京大俳句会 KYODAI HAIKU KAI

京都大学を拠点に活動している京大俳句会のオフィシャル・ブログです。

第49回 「京大俳句会」句会の案内 (2013年2月23日)

2013-01-31 13:27:55 | Weblog

Photo by Takanori OISHI

第49回「京大俳句会」句会の案内

日時:2013年2月23日(土)午後1時~5時
場所:京大農学部総合館W210セミナー室
   (北部生協前に12時50分集合)

参加費:500円

◎俳句は有季定型・無季定型・自由律と形式は問いません。
◎3句を用意して下さい。欠席投句は1句です。

◎参加者希望者は下記まで連絡してください。
京大俳句会
大月健  TEL 090-4280-3334
中島和秀(メール)nakajima.kazuhide.7x@kyoto-u.ac.jp

第48回 「京大俳句会」句会作品 (2013.1.26.)

2013-01-31 13:24:57 | Weblog

Photo by Takanori OISHI

第48回「京大俳句会」句会作品 2013.1.26

於:京大農学部W210セミナー室

5点句
 枝高く仮の世つかむ寒鴉  平井奇散人 

3点句
 風やんで寒月木立の骨を透く  山下おるふぇ 

2点句
 ユニクロの鬼門を飾る実南天  清水光雄 
 冬の雨かぞえて居るや男宿  中島夜汽車 
 氷雨降り心のぞける破れ傘  ハメさん

1点句
 雪おんな凶眼慈眼哀しみの  宮本武士 
 大旦(おおあした)女四代寿(いのちなが)  和田悠 
 薄氷割って始まる今日の私  宮本託志 
 三日昼鶺鴒とゐる川辺かな  和田悠 
 知らぬ草白雪姫と名付けたり  宮本託志 
 寒閑と五指炙り出すどんどかな  熊村きしりん 
 門松の竹青々と日和よし  浅野節子 
 月影や水のみ動く雪の駅 山下おるふぇ
 亡霊も花魁も居る初句会  中島夜汽車
 コンゴ河肺魚ぬたりぬたりと聖夜かな おいけのかっぱ 
 風・空・時静まりかえる雪見かな  宮本託志
 冬夕焼ケイナ吹く人身を傾げ  大石まさ子 

無得点句
 肩縮めカッコーカッコーピヨピヨピヨ 有年無月
 人一人殺してみよと啼く鴎  中島夜汽車
 御正月太箸遺い雑煮喰う  ハメさん
 受話器より不意にモモの声あす退院  大月健
 退屈入院点滴の数をかぞえている  大月健 
 イソップの裁判ドラマ厄落し  中山登美子
 蝋梅も首縮めたる寒さかな  山下おるふぇ
 冬の月見果てぬ夢の一里塚  辻本康博
 厳かに姉の年玉三千円  有年無月
 日向ぼこ性善説も温かく  宮本武士
 熱田一(あつた)逝く光に影の五日かな  安藤栄司
 春の日は暖と寒とが入り交り  ハメさん
 御降(おさが)りの濡らせる道や夕まぐれ  和田悠
 水仙やただ一輪に春はあり  服部泰夫
 極寒や再び母は生還す  小西彰
 年賀状来ない来ないとポスト見る 有年無月
 風花に一輪車の回り道 中山登美子
 初夢を忘れぬようにして忘れ  梶原竹明庵
 喫茶店ゴリラがおどる絵寒の入り  大月健
 冬の雨おめでたき人涙勝ち  中山登美子
 万両の色あかあかと巴塚  福田由美
雪あかりきみは女狐ぼくは愛  宮本武士

書評 藤木清子全句集『ひとときの光芒』

2013-01-23 14:43:12 | Weblog
 藤木清子全句集 『ひとときの光芒』

 私にとって待望の書、藤木清子全句集『ひとときの光芒』が刊行された。
 藤木清子の作品、
  戦死せり三十二枚の歯をそろへ
 が気になっていたからだ。田島和生著『新興俳人の群像』で見たような気がしていたが載っていない。宇多喜代子の他の著作かもしれない。その時、藤木清子の全容を知りたいと思った。
 編著者宇多喜代子の努力にも関わらず、藤木清子の全容は明らかになっていない。生年は不明で、没年も明かではない。健在であれば九十才位だから生存している可能性もある。
ただ、彼女の俳句作品は網羅されているのではないかと思う。日野草城主宰『旗艦』七十号(昭和十五年十月号)に作品を発表して彼女は消息を断っている。藤木清子の俳人としての期間もまた、短い。昭和六年から昭和十五年の十年間である。
 藤木清子が所属していた『旗艦』は新興俳句運動の牙城だった。投句する『京大俳句』はその中心に位置している。彼等は無季定型を説き、その表現は戦時下の社会に批判的だった。『京大俳句』事件はそのような情況の中で起こった。昭和十五年に主要会員十名が逮捕され、雑誌は廃刊を余儀なくされた。戦況が深まるにつれて藤木清子の俳句は光彩を放てくる。
  白い昼白い手紙がこつんと来ぬ
 戦争と女はべつでありたくなし
  友寡婦となり曇日の花しろき
  きりぎりす清貧の血の一筋に
 病人も医師もしずかに聖戦下
 新興俳句運動を藤木清子がどれだけ意識していたか分からない。『旗艦』に参加し『京大俳句』に投句したのも夫藤木北青と一緒だからである。夫君の影響下にあったと見た方がいい。昭和十一年の藤木北青の病死以後、彼女の表現は鋭く、また豊になる。中日戦争から太平洋戦争へと戦況が深まっていく過程とそれは重なっている。新興俳句運動の過程を辿ると、戦火想望俳句の提唱と、それ以後の反戦的表現と矛盾した動きを呈している。社会情況に流されやすい一面がある。藤木清子の作品にはそれがない。寡婦という位置から、社会情況をひややかに見つめている。夫を戦時に送る妻、子を戦争で失う母と戦争は女性の上に重くのしかかる。藤木清子にはそれがない。
 戦死せり三十二枚の歯をそろへ
 私がこの作品にこだわるのは、もはや新興俳句の範疇から抜け出ていると考えるからである。感覚がそのまま表現されて、戦争と対峙している。彼女の表現の中には個の重さが感じられる。
 ひとすじに生きて目標をうしなへり
 藤木清子はこの作品を『旗艦』に残して句界から去った。『京大俳句』事件があった直後である。文学表現として選んだ俳句に弾圧がかかり、知人友人が逮捕される。たまったものではない。また、彼女自身の内部でも瓦解現象が生じていたのではないだろうか。後半の句はそれだけ逼迫したものを持っている。
 (大月健)

