川越雑記帳2(川越見て歩き)

石碑見て初めて知れり斗盦さん(一番街・小林斗盦先生故居)

一番街の通りを北上し、札の辻より少し手前の右側(東側)に、国の重要文化財に指定されている大沢家住宅がある。


その向かい側に小さな公園があり、左にレンタサイクル、右にベンチが並んでいる。
以前はここにも建物があり、大沢家住宅の全体を撮るのに少し苦労した。
その建物が無くなり、現在のような細長い公園になっている。


その入口の右側に新しい石碑が建てられている。
石碑と言っても石柱で、その各面に碑文が書かれている。


正面と左脇には色々な言語で、同じ内容が書かれてる。
正面には、日本語と中国語が書かれている。

上段の日本語では、次のように書いてある。

小林斗盦先生旧蹟
篆刻(てんこく)界の巨匠小林斗盦(こばやしとあん)は、1916年この地に生れ、
十代で世業(せぎょう)の印章に従事しながら書法(しょほう)・印学(いんがく)の研鑽に務め、
やがて書家・比田井天来(ひだいてんらい)、篆刻家・河井荃廬(かわいせんろ)等名流の知遇を
得るに及び、本場中国に直結する印人(いんじん)として書壇(しょだん)に登場
します。
戦後は日展を中心に旺盛な作家活動を展開するなか、
印学研究の結実ともいえる「中国篆刻叢刊(てんこくそうかん)」全四十巻を
上梓(じょうし)し、その学問に裏付けられた理知的で品位のある印風は、
国内外で高い評価を受け、その功績により2004年に
文化勲章を授与されています。   世業・・・家業のこと
                 上梓・・・出版のこと

小林斗盦先生故居
篆刻界巨匠小林斗盦于1916年在这里诞生、从十来岁起就
开始从事印章篆刻这一祖传家业、同时学习和研究书法、印学、
不久便得到书法家比田井天来、篆刻家河井荃庐等名家的赏识、
并作为一个能在书法王国中国立足的篆刻家出现在书法界。
战后、他以日展(日本美术展览会)为中心精力旺盛地投入到
了作家创作活动之中、并出版了可視为印学研究结晶的《中国
篆刻丛刊》全四十册。源于深厚的造诣、其富有理性、格调高
雅的篆刻印风享誉国内外、并以其卓越的成就、在2004年
荣获日本文化勋章。
他还历任了中国西冷印社名誉副社长。


中国語は簡体字で書かれているので、現代の日本語の文字に置き換えると次のようになる。

小林「瓠巴鼓瑟而沈魚出聴」先生故居
篆刻界巨匠小林斗?于1916年在這里誕生、従十来歳起就
開始従事印章篆刻這一祖伝家業、同時学習和研究書法、印学、
不久便得到書法家比田井天来、篆刻家河井?廬等名家的賞識、
并作為一箇能在書法王国中国立足的篆刻家出現在書法界。
戦後、他以日展(日本美術展覧会)為中心精力旺盛地投入到
了作家創作活働之中、并出版了可視為印学研究結晶的《中国
篆刻叢刊》全四十冊。源于深厚的造詣、其富有理性、格調高
雅的篆刻印風享誉国内外、并以其卓越的成就、在2004年
栄獲日本文化勲章。
他還暦任了中国西冷印社名誉副社長。

上に日本語があるので、何となく意味は分かるが、最後の1行は日本語にはない。

裏に廻ると、篆刻について書かれている。


篆刻について
「印」は七千年ほど前のメソポタミアに発祥し、
その後、中国へ伝わり、漢時代には皇帝から庶民に至るまで
「信用の証」のため多くの美しい印が作られました。
日本には江戸時代、中国より伝えられ、古代文字「篆書」を
石印材に彫ったものを「篆刻」と称します。

关于篆刻
“印章”起源于约七千年前的美索不达米亚文明、之后传入中国、
到了汉朝、上至皇帝下到庶民都用其作为“信用的证明”、因此
诞生了许多做工精美的印章。
印章在江户时代从中国传入日本国内、用古代的“篆书”在石
印材上雕刻成的印章被称作“篆刻”。


これも、上と同様に現代の日本語の文字にすると次のようになる。

関于篆刻
"印章"起源于約七千年前的美索不達米亜文明、之后伝入中国、
到了漢朝、上至皇帝下到庶民都用其作為"信用的証明"、因此
誕生了許多做工精美的印章。
印章在江戸時代従中国伝入日本国内、用古代的"篆書"在石
印材上彫刻成的印章被称作"篆刻"。


説明文の他に赤い字で篆刻が書かれている。
次の2つは、碑文にある通り「瓠巴鼓瑟而沈魚出聴(こはしつをこせばちんぎょいでてきく)」である。




2文字のこれは、おそらく「斗盦」だろう。


川越の出身だが、小林斗盦についてはほとんど知らなかった。
このような石碑があることも、あまり知られていなのではないだろうか。
碑文には書かれていないが、2007(平成19)年91歳で亡くなっているようだ。

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

コメント一覧

川越原人
OKOさん、コメントありがとうございます。
20種類の印を使い分けているのはすごいですね。
篆刻にはあまりなじみがなく、小林斗盦についても知りませんでした。
川越市立美術館で展示するなどしてもらえるといいなと思っています。
oko
篆刻を印象深く拝見いたしました。
私も半紙用の漢字、かな、条幅用、ペン字用等に20種類を作って頂き、作品とにらめっこしながら押印しております。
2010年8月の歴史倶楽部の旅に茨城県古河市に日本唯一の「篆刻美術館」を訪ねました。
確か文化財に指定と思いました。
川越の出身の小林斗盦氏の作品もあったかもしれませんね。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「碑文を読む」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事