教科書採択を考える会ブログ

愛媛県松山市内の中学の歴史教科書が「育鵬社」版に変わるのを機に発足した会です。教科書比較の学習会も行っています。

第7回学習会 「63ロシア革命と第一次世界大戦の終結」

2016-06-17 12:01:27 | 学習会
お待たせしました!第7回教科書学習会の報告です。(長いので、お時間があるときにm(._.)m)


6月14日(火)の13時から、20名の参加者で行いました(於 教育会館 1階会議室)。

今回のチューターは、Aさん。学習テーマは「ロシア革命」でした。


教科書を比較する際のページはこちら。
育鵬社版「63 ロシア革命と第一次世界大戦」(p.212-213)

東京書籍「2 ロシア革命」(p.200-201)

学び舎 「(9)パンを、平和を、土地を-ロシア革命と平和-」(p.210-211)


今回のテーマは、「教科書採択を考える会」の学習会としては初の外国史!!

「第一次世界大戦後の世界の動きを理解する上でロシア革命は重要!!」とのことで、学習することになりました。



今回チューター役のAさんはロシア革命前の世界の動向(思想家の著作も含めた!)を

資料としてまとめてくださいました。










そして、ロシア革命の流れを把握するためにAさんが作ってくれた資料がこちら。


1905年の「血の日曜日事件」から1924年のレーニン死去までの出来事を

どんな出来事だったか、背景までわかるような丁寧な内容でした。
(Aさん、大変な作業だったと思います。おつかれさまでしたm(._.)m)

学習会では、Aさんお手製の資料を一通り読んでから、教科書比較にうつりました。


ポイントは
◯ロシアの民衆が何を求めていて、どんな出来事だったのか?

◯それが資料と記述でわかりやすく説明されているのはどこの教科書か?

◯日本との関わりは?

というところだと思います。


Fさんは教科書の記述比較の資料をつくってくださいました。




意見交流では、育鵬社記述についての指摘が多かったです。

「共産主義」に対する嫌悪が出過ぎている、悪意を感じる記述が多い…



(育鵬社 p.212)

(育鵬社 p.213)

東京書籍・学び舎では、ロシアの市民たちが幕に要求を掲げている写真資料が載っていますが、

(東京書籍 p.200)

(学び舎 p.210 学び舎の資料説明の方がわかりやすいですね。
横断幕には「子どもを養え/家族を守れ」(左)「兵士の家族に 食料の配給を増やせ/自由を守れ/人民に平和を」(右)とあります。)

育鵬社では「演説するスターリン」の絵だけ。

(育鵬社 p.212)

しかも、資料説明には「“共産党の一党独裁による”(“”は筆者)共産社会の実現をめざした。」とあります。

レーニンの説明に共産党の一党独裁の記述はまちがいではないか?という指摘がありました。



また、育鵬社の記述では、最初から「共産主義」「共産党」という言葉を使っていますが、

東京書籍・学び舎では「社会主義」革命という言葉を使っています。

東京書籍では、革命後ボリシェビキ派が共産党と名を変えたこと、
スターリン体制になってからの独裁について触れています。

(東京書籍 p.201)


「シベリア出兵」についての議論では、「育鵬社の記述に腹が立つ!!」とお怒りの方もいました。

シベリア出兵は4年近くなされたが、日本の兵士は何のために出兵されたのかわかっていなかったはず。

東京書籍では「干渉戦争」であったことがきちんと書かれてあるが、

育鵬社は「…シベリア出兵を行い、共産系軍と戦いましたが、成果がないまま撤退しました。」の「成果」って何? 領土を狙っていたこともちゃんと書いていないし酷すぎる!
と怒ってられました(^_^;)

(育鵬社 p.212 シベリア出兵の資料)

(東京書籍 p.201 シベリア出兵の写真資料)

東京書籍では、シベリアの領土を狙っていたこともきちんと資料説明で書いてありますね。


元中学社会科教諭で今も史学研究されているNさんは、論点整理した資料を持参して参加されました。

革命前のロシアについての記述が、三社ともなかったのですが、

育鵬社と東京書籍は、近代の章の一番はじめ(日本史ではペリーの黒船来航・開国あたり)に

外国史がまとめてありました。


学び舎は、革命前のロシアについては、近代の前の近世の最後あたりに記述があるようです。

(ここでも育鵬社が異常なのは、「フランス革命」の記述が8行しかなかったことΣ(・□・;)

