スクロールが大変なので、今回学習会報告を2つに分けてみました。
こちらは議論編となります。
※第15回学習会 2017年2月14日(火)13時から。
チューターは元中学社会科教員のTさん。
「74 太平洋戦争(大東亜戦争)」(育鵬社p.234-235)
「75 日本軍の進出とアジア諸国」(育鵬社p.236-237)を中心に、すすめました。
◯輪読が終わって、「75 日本軍の進出とアジア諸国」の部分の育鵬社教科書の指導書のコピーと、Tさんのインドネシアの知人から現地で使われている教科書の一部コピーとその訳が資料として配られました。
育鵬社教科書の指導書は、今回初めて資料として使われましたが、見開き左側には単元のねらいとなること、授業をどうすすめるか?発問例や板書の例などがありました。
そして、見開き右の「学習資料」の部分では…
(引用)
1️⃣【図版】大東亜会議
「・・・①共存共栄の秩序の建設、②自主独立の尊重と互助、③伝統の尊重と民族の創造性の伸暢、④互恵的経済発展、⑤人種差別の撤廃ーの5項目をその綱領とする「大東亜共同宣言」を採択したが、具体的効果はなかった。」
3️⃣【図版】大東亜共栄圏の範囲にある国々と地域
「・・・開戦直前の1941年(昭和16)年11月、大本営政府連絡会議においてわが国は、
①民心の把握と治安の確立、②重要国防資源の確保、③作戦軍の自活確保を骨子として、占領地に対する軍政三大原則を定めていた(南方占領地行政実施要領)。
そうした背景から軍政初期なっては、物資の調達と戦争遂行に日本軍は重点を置き、独立を許容しなかったため、アジアの解放者として日本の進出を歓迎した各地の独立運動家や民主主義者は、日本に対し失望の色を隠さなかった。・・・」
5️⃣【図版】泰緬鉄道
「・・・東南アジアで日本軍と協力したボースのインド国民軍らの活動は、欧米の民主政治とアジアナショナリズムの対立と矛盾、そして日本による利己的な利用を示す典型となった。」
…と、書いています。
(「大東亜共同宣言」や「南方占領地行政実施要領」の史料は、お持ちだったY先生が学習会終了後、報告に使えないかと送ってくださいました。)
「あれ?
教科書記述は、当時の日本の立場から書いているような主観的な記述なのに、指導書の「学習資料」はちゃんと史料を参考に客観的な事実が書いてある…。
えらい印象がちがうな。」
という感想を持ちました。
(ひとつ前のブログ記事に、育鵬社教科書の記述を紹介しているのでよければ参照ください。)
参加者からも同様の意見が出され、
「史実として、育鵬社の教科書記述では合わないということが証明されているのではないか。
教科書としてこれではいけない。」との声もありました。
◯指導書では、学習の導入として教科書p.236の写真資料①を活用を例として書いています。
チューターTさんから
「この写真を見て、あれ?と思うことはありませんか?」と先生としての質問が。
参加者から生徒として
「戦争しているはずの中華民国が会議に参加しているのと、(南京政府)とあるのがおかしいと思いました。」の答え。
チューターTさんは、
「育鵬社の教科書で、どう授業をすすめていくか?どう教えていくか?」ということを、
“現役の教員に向けて”提案していくことが大事ではないか?という視点で発表をし、
そうしたTさんの質問に参加者が考えて答えるという形式で会は進みました。
◯チャンドラ・ボースのことも話題になりました。
チューターのTさんの「社会科教員を数十年してきたけれど初めて見る名前だった」との発言から、
戦中世代の参加者が“軍国少年だった”幼少期の思い出とともに、
「当時の新聞にチャンドラ・ボースの名前が載っており珍しい名前だったため記憶に残っている」
「育鵬社の切り口は当時の新聞、大本営を持ち上げる内容とそのまま一緒だ」
と発言されたことが印象的でした。
また、チャンドラ・ボースの紹介記述で、
ガンジーやネルーと並べているところに「東京書籍や学び舎が名前を挙げていないということは民主的な活動でなかったのではないか?日本に協力したからといって、持ち上げるような説明がいやらしいと感じる」という意見も上がりました。
◯今回の学習会で特筆すべきは、「Facebookのページを見た」という小学高学年のお子さんをもつ方が初参加されて、感想を発言されたこと❗️
「私が習ったこととずいぶん違う内容でびっくりした。育鵬社の教科書を使うことになる子どもの将来に不安を感じる。高校受験、大学受験にも影響するのでは…と危機感を感じる。」と感想を発言して帰られました。
次回、第16回学習会は定例の第2火曜ではなく、第3火曜の3月21日13時からとなります。
15時終了予定です。
特別に、松山大学遠藤泰弘先生にドイツ近現代史について講演していただく予定です。
資料代として参加費300円をお願いしています。
参加希望の方は、申し込み不要ですので愛媛県教育会館(松山市北持田町131-1)まで直接お越しください。
(駐車場はありますが、数に限りがあります。公共交通をご利用いただくか、駐車場がいっぱいの場合は付近のコインパーキングをご利用ください。)
