こんばんは、ジニーです。
12月の3冊目は東野圭吾さんの「私が彼を殺した」。
僕の大好きな加賀恭一郎シリーズです。
この作品には、兄弟ともいえるものが存在しておりまして、
読む際はそちらから読んでいただくほうが、本作品の趣旨や作者のこだわりが
より感じられると思います。
その作品は、「どちらかが彼女を殺した」。
この二つの作品に共通しているのが、犯人が誰なのかを
明かされないという点です。
つまり、読者自身が犯人を当てなくてはいけないのです。
本書の中で、加賀恭一郎の捜査の様子を見る中で
犯人を特定するヒントはすべて出てきます。
終盤、加賀恭一郎の推理による真相解明が展開されるのですが、
最後の最後で
「犯人はあなたです」
で終わるのです。
「どちらかが彼女を殺した」では容疑者は2人。
「私が彼を殺した」では容疑者が3人になります。
それだけでも難しいのに、本作の構成はその容疑者のそれぞれの視点で語られるため
各容疑者の思惑や、隠していることは作品の中で明確に表現されず
その分情報が限定的になるという難しさもあります。
しかし、東野圭吾さんの作品は、本当にサクサク進みます。
もうね、次が気になって仕方ないのです。
物語は、結婚を控えた神林 美和子を取り巻く形で展開していきます。
結婚相手は脚本家である穂高 誠が式の途中で客の見守る中、命を奪われます。
死因は毒によるもの、殺人です。
容疑者は3人。
美和子の兄である、神林 貴弘。
穂高のマネージャーである、駿河 直之。
美和子の担当編集者である、雪笹 香織。
みんながみんな穂高に殺意を抱いています。
詳しく読むとわかりますが、物語の途中、全員が「自分が殺したぞ」というのです。
経緯は実際に読んで確認していただきたいのですが、
全員穂高を死に追いやった毒を所持する機会があり、それぞれに殺人を計画し
結構しようとしているんですよね。
殺意を持たない人の中に、容疑者がいるというわけではないので
みんなが怪しく感じてしまうのです。
さて、加賀恭一郎はどのように真相にたどり着くのか。
読者としてどこまでその推理に近づけるのか。
もし、わからないという場合も、ご安心ください。
本編とは別に、解決のための手ほどきが袋とじでついています。
真っ向から作者とぶつかっていくタイプのミステリー。
作中の探偵役が暴き出す様子を読み追いかけるのとは、違う種類の爽快感が
得られるのが同タイプの作品の魅力ですね。
うんとひねった脳みそが、絡まった糸をうまく解きほぐした瞬間、探偵になったような気持ちを味わえます。
ぜひ、挑戦してみてください。