東京書籍と学び舎はそれぞれ2ページの記述がありました。)



Nさん資料では、「学習指導要領」の中でこのロシア革命の単元は、

「第一次世界大戦の件(くだり)に、日本の参戦、ロシア革命なども取り上げて、世界の動きと我が国との関連に着目し」

とあるだけなことを紹介。
くわしく教えなくていいということなのでしょうか???


「留意すべき課題」での指摘も鋭いです。
◯なぜ、大戦下で通常の革命でなく、社会主義革命が成功したのか

◯なぜ、ロシアは即時(無賠償・無併合の)講和が可能だったのか。
逆に言えば、大戦参戦諸国はなぜ戦争を途中からでも止めることが出来なかったのだろう。

二つ目の問いには「戦争している連中にはもうけがある。ドイツや第二次世界大戦の日本も同じ。」と意見を言われて、7回目の学習会は終わりました。

まとめです。

学び舎 p.211 欄外資料「平和に関する布告」で
「無賠償」「無併合」「民族自決」の三つがちゃんと書かれている


学び舎 p.211 1918年のドイツ革命にも触れている(育鵬社・東京書籍とも記述なし)

ということで、Aさんは「学び舎版」が一番書くべきことを書いているという意見でした。


長々とおつきあいありがとうございましたm(._.)m


次回の学習会は、7月12日(火)13時から、

松山市北持田町の教育会館1階会議室です。

婦人公論6月号

2016-06-14 20:58:19 | 事務局日記

学習会参加者のAさんから教えていただきました。

婦人公論6月号60ページに教科書採択についての記述があるそうです。

記事は、横浜の教科書採択についてとりあげていますが、
「横浜の教育委員会も現場の教師、保護者・市民の声を聞かんのかいっ!!!!!!!」

と腹立たしさと情けなさで一杯です。

日本人の歴史認識、このままではいよいよ危ないところまでいってしまいそうでやりきれません。


育鵬社歴史教科書では、育鵬社・東京書籍・学び舎の三社が比較されています。

会で比較学習会している3冊と同じです。

それだけでなく、育鵬社公民教科書についても三者で比較されています。
(こちらは育鵬社・東京書籍・日本文教出版)

読めるようにコピペしちゃうと、版権の関係で怒られそうなので(ギリ読めないから許してください、中央公論新社さま)、詳しくは購入してお読みくださいm(._.)m

http://www.fujinkoron.jp/newest_issue/index.html

http://ci.nii.ac.jp/naid/40020824789

第6回学習会まとめ

2016-06-09 15:54:47 | 事務局日記
こんにちは、事務局Hです。

暑くなってきましたね、半袖でも汗をかくようになりました(^^;)

5月17日の第6回学習会で、チューターをしてくださったSさん、Yさんから学習会のまとめをいただきましたのでご紹介します。

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 この学習会では、はじめに、1910年代の世界の出来事を概観しました。そして、この時代をどうとらえさせようとしているのかを比べてみました。

 単元の導入では、育鵬社版は、「歴史絵巻 近代②」で、第一次世界大戦から日本の終戦までを幼稚なイラストで表わしていて、現実味が感じられません。

東京書籍版では、人々の生活の様子が分かる資料を選び、二度の世界大戦を通して人々の生活にも目を向けさせようとしています。

学び舎版では、その姿勢がより明らかで、戦争の惨禍が人類に何をもたらしたかを考えさせ、その中でも特に女性の声や民族運動の高まりについて学ぶことを学習課題としています。


 この三社の学習課題の違いが、第一次世界大戦の記述や資料の選択の仕方にも、大きく表れています。

子どもたちの歴史の見方にも影響してくるのではないかと思いました。

 東京書籍版や学び舎版では、第一次世界大戦の特徴を現す総力戦や塹壕戦の様子、新兵器の使用などの資料が多数提示され、戦争の悲惨さや兵士の様子がよくわかるように工夫されています。

