こんにちは、ジニーです。
またまた久しぶりの投稿となってしまいました。
今日はたまりにたまっている読書感想を書いていきますね。
今回は森絵都さんの「風に舞い上がるビニールシート」です。
森絵都さんは、正直最近まで知らなかった作家さんでした。
いつも拝読しいている読書ブロガーさんの過去記事を見ていく中で、短編小説のおすすめの中に本作が紹介されていてたのがきっかけで名前を知り、その後よく注意してみるといろんなところで名前を見る作家さんだと気づきました。
結構ミステリー小説ばかり読む僕なので、時々心が温まるような小説や、ライトに読める小説が無性に恋しくなる瞬間があります。
その時のために準備していたうちの一つが本作です。
本作は6編の物語が収録されています。
【器を探して】
天才パティシエの奔放なオーダーに振り回され、東京から岐阜まで美濃焼を探しに行くことになった女性の物語。
仕事に追われ恋人との関係も怪しくなる中で彼女が選ぶものは。
【犬の散歩】
場末のスナックで働くエリと飼い犬の話。
「私にとって犬は牛丼のようなもの」と口にするなぜエリ。彼女はなぜお金が必要なのか。
【守護神】
とある大学に都市伝説のごとく存在するニシナミユキ。彼女にレポートの代筆を頼む男子学生の話。
ニシナミユキの正体は、そして男子学生はなぜ代筆を頼むのか。
【鐘の音】
仏像や観音像などの修復を手掛ける職人の物語。師匠の下から離れた男の抱えていたものとは。
仏に魅せられた男たちの不器用な物語。
【ジェネレーションX】
弱小出版社に勤める健一と、玩具メーカーの直己が一緒にクライアントへ謝罪に向かう話。
車中で感じるそれぞれのジェネレーションギャップとその行く先にあるものは。
【風に舞い上がるビニールシート】
難民の保護を仕事とする国連機関ではたらく夫婦の物語。
愛する夫をなくした里佳が抱える喪失感はどうしても埋められないままでいたが。
どの物語も芯を持つ主人公が特徴的で、それがゆえに悩みもがく姿があります。
しかし、決して暗くなるものではなく、最後に曇り空から光明が差すような爽快感が残る作品です。
いろんなプレッシャーやストレスに追われ、少し自分の居場所を見失ってしまいがちな人が読むと、温かな気持ちを思い出してもらえるような小説でもあると思います。
いずれの話も主人公の人間らしさがあり好きなのですが、特に好きなのは「ジェネレーションX」。
似たような仕事をしているところが共感にもつながっているのだと思いますが、世代の違う二人の男が車中で繰り広げるストーリーとその先にあるほっこりとした終わり方がとてもいい読後感でした。
「鐘の音」も少しミステリー要素があって面白かったです。
本作のレビューをみると、表題作でもある「風に舞い上がるビニールシート」への評価が高く。
大切なものを大切にしようとするからこその葛藤と救いが感じられました。
ぜひこれからも森絵都さんの作品を読んでいきたいと思っています。
なにかおススメとかありましたら、コメントなどで教えてもらえると嬉しいです!