
第72回「京大俳句会」句会作品
日時: 2015年2月28日(土曜日)
於: 京大農学部総合館W210セミナー室
4得点句
春浅き付点八分音符かな 悠
春風や百万遍の壁俳句 楽蜂
目の隅に三ヶ月入れて家路かな 秋芽
3得点句
少年は声変わりして木の芽風 託志
まな板に鱗はりつく寒廚 裕美子
ブルドーザー最後に残した水仙花 佳子
2得点句
日脚伸ぶ理学部付属植物園 悠
嫁きたる子供部屋にも年の豆 康博
春愁H•He•Li•Be(水平リーベ)僕の船 託志
1得点句
菜の花は享年十八銀の雨 武史
大試験フェルミ問題なむあみだ 幸夫
吉田節分祭
父ちゃんの影に隠れて鬼遣ひ 楽蜂
鹿眠る飛火野あたり春暮鐘 裕美子
メンデルスゾーンとの出逢ひ
復員の叔父口ずさむ春の歌 幸夫
花屋にも八百屋にも菜の花 佳子
家雀ちょこちょこちょこっと春を踏む マーティン
ヒト型の神シトする春の原 奇散人
レタス園惑星ころり集合す 託志
猫の恋一途(づ)な営にも敗者 幸夫
ほほ笑めば微笑み返すひな人形 正臣
修驗者の影うすれゆく春の川 夜汽車
無得点句
万能となれぬ列島冴え返る 楽蜂
蓮の花神の光のあふれをり 裕美子
もてなしの舞妓の茶席梅香る 正臣
草青むコンビニおにぎり二つ三つ 悠
酒疲れ二日續きや春の雨 夜汽車
世の中を憂っているか春時雨 ハメさん
節分の神楽運びて風谷渡る 秋芽
梅ヶ香や大陸戦の兵の夢 泰夫
りんりんと扇が開く君子蘭 登美子
思い出の木造校舎日向ぼこ 正臣
山に消え川面に消えて細雪 秋芽
早植えのエンドウ豆に母を恋う 泰夫
夢を吸い現(うつつ)を吐いてまたの春 武史
間夜はむせび泣きたる老梅か 登美子
満月に旅客機の影潮の風 丁稚一号
車窓より眺むる世界氷点下 丁稚一号
沈丁花生命の恋にむせびけり 泰夫
ねこやなぎ曇り空にも光立つ 登美子
薄紅の焰吉野を舐めて春 丁稚一号
図書館へ知りたい心を放牧に 佳子
桂銀淑すがるをとめのこゑ愛し 夜汽車