教科書採択を考える会ブログ

愛媛県松山市内の中学の歴史教科書が「育鵬社」版に変わるのを機に発足した会です。教科書比較の学習会も行っています。

第39回学習会「鉄砲伝来と織田信長」

2019-04-02 16:15:05 | 学習会
第39回の月いち学習会は、3月26日(火)に行いました。

参加者は春休みの影響もあってか13名と少なめでした。

今回の範囲は、「鉄砲伝来と織田信長」。チューターはYさん。

育鵬社は、pp.106〜108。



学び舎は、pp.96〜99。



(東京書籍はpp.104〜106が呼応する範囲でした)




Yさんの作成資料はこちら。
「鉄砲伝来で何が変わったか?歴史的な意味は?」をポイントにした説明からはじまり、新しい物好きであったという織田信長がのし上がったきっかけにもなったという流れがわかりやすかったです。





意見交流では、「鉄砲」と「火縄銃」の違いはなんだろう?からはじまり、ここでも育鵬社の特徴が「歴史を学ぶ子どもたちにはわかりにくいのではないか?」と指摘されました。


「鉄砲伝来」について。
育鵬社・東京書籍では「鉄砲」と記述(育鵬社p.106)(東京書籍p.104)されており、学び舎のみ「火縄銃」(学び舎p.96)と書かれています。

調べてみると、鉄砲の中でも初期の簡易なものを火縄銃と区分しているようです(Wikipediaより)。


記述の中でも、育鵬社の記述では、
「日本の優秀な刀鍛冶の手によって複製がつくられ、またたく間に全国に広がった(育鵬社p.106より要約)」
と兵器としての普及のみありますが、

学び舎には
「火縄銃は、はじめは猟の道具として使われるようになりました。さらに、兵器としても使用されるようになるて、急速に広まりました。

火縄銃をあつかうには、特別な訓練が必要でした。火薬の調合も、天候によって変えなければなりませんでした。(学び舎p.96)」
と、経緯と使われ方まで細かく載っています。



「キリスト教布教」について。
育鵬社の記述(p.106〜107)では、なぜキリスト教が広まったのかわかりにくいのではないか?との指摘がありました。



構成が似ている東京書籍では、こんな記述・資料になっていました(東京書籍 p.105)

慈善活動を通じて民衆に寄り添った布教活動のため信者が増えたことが記述から、信者の増え方も長い年月をかけて増えていったことが資料からわかります。

育鵬社の記述ではピンとこなかったところが納得いった感じです。

学び舎では、キリスト教の布教は南蛮貿易と関連づけて書かれていました(学び舎 p.97)


また、育鵬社教科書では、日本を「わが国」と記述し、外国が日本を礼讃する内容の資料をやたらと多く扱っているとして有名なのですが、今回の範囲でも日本を褒め称える内容の資料紹介がありました。(育鵬社 p.107)



最後に、参加者からあったこんな指摘をご紹介します。
「育鵬社の織田信長の記述(育鵬社p.108)は、戦い方(他の戦国大名を負かせた内容)中心だが、

学び舎での織田信長(p.98〜99)は、産業・文化中心の記述で人柄がわかるような資料も付いている。



私は、人の負かせ方・のし上がり方だけ優れていると紹介する教科書は子どもたちに手渡すものとして不向きだと思う。」



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。