こちらは議論編となります。
※第15回学習会 2017年2月14日(火)13時から。
チューターは元中学社会科教員のTさん。
「74 太平洋戦争(大東亜戦争)」(育鵬社p.234-235)
「75 日本軍の進出とアジア諸国」(育鵬社p.236-237)を中心に、すすめました。
◯輪読が終わって、「75 日本軍の進出とアジア諸国」の部分の育鵬社教科書の指導書のコピーと、Tさんのインドネシアの知人から現地で使われている教科書の一部コピーとその訳が資料として配られました。
育鵬社教科書の指導書は、今回初めて資料として使われましたが、見開き左側には単元のねらいとなること、授業をどうすすめるか?発問例や板書の例などがありました。
そして、見開き右の「学習資料」の部分では…
(引用)
1️⃣【図版】大東亜会議
「・・・①共存共栄の秩序の建設、②自主独立の尊重と互助、③伝統の尊重と民族の創造性の伸暢、④互恵的経済発展、⑤人種差別の撤廃ーの5項目をその綱領とする「大東亜共同宣言」を採択したが、具体的効果はなかった。」
3️⃣【図版】大東亜共栄圏の範囲にある国々と地域
「・・・開戦直前の1941年(昭和16)年11月、大本営政府連絡会議においてわが国は、
①民心の把握と治安の確立、②重要国防資源の確保、③作戦軍の自活確保を骨子として、占領地に対する軍政三大原則を定めていた(南方占領地行政実施要領)。
そうした背景から軍政初期なっては、物資の調達と戦争遂行に日本軍は重点を置き、独立を許容しなかったため、アジアの解放者として日本の進出を歓迎した各地の独立運動家や民主主義者は、日本に対し失望の色を隠さなかった。・・・」
5️⃣【図版】泰緬鉄道
「・・・東南アジアで日本軍と協力したボースのインド国民軍らの活動は、欧米の民主政治とアジアナショナリズムの対立と矛盾、そして日本による利己的な利用を示す典型となった。」
…と、書いています。
(「大東亜共同宣言」や「南方占領地行政実施要領」の史料は、お持ちだったY先生が学習会終了後、報告に使えないかと送ってくださいました。)
「あれ?
教科書記述は、当時の日本の立場から書いているような主観的な記述なのに、指導書の「学習資料」はちゃんと史料を参考に客観的な事実が書いてある…。
えらい印象がちがうな。」
という感想を持ちました。
(ひとつ前のブログ記事に、育鵬社教科書の記述を紹介しているのでよければ参照ください。)
参加者からも同様の意見が出され、
「史実として、育鵬社の教科書記述では合わないということが証明されているのではないか。
教科書としてこれではいけない。」との声もありました。
◯指導書では、学習の導入として教科書p.236の写真資料①を活用を例として書いています。
チューターTさんから
「この写真を見て、あれ?と思うことはありませんか?」と先生としての質問が。
参加者から生徒として
「戦争しているはずの中華民国が会議に参加しているのと、(南京政府)とあるのがおかしいと思いました。」の答え。
チューターTさんは、
「育鵬社の教科書で、どう授業をすすめていくか?どう教えていくか?」ということを、
“現役の教員に向けて”提案していくことが大事ではないか?という視点で発表をし、
そうしたTさんの質問に参加者が考えて答えるという形式で会は進みました。
◯チャンドラ・ボースのことも話題になりました。
チューターのTさんの「社会科教員を数十年してきたけれど初めて見る名前だった」との発言から、
戦中世代の参加者が“軍国少年だった”幼少期の思い出とともに、
「当時の新聞にチャンドラ・ボースの名前が載っており珍しい名前だったため記憶に残っている」
「育鵬社の切り口は当時の新聞、大本営を持ち上げる内容とそのまま一緒だ」
と発言されたことが印象的でした。
また、チャンドラ・ボースの紹介記述で、
ガンジーやネルーと並べているところに「東京書籍や学び舎が名前を挙げていないということは民主的な活動でなかったのではないか?日本に協力したからといって、持ち上げるような説明がいやらしいと感じる」という意見も上がりました。
◯今回の学習会で特筆すべきは、「Facebookのページを見た」という小学高学年のお子さんをもつ方が初参加されて、感想を発言されたこと❗️
「私が習ったこととずいぶん違う内容でびっくりした。育鵬社の教科書を使うことになる子どもの将来に不安を感じる。高校受験、大学受験にも影響するのでは…と危機感を感じる。」と感想を発言して帰られました。
次回、第16回学習会は定例の第2火曜ではなく、第3火曜の3月21日13時からとなります。
15時終了予定です。
特別に、松山大学遠藤泰弘先生にドイツ近現代史について講演していただく予定です。
資料代として参加費300円をお願いしています。
参加希望の方は、申し込み不要ですので愛媛県教育会館(松山市北持田町131-1)まで直接お越しください。
(駐車場はありますが、数に限りがあります。公共交通をご利用いただくか、駐車場がいっぱいの場合は付近のコインパーキングをご利用ください。)