特に、学び舎版では、戦死したドイツの学生兵士の手紙や、戦意高揚をねらったポスターが提示されています。人々が戦争に駆り立てられ、たくさんの被害を生んだ実態がよくわかります。

学び舎版の大きな特徴です。


 育鵬社版では、第一次世界大戦の居術が、p.210とp.213に分断されていて、戦争の特徴をまとまってとらえにくくなっています。

資料一つで、戦争の受け止め方が大きく違ってくることを改めて感じました。


 話し合いの中では、まず、この戦争がなぜ起こったかを考えさせる上で、第一次世界大戦が世界分割をめざす帝国主義戦争であったということをおさえる必要があるという意見が出ました。


 つぎに、日本がこの戦争にどうかかわったかということについて、大事な指摘がありました。

発表者が見落とした資料についての指摘で、話し合いが深まりました。育鵬社版では、「地中海の日本海軍艦隊」と題した資料を載せて、三国協商側で活躍したとしています。

今までの歴史の授業では取り上げていないような出来事を、大きく取り上げています。

この記述は、ほかの二社では全く触れられていないことであり、たった一度の日本海軍艦隊の動きを、このような形で取り上げる育鵬社版の記述の仕方には、疑問を感じました。



えひめ母親大会に参加しました

2016-06-05 20:42:46 | 事務局日記


こんばんはー、事務局Hです。

今日は、第59回えひめ母親大会に参加しに東温市まで行ってきました(^ ^)


「教科書採択を考える会」のチラシを母親大会の資料に折り込ませていただきました。




午前は、第3分科会「学力・教科書問題を考える」に参加し、

午後の全体会、伊東英朗さんの記念講演「放射線を浴びたX年後から考える」のあとの運動交流でも発言させていただきました。

発言した内容は以下の通りです。
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「子どもたちに育鵬社の教科書を手渡したくない」

2015年、松山市は、中学校の歴史の教科書は、育鵬社版の採択を決定しました。

今治市は東京書籍に戻りましたが、県立中学、新居浜市、四国中央市、上島町も育鵬社に決めたので、

子どもの数からすると、愛媛県は育鵬社の採択率が過半数を超え、日本一になってしまいました。

後日、松山市の学校報告書を調べましたが、驚くことに、26校すべての学校が育鵬社を選んでいなかったのです。

松山市教育委員会は現場の教師の意見を全く無視しました。

8月末から9月にかけて愛媛新聞の門欄への投書が相次ぎました。(このブログの2016.4.5記事に投書内容をまとめています)

投書の効果で、『教科書採択』に関して、関心を持つ方が増えましたが、県民への周知は今一つです。

私たちは!育鵬社の教科書の中身を知りたいと思い、学び舎・東京書籍・育鵬社の三社の教科書を見比べながら学習会を続けています。

毎月第ニ火曜日13時から15時まで松山市北持田の教育会館で実施しています。

育鵬社の教科書の特徴は、偉人中心・戦争賛美・「愛国心」のおしつけです。

庶民の暮らしの記述が極端に少ないのです。

また、日本の優位性を強調するあまり外国・外国人を蔑視する記述も目立ちます。

育鵬社の教科書では国際人としてまともに育つことができないのではないかと憂慮します。

安倍政権が目指す、大企業のための、「戦争する国」の人材育成に最も役立つ教科書です。


育鵬社の教科書を、子どもたちに手渡したくないという思いから、中学校入学式の日、市内の中学校7校で

保護者向けのチラシを手渡しました。27名が参加してくれました。

中学校歴史教科書のみならず、公民・道徳でも採択される危険性があります。

育鵬社の教科書の中身がどうなっているのかを吟味しなければなりません。

教科書の内容をしっかりと学習し、真実を子どもたちに教える義務が私たち大人にはあると思います。


教科書展示の場所に出かけ、教科書の内容をよく調べ、感想文や意見を書く、教育委員に自分たちの意見を届けるなどの運動を広げたいという思いでいっぱいです。

みんなで力を合わせ、子どもたちに素晴らしい教科書を手渡すようにしようではありませんか。