第43回京大俳句会句会 2012年8月25日(土) 於:京大農学部W210セミナー室
3点句
登りゆくか言問の満月 砂 高田銀次
ラムネ玉耳に涼しく海の町 うらたしおん
尻からげ死にたいパラリ死にたい 高田銀次
2点句
だるまさんがころんだ近づくと怒る 小嶋くまひこ
髪を切り告白ごっこの新学期 うらたしおん
昼神に出逢うか青い三輪車 小嶋くまひこ
恋なんてとろとろストロで海を吸う 宮本武士
別れをり無花果のやうな朝来たる 新谷有里
湖のグレン・グールド晩夏光 中島夜汽車
知らん顔して銀のヤンマの碌でなし 清水光雄
1点句
送り火を見るそれぞれの顔をみる 梶原竹明庵
死してなほ雑魚と戯むる鯨かな おいけのかっぱ
死馬を買い賢者集いて夏宴 平身亭腰折
縄文人知らで過ぐしし稲の花 和田悠
親送り送り火拝む親となり 浅野節子
苦爪(くづめ)楽髪(らくがみ)梔子(くちなし)次郎紅蓮隊 中島夜汽車
ダイアリー開(あ)け雷(いかづち)のどっと落つ 新谷有里
秋蝉のこゑ何となく薄っぺら 和田悠
鎮魂歌なほ響きたる夏の果 安藤栄司
朝顔昼顔夜の御酒こぼす 高田銀次
夏衣久しく見ない恋女 平身亭腰折
女子寮の真上に灯るお月さま おいけのかっぱ
何事も3分間の女たり 中山登美子
藪入りは娘日々来て死語となり 浅野節子
白球の真夏の快を貫けり 小西彰
ルージュに酔いどれ幸福列車は空をゆく 宮本武士
井戸通りあの世へ行くとか盆の寺 新谷真理
しまなみや虎魚(をこぜ)の海で昼寝する おいけのかっぱ
赤い髪やさしく揺れて秋来たる 宮本託志
無得点句
晩夏をなまけて夕日とラム酒かな 宮本武士
蓮の葉よくるくる回る群舞かな 中山登美子
未使用の蠅取り紙や凱旋門 岡村知昭
原発を今に悔みて原爆忌 安藤栄司
林立す赤きひこばえ伐られけり 大月健
靖国に菊一輪を捧げけり 服部泰夫
みの虫やきみは鬼の子我も鬼の子 小嶋くまひこ
ハスの葉に思い出並べ父母を待つ うらたしおん
秋思ふ珈琲カップの染み拭ひ 新谷有里
大学の中庭暗し葉鶏頭 和田悠
パルチザンなら南国へ叩き売る 岡村知昭
朝露やわが住所同じけり 中山登美子
匂い立つ大徳寺納豆カブト呼ぶ 浅野節子
八月の国境の島波高し 安藤栄司
熱帯夜眠れぬ刻を誑かし 平身亭腰折
滑舌の穏やかならず誘蛾灯 岡村知昭
宇治川にうす紫の秋燕 中島夜汽車
初盆や我が足下に黒い影 坂本悠一