ジニーの、今日も気まぐれな感じで・・・

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伊坂幸太郎 『フィッシュストーリー』 読了

2018年12月27日 23時40分00秒 | 読書
こんばんは、ジニーです。


12月、2冊目の読了は、伊坂幸太郎の『フィッシュストーリー』。
久しぶりの伊坂さんです。

前回は今年の2月に『死神の精度』を読了しています。
伊坂幸太郎 「死神の精度」 読了
あれから10ヶ月もたっているのですね。
そりゃ年も暮れます。



さて、今回読んだ『フィッシュストーリー』ですが、
4つの物語からなる短編小説です。
「動物園のエンジン」
「サクリファイス」
「フィッシュストーリー」
「ポテチ」
がそれぞれの物語のタイトルです。


どれも伊坂ワールド満載の、どこかシュールな物語。

「動物園のエンジン」は、タイトルの通り動物園を舞台に
ちょっとした叙述トリックをお手軽に味わうことのできる作品。

「サクリファイス」は同著者のほかの作品でも登場することになる
探偵黒澤が活躍する、とある村のしきたりにまつわる話。

「フィッシュストーリー」は売れないバンドの最後に仕上げたCDが
何世代にもわたり不思議な効果を生み出す話。

「ポテチ」では再び探偵黒澤が登場し、空き巣と空き巣に入られた
家の主との奇妙な関係を辿った話。

簡単なあらましを列挙するだけでも、
「どういう話?」と興味をそそられますし、
読んでいくと、思いがけないところに着地することになり
ある意味で予測不可能なサスペンスな味わいを楽しめる作品となっています。


中でも、一番好きなのは「ポテチ」。
このタイトルから、そういうテーマなの?と唸ってしまう内容です。
空き巣に入った男が、ろくすっぽ物色もせず、その家の漫画を読みふける。
ここからどんな物語が始まると思います?

コンソメパンチとうすしお。
コンソメパンチ食べようとして、うすしお食べてしまって
感情的に涙するのって、どんな境遇だと思います?

非日常がの世界で、非日常を語るのに、
カギを握るアイテムは自分になじみの深い日常的なもので
その妙なバランスが、いつの間にか僕の中の平衡感覚を失わせて
あれよあれよと作者の掌の上。
なんだかジンワリとした感傷を味わいながら
「ポテチ」というタイトルから想像もしないテーマに、思わず笑みがこぼれます。
だけど、タイトルは「ポテチ」が一番しっくりくる。


伊坂幸太郎なりのナンセンスが、小気味いいテンポで繰り広げられる本作は
著者の世界をまだ知らないに人とっての、お試しとして
手に取るのもきっといいのではないかと思います。


ちなみに本書のタイトルである「フィッシュストーリー」。
意味はホラ話、らしいです。

内容に関連は・・・あるようなないような。
どっちだよ!

どっちでもいいんです。
それはおまけみたいなもんだから。



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