おはようございます、ジニーです。
2月の読書は、なかなか時間が取れずギリギリになってしまいました。
テレワークの影響もあって、通勤する時間そのものがなくなったのも
痛いですね・・・。
さて、今回の読書は大好きな葉村晶シリーズ。
若竹七海さんの「悪いうさぎ」です。
クールでニヒルで口が悪い。
自分が納得できるまで真相を追いかけてしまうため、トラブルに巻き込まれる
ことも数知れず。
友達と言える人数も少なく、周囲にいるのはクセのある人間ばかり。
プロフィールからすでに一筋縄に行かない感じですが、
世界一ハードラックな女探偵でおなじみの葉村晶。
今作は、シリーズとしては初の長編小説。
ある女子高生の家出に関する依頼を受けたところから始まる事件は
行方不明事件となり、その先にある真相に読み手は心の芯を締め付けられる
ような感情を持つことになると思います。
いわゆるイヤミスってやつです。
中でも今作は、まあよくケガをします。
刺されたり、踏まれたり、殴られたり、滑り落ちたり・・・。
読んでいるこちらまで痛くなってきそうな、満身創痍の体で
真相を追いかける彼女の姿には、「そこまでせんでも」と感じてしまいます。
世に言う探偵は、事件を解決していく存在です。
なんか、僕らのイメージとしては、いろんな証拠を集めて、
犯人の矛盾をついて、加齢に謎を解くというイメージをしますが、
葉村晶はそんな読者の期待をあっさりと裏切るハードボイルドな性分です。
とにかくギリギリ。
追い詰められて追い詰められて、真相にたどり着く。
その姿は泥まみれ(割と正しい表現)。
本人には悪いのですが、そこが本シリーズの面白いところなのですがw
内容は前哨戦、序盤戦、前半戦、後半戦、終盤戦、前哨戦再びと
更生されていて、試合のような形で進みます。
個人的には序盤戦のあたりから終盤戦のような印象を持ちますけどね。
行方不明となる女子高生たち。
その親と、親同志の繋がり。
メインとなるのはこの辺りの人間関係ですが、余計なことにも
首を突っ込むので、関係ないところから曲者が参戦してきて
自分で自分を苦しめていく形です。
読んでいるうちに葉村晶が追い詰められていく姿を楽しむ作品なのかな?
なんて気がしてきてしまうほど、作者は徹底的に追い込んでいきます。
なんとなく鉄の女というような、肉体的にも精神的にもタフなイメージを
持っていたのですが、本作ではさすがの葉村さんもダイアモンドほどの
タフさは持っていなかったのかと、なんだか人間味を感じるような
所もあり、勝手にイメージを押し付けていたことに反省しながら読む
瞬間もありました。
非常に長い作品ですが、シンプルにまとめると、
「純粋」と「残酷」の共演。
「純粋」なものが「残酷」なものに踏みにじられていく様を
読み進めていくうちに感じるのではないかと思います。
本作のもう一つの楽しみは、葉村晶の悪態w
物語は葉村晶の一人称で語りが進みますが、ところどころはいる
内情がとにかく面白い。
ほめ殺し?ちょっと違うな。
無理やりプラスの言葉に置き換えるような、マイナスの感情って言ったらいいのかな?
うまく形容できないのですが、そういった場面だけでひん曲がった性格だと
いうことが透けて見えるんです。
それが葉村晶のキャラクターを絶対的に形づけていて、ここまで作品を
読み進めていくと、「これがないと物足りない」という気持ちにすらなってきます。
根性のひん曲がった主人公が、それ以上にひん曲がった人物に振り回されながら
後味の悪い事件の真相にたどり着くストーリー。
こういうと読みづらくなっちゃいそうですが、読み進める手は止まらなくなると
思います。
それくらい面白い。
ぜひ、この葉村晶にはまってみてください。
葉村晶シリーズ、ほかの感想も良かったら読んでみてください。