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茜空日記 goo版

映画と本をこよなく愛するラルゴです。
自然と美味しい食べ物に恵まれた福岡からあれこれ脈絡なく綴ります。

『訪問者』 恩田陸

2009-05-27 00:03:15 | 恩田陸


某ネット上で「またしてもエンディングがねぇ・・・」という感想を見かけたので覚悟の上で読んだけど、そこまで悪くはないんじゃ?少なくとも、ぶっとび大風呂敷の『きのうの世界』に比べれば、それなりにまとまってるでしょう。>あまり褒めたことになってない^_^;

たしかにこの結末は、ちょっと考えても「それは無理だろう」なところもあるけど、結果より過程を楽しむのが恩田陸ワールドと思える心の広い人で、『木曜組曲』のような雰囲気が好きな人ならけっこう気に入ると思います。密かな目的を隠し持つ主人公・井上と、それぞれひとクセもふたクセもある朝霞兄妹とのやり取りはそれだけで楽しいし、兄妹のひとり・千次が渋くて食えない?イイ味出してました。どことなく塚田多聞を連想させる小野寺もちょっと面白いキャラクターです。


『エンド・ゲーム』の文庫も仕入れ済みだし、来月もタイトルは忘れたけど新刊が1册出るらしいし、ファンには嬉しい月刊・恩田陸状態。

『ネクロポリス』 恩田陸

2009-05-08 12:10:30 | 恩田陸
文庫になったのを機会に読み返してみました。



この上下巻並べてひとつの絵になるタイプの表紙、キングやクーンツのホラーで初めて見たときは衝撃的でした。平積みでバーンと並べて売られることを想定しての表紙だから、ある程度大物の作家にだけ許される装丁ってことですよね~。

『ロミオとロミオは永遠に』のときにも思ったけど、この人の見て来たようなウソ八百(笑)は、ほんっとに面白い!私たちの住む実世界と奇妙にリンクした、パロディ満載の異世界ワールドが最高です。読みながら主人公のジュンと一緒に、ワンダーランドを彷徨う楽しさを心行くまで味わわせてもらえました。

中盤まで勢いがあって文句なく面白かっただけに、終盤のツメに至る失速が残念。でも恩田作品ってこういうパターンが多いですよね。『きのうの世界』『劫尽童女』『エンド・ゲーム』『禁じられた楽園』などがその代表かと・・・。『蒲公英草紙』も好きな作品だけど微妙にそのパターン。筆力不足ってことはさすがにないから^_^;、あえて狙ってそうしてるんだろうけど、今イチその狙いがよくわからない(苦笑)
逆に終わりまでよくまとまってるなと思うのは『上と外』『ロミオとロミオは永遠に』『黒と茶の幻想』『ドミノ』あたりかなぁ。『ドミノ2』早く読んでみたいです。


そうそう、今月は『エンド・ゲーム』が文庫化されるようですね。忘れずに買わないと。文庫が出るとかさ張るハードカバーを処分できて本棚が空くから嬉しいです。

『ブラザー・サン シスター・ムーン』

2009-02-21 12:17:03 | 恩田陸


うーん、どんな話とひとことで言うのが難しい話だなぁ。久々の書き下ろしということで話題になりましたが、確かにこういう起承転結も取り留めもない話は雑誌連載向きじゃないですね。

まんま私小説ってことはさすがにないと思うけど、作者自身が投影されてるのかもと想像させる描写がけっこう多いので(特に第1章『あいつと私』)、恩田さんの内面を覗き込むようでファンにはとても興味深いです。


物語として面白いかどうかを聞かれると答えにくいけど、好きか嫌いかを聞かれると間違いなく私は好きですね。文庫になってるエッセイ集『小説以外』を先に読んでおくとより楽しめると思います。
新聞の広告欄に「発売たちまち重版。5万部突破」とあったけど、恩田陸ビギナーにはちょっとおすすめしない気も・・・少しする^_^;

最後まで歯切れの悪い感想でスマンのう。
読んだ人には理解していただけると思うのですが・・・。

恩田陸『きのうの世界』直木賞にノミネート

2009-01-07 00:19:19 | 恩田陸
直木賞候補者紹介サイト
http://www.bunshun.co.jp/award/naoki/index.htm

これで何回目のノミネートだっけ?今度こそ取れるといいなぁ。でも、たぶん無理だろうなぁ・・・(ファンにあるまじき発言)
「これでいいのか?」なエンディングは恩田ファンにはすでに慣れっこだけど、選考委員の支持を獲得するには「これでいいのだ!」的読後感がやっぱり必要だと思うんですよね~。
なんて言ってても、本当に取れたりしたらやっぱりすごく嬉しいけど。

でもファンとしてもっと嬉しいのは、予定が延びに延びた上、やっと今月末に発売(という噂)の単行本『ブラザーサン・シスタームーン』の方でしょう。ここ2~3カ月、新刊も文庫落ちもないから慢性飢餓状態・・・・・

とぼやいてたら、1月9日に『ネクロポリス』の文庫が出るようです。しかも解説は萩尾望都!これは楽しみだわ~。



正月休み中に、50000hit越えしました。
どうもありがとうございますm(^^)m

『きのうの世界』 恩田陸

2008-10-26 00:47:52 | 恩田陸


あちこちの新聞に連載されてるのは知ってたけど、福岡では読めなかったので単行本化をものすごーーく待ってた1冊。読んでみると、この内容を新聞連載で毎日こま切れで読まされたんじゃ、先が気になってある意味、拷問じゃあないですか(笑)一気にラストまで読める幸せに感謝です。

ほんとにいろんな意味で今までの恩田作品の集大成ですね。ご本人もどこかのインタビューで話してたけど「内容について、どこをどう喋ってもネタバレになるので話しづらい」のは確かでしょう。

というわけで、私も感想をああだこうだ書くのは未読の人のために控えますが、恩田陸ファンサイトに昔あった定例チャットのように、過去の恩田作品をほとんどすべて読んだ人同士で「ラストの持って行きかたは○○○と雰囲気似てない?」「あそこの設定はちょっと裏○○入ってるよ」と、ネタバレ全開でああでもないこうでもないと喋りたおしてみたいもんです。

おまけのお知らせ:上記のファンサイト掲示板で話題になってましたが、野生時代で『ドミノ2 in 上海』の連載が近々スタートするようです。あの『ドミノ』の続編でしかも私の好きな上海が舞台とくれば、これは期待大です!