 沖積舎刊 A5版 180頁 3000円


第48回「京大俳句会」句会の案内 (2013年1月26日)

2013-01-04 19:34:33 | Weblog

Photo by Takanori OISHI

第48回「京大俳句会」句会の案内

日時:2013年1月26日(土)午後1時~5時
場所:京大農学部総合館W210セミナー室
    (北部生協前に12時50分集合)
参加費:500円

◎俳句は有季定型・無季定型・自由律と形式は問いません。
◎3句を用意して下さい。欠席投句は1句です。
◎参加者は2日前までに連絡して下さい。

京大俳句会
大月健  TEL 090-4280-3334
中島和秀(メール)nakajima.kazuhide.7x(at mark)kyoto-u.ac.jp

第47回 「京大俳句会」句会作品 (2012.12.22.)

2013-01-04 19:29:06 | Weblog

Photo by Takanori OISHI

第47回「京大俳句会」句会 2012年12月22日(土)  於:京大農学部W210セミナー室

4点句
そんな日もあったと笑う蕪蒸  平井奇散人

3点句
寒鯉や鱗の内に秘めるもの   おいけのかっぱ
冬の雨悔ゆる思いも滲みたり  芦名猛夫

2点句
ほどいては編んではほどく初恋の うらたしおん
奈良町のポンと底打つ冬至かな 平井奇散人
なにもかものうなってさあ寒牡丹 安藤栄司
冬晴や森の葉っぱは饒舌に   大石まさ子

1点句
膝坊(ひざぼん)を見せて女子力おお寒し  安藤栄司
極月や寄せる眉間の皺深き   辻本康博
果つる身のポインセチアの炎かな 小西あきら
白鷺の木立にも雪こんこんや  小口昌子
父母(ちちはは)の写真見せし少女息白し  芦名猛夫
わた虫と書いて出てくる総選挙 清水光雄
ほぉと出る白色吐息冬霞    松田浩子
年の瀬や彫刻刀の切れ悪し   梶原竹明庵
化膿せし指を撫でつつ冬ざるる 芦名猛夫
裸木や長き冬至の影をふむ   小吹和男
柊の花静かにて夜匂ふ     福田由美

無得点句
この国の阿保は治らず冬の月  清水光雄
冬枯れのパスカルの群れ天王山 うらたしおん
反原発度合いで霧散師走の選挙 大月健
風と波ナイショ話をすなる夜  松田光志
おいでやすえろう今夜は寒おすな 清水光雄
一枚の無農薬田や秋アカネ   小吹和男
あの眼冬の眼次郎が食べた   宮本武士
朔風に身を屈せて進む吾    平身亭腰折
猫がいて車窓の原っぱ枯れている 大月健
時雨橋ご家さんきつね通りけり 宮本武士
煤逃げの用事探しも尽きにけり 安藤栄司
討ち入りや恩讐の情越えて行く 服部泰夫
ちはやふる蝶凍りけり     中島夜汽車
でたらめなステップすべる冬銀盤 松田光志
声上げて飛び立つ鳥や山眠る   西本真理
散紅葉一望ただに人寄せず    小西あきら
見つめてもポインセチアと縁を切る 中山登美子
呀(あっ)!               中島夜汽車
煤払い恋の糸くず散りぬるを   宮本武士
退屈入院波止釣りの夢を見る   大月健
母見舞い手を抓られて痛痒し   平身亭腰折
実を運ぶ冬の鳥たち鉄塔を越え  うらたしおん
踊り場でじっと手を見る日向ぼこ 平井奇散人
三列整然電線にあり寒雀     小西あきら
目に心入れて重たい荷を下す   小吹和男
吾子の瞳の奥に佇立すサンタかな 松田光志
酒は吹雪か           中島夜汽車
寂寥に見上げる空は玄の月    平身亭腰折