シャーロット・ルーカス・・・・・・・・・・・・・・・・・・エリザベスの友人。ルーカス家の長女
キャロライン・ビングリー・・・・・・・・・・・・・・・・チャールズ・ビングリーの妹
レディ・キャサリン・ド・バーグ・・・・・・・・・・・・ダーシーのおば。コリンズの後見人
アン・ド・バーグ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・レディ・キャサリンの娘
フィッツウィリアム大佐・・・・・・・・・・・・・・・・・ダーシーの従兄弟。レディ・キャサリンの甥
ジョージアナ・ダーシー・・・・・・・・・・・・・・・・・・ミスター・ダーシーの妹
エドワード・ガードナー・・・・・・・・・・・・・・・・・・ミセス・ベネットの弟。ロンドンで商売を営む
M・ガードナー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エドワード・ガードナーの妻
ペイ・リュウ師匠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少林拳の師匠


解説によると、オリジナルの少々回りくどい枝葉を上手く端折って読みやすくまとめてあると言う事だけど、それでもベースは古典だから、さらっとした最近の文章に慣れた脳にはけっこう読むのが大変・・・・・。この人物紹介の人数の多さだけでもクラクラするのに、ここに紹介されていないミスター○○、ミセス××が何人も出てきてそのたびに「えっ、これ誰?人物紹介に載ってないけどどういう人??」状態で混乱します。まぁ、集中が途切れそうになる絶妙なタイミングでゾンビが出てきて盛り上げてくれる?ので、最期まで飽きずに楽しく読み進められますが、シャーロットとコリンズの運命は本当にあれでいいのか・・・。原作の愛読者の方の感想が聞いてみたいようなコワイような(^^;)

以前に観た映画版(もちろんまっとうな『高慢と偏見』の方ね)の印象が強くて脳内のキャストはエリザベス=キーラ・ナイトレイで読んでしまいましたが、こちらは上の写真の帯にも書いてあるように、ナタリー・ポートマン主演で映画化が決まっているそうです。18世紀の流麗なコスプレ姿で剣を振りかざしてゾンビの首をバシバシ刎ねまくるナタリーを想像するだけで、今からワクワクしてしまいます(笑)


追記
新しいテンプレートに変えてから「画面がくずれてまともに読めないよ~」という方が複数いらしたので、元のに戻しました。秋なので色だけ変えてみたけど・・・。

『麗しき花実』 乙川優三郎

2010-07-04 23:39:42 | 


山陰のとある町から江戸は根岸の里に出て、蒔絵職人の修業に励む主人公・理野。彼女が出会う人々、そしてやるせない恋心・・・。原羊遊斎、酒井抱一、鈴木其一など、実在の人物の間に豊かな虚構空間を築いた朝日新聞連載の力作長編。(新聞広告の作品紹介より)

何人もの実在の人物を配置して、史実の間に空想上の主人公を紛れ込ませる手法は面白いなと思う半面、主人公の動かし方に窮屈なものも正直、感じました。一般的な時代物と違って人を斬ったり斬られたりする話ではないのを差し引いても、全体としては少し散漫で盛り上がりに欠けるような気もしましたね。散漫なのは主人公を囲む男が三人も登場するのもあるかも知れませんが・・・。心で慕う相手と、実際に一線を越える相手、さらには一緒にいて自然体でいられる相手が別々なのは、ある意味、人として不幸でしょう。いや、もしかして理野にとって三番目は恋愛対象でなかったのか。

それでも結果としては男社会の職人の世界で腕前を認められるのだから、何だかんだ言って理野は並はずれた技量と才能の持ち主だったのでしょう。彼女が寝食も忘れて蒔絵の工程に入り込んでいく描写や苦心して描いた図案への矜持は、職人と芸術家のあやうい境界を入ったり来たりするようでわくわくさせられました。

『植物図鑑』 有川浩

2010-06-30 23:59:11 | 


「男の子の前に美少女が落ちてくるなら、女の子の前にもイケメンが落ちてきて何が悪い(あとがきより)」と言うまっすぐ過ぎるコンセプトが、さすが有川作品ですねー(笑) 恋愛と食育がセットになってるのも面白いです。このお話、イツキ・向井理、さやか・田中麗奈あたりでドラマ化してくれないかな~。

イツキの披露してくれる野草料理の数々は「おぉっ、そんなモノが美味しく食べられるのか!」と新鮮な驚きの連続だったけど、さて自分でトライしてみるかと言うとまた別の話。いくら「美味しいから」と言われてもユキノシタやスベリヒユはどうしても食べ物に思えなくてねぇ・・・。さやかが農家のおじさんに教えてもらったピーマンのゴマ和えは(簡単だったので)実際に作ってみました。ピーマンの自然な甘みが美味しかったです。


昔から好きな花なのに名前をド忘れして思い出せなかった「ニワゼキショウ」を登場させてくれたのも個人的高ポイントでありました。

『わくらば日記』『わくらば追慕抄』 朱川湊人

2010-06-23 15:29:44 | 
   

人や物の記憶が見える不思議な力を持つ少女・上条鈴音が出会う人や事件を、妹・和歌子の視点から描いた連作集です。

先の戦争の影を残しつつも古き佳き時代の情緒を感じる、昭和30年代後半の雰囲気は魅力ありますが、鈴音がその後若くして世を去ることを何度も強調するから全体としてトーンが暗いんですよね。似たテイストの話が並ぶので2冊続けて読むとちょっと気持がダレてしまいました。薔薇子こと御堂吹雪の正体や鈴音との因縁も明らかになってないから、まだこの先も続きがありそうですが・・・。

警察の神楽さんと、姉妹の母親のキャラクターが好きです。特にお母さんは礼儀作法に厳しい柔道の達人なのに、内職用のミシンに女の子の名前を付けたりするセンスがいいんですよね。ところで姉妹の父親は結局ずっと登場しないのかなー?