教科書採択を考える会ブログ

愛媛県松山市内の中学の歴史教科書が「育鵬社」版に変わるのを機に発足した会です。教科書比較の学習会も行っています。

第26回学習会報告「3 文明のおこりと中国の古代文明」

2018-03-13 16:10:26 | 学習会

更新遅くなりました💦

第26回学習会は、2月27日(火)13時から15時 於 教育会館1階会議室 23名の参加で行われました。
チューターはAさん。

今回の範囲は、「古代文明」でした。

教科書をみてみましょう。

「育鵬社」は「③文明のおこりと中国の古代文明(p.26-27)」。

2ページとコンパクトですが、縄文時代(6ページ)の後という構成で、「子どもたちが混乱するのでは?」との意見が多数出ました。


「学び舎」は「(3)ピラミッドのなぞ-エジプトの文明-(p.16-17)」「(4)ブッダになった王子-インドの文明-(p.18-19)」「(5)地下から出てきた大軍団-中国の文明-(p.20-21)」「(6)円形競技場の熱狂-ローマの文明-(p.22-23)」。見開き8ページありました。







「東京書籍」は「2 古代文明のおこりと発展(p.24-25)」「3 中国文明の発展(p.26-27)」「4 ギリシャ・ローマの文明(p.28-29)」「5 宗教のおこりと三大宗教(p.30-31)」。こちらも8ページあります。






配布資料はこちら。



チューターのAさんは、主に「文明とか何か?」について説明をしてくれました
(文明について説明の記述があるのは「東京書籍」「育鵬社」)。
「育鵬社」(p.26)


「東京書籍」(p.24-25)



その上で富の偏在が起こった理由を考えることが大事だと提起し、実際の記述について問題があると思う点を挙げました。

【育鵬社】
○p.26 L6

・ここに新石器時代の説明をもってくるのは適切か?
(東京書籍は、前回学習範囲に新石器時代の記述あり。学び舎には新石器時代の記述なし。)



○p.26 L14(赤ライン箇所)
・国粋主義が出ていると感じる
・もともとは「富を持った者」

○p.26 L17(青ライン箇所)
・軍隊の説明が間違っている
・軍隊は侵略のために使われる

○p.26 L18(緑ライン箇所)
・説明がおかしい


○p.27 L18(黄ライン箇所)
・鉄器が使用されたのは農耕にも使われ、こちらの方が軍備よりも優先されたのではないか?

○p.27 右下のコラムより
・紀元前8世紀ごろにエジプト文明は衰退していないので、この記述はおかしい。


【参加者からの意見】

●育鵬社はエジプト文明の記述内容が少なすぎる。逆にp.26をほぼ全部使って、「文明のおこり」を書いている意図は何だろうと思う。


●育鵬社p.26 L13の「国家」について。
国家という言葉を使うと、子どもたちは近代と同じものとして受け取るのではないか?
「軍隊」「法律」「裁判」という言葉も同様。

言葉を変装している印象を受ける。
子どもたちはこんがらがるのではないか?

近現代における言葉の意味を理解できなくなる。
人類の長いあゆみを否定する印象を受けるのでは?と危機感がある。


●育鵬社はあっという間に国や支配者が出来上がってくるイメージ。
それに対して学び舎は、ゆっくりと順を追って説明していると感じる。


●p.26の記述の入り方がイヤ。
歴史を「わが国」から見るというのが…。


●教科書に書いてあることと、子どもたちがわかるかどうかは違う。
「学び舎」にはメソポタミア文明の記述がないが、「育鵬社」「東京書籍」とも記述内容が子どもたちにわかるような具体的なものでないことをみると必要ないのかもしれないと感じた。

国のなりたちをそれぞれ知ることが大事だと思う。


●学び舎p.17の欄外資料、現代のエジプト博物館館長の言説が正しいと思われる。
奴隷にもやさしい社会だったという説もある。



●学び舎p.18 L8からの記述について。カースト制は現在も影響が大きいものなので、もう少し記述があってもよいと感じた。



●学び舎p.19 L5の「考える」という記述は正しいか?「瞑想」と覚えているが違うか?



●ブッダも人として悩んで苦労したことを扱っている学び舎はいいと思う。
子どもたちの生き方模索に役立ってくれることを期待したい。


●学び舎p.21の『論語』のコラムは、生き方の入り口になるものが載っていて良いと思う。





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