会計業界戦線 異常アリ

インターネットの登場によって、顧客の流動化が進む会計業界。このブログでは、会計業界の変化を綴っていければと思います。

現代広告を牽引する、5人のクリエイター4/KEIGO

2009-03-12 14:42:53 | クリエイティブ
引き続き、雑誌『Pen』から。


KEIGO
上海の新鋭は、「中国らしさ」とモダンを融合!

著しい経済成長に伴い、広告業界も躍進を続ける中国。

そんな市場を狙う外資系の広告会社が、世界中から進出。外国企業への規制緩和も追い風となり、市場は益々、活気を帯び始めた。

中国第2の都市・上海には昨年、ナイキをはじめ、クリエイティブな広告の数々を手がける「ワイデン+ケネディ」が参入。商品と企業名を謳っただけの、あまりに直接的な中国の既存の広告とは異なる、斬新な広告スタイルで、大きな話題を集めた。

その広告チームの一員であり、注目の若手との呼び声高いのが、グラフィック・デザイナー、KEIGOだ。

芸術を息づかせるため、紙の上で格闘する。

KEIGOは25歳ながら、これまでフォルクスワーゲンや、P&Gなど、大手クライアントの広告を手がけてきた。美術学校を中退し、広告会社を数社経て現在はフリーという、中国では異端ともいえる存在。その作品は、新しい匂いを感じさせてくれるものばかりだ。

たとえば毛筆の文字や、租界時代を経た上海ならではのシノワズリ(中国趣味)など、中国独自の古いエレメントを、紙の上で相反するモダンな要素とミックスさせるのがKEIGO流。そこに現れるコントラストは、時に強烈ながら、心地よい均衡を保つ。

また、自ら作画したものをパソコンに取り込み、デザインに用いることも得意としている。

いまだ多くのデザイナーがWEB上でデザイン要素を探し、そのまま引用する中国で、彼のその手法は、国内では珍しい。

「僕が好きなのは、野田凪や佐藤可士和の色使いや考え方。北野武の映画も」と話す彼の作画からは、それらと少なからずリンクする、ロマンティシズムや暴力、デカダンスが漂う。

しかし、クライアントあっての広告。自分の好みを紙の上で大いに表現できる場面は少ないのが現状だ。

「日本は理解あるクライアントが多く、素晴らしい。中国では、クライアントはデザイナーを理解せず、コントロールしようとする。だから新しいデザインが生まれない」と嘆く。

クライアントの支持と理解のもと、クリエイティブなチームワークによって、優れた広告が生まれることを、ナイキの仕事で学んだ彼にとって、現在の中国の広告業界は、まだまだ発展途上といわざるを得ない。

しかしながら、本人は広告そのものに絶望してはいない。

「芸術は広告の中にも存在する、と僕は思う。1%の時もあれば、99%の時もある。どちらが優れた広告かって?それはどちらにも可能性がある」

わずか1%でも芸術を息づかせようと、紙の上で格闘する。それは、もがきに近いのかもしれない。

だからこそ、KEIGOの広告は美しい。


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現代広告を牽引する、5人のクリエイター3/アンディ・ファクレル

2009-03-12 14:07:46 | クリエイティブ
引き続き、雑誌『Pen』からです。

このアディダスの世界広告シリーズはかなり話題になり、記憶に残っている人も多いと思います。


アンディ・ファクレル
見る者を圧倒する映像で、アディダスを再生。

いま、世界で最も優秀なクリエイターが集まる街、アムステルダムの中でも、パワフルな快進撃で注目の的となっているのが「180」(ワンエイティ)のクリエイティブ・ディレクター、アンディ・ファクレルだ。

アンディの代表作は、何といってもアデイダスの世界広告シリーズ。日本でもお馴染みの作品群だ。

ワールドカップ・キャンペーン「+10」は、スペインの下町で草サッカーに興じるガキ大将2人が、それぞれのチームを編成して対決する話だが、そのあまりの豪華なメンバーには、世界中が度肝を抜かれた。

巧みなCGコピーで、インパクトあるCFを実現。

ベッカム、ジダン、バラック、ランパード、カーン、果ては”将軍”プラティニに”皇帝”ベッケンバウアーまでが登場。そんなサッカー界のスターたちの動きを、リーダーである少年は容赦なく叱咤する。

最先端のCGで実現した、この夢のような遊びは、「何やってるのっ。家に帰ってきなさい!」と、お母さんにベランダから怒鳴られたところでおしまい。オチのつけ方が、また洒落ている。

英国人のアンディが180に参加したのは2002年。その前は、アメリカ・ポートランドにあるエージェンシー「ワイデン+ケネディ」で、アディダスのライバル、ナイキのブランディングに関わっていた。

それ以前は5年ごとにシドニー、ロンドン、シンガポールのエージェンシーを転々としている。有能なクリエイターが、アンディのように世界を渡り歩く例は多い。

「アムスに移ったのは、アディダスの世界戦略がすごく面白かったから。実はアディダスは沈みかけていたブランドだったんだけど、マーケティングチームに何人かのキーパーソンがいて、彼らが見事に蘇らせたんだ」

アディダス再生のキーフレーズともいえるのが、アンディが広告でつかった「Impossible in nothing」。

「普通は『Nothing is impossible(不可能はない)』になるんだろうけど、言葉を入れ替えることで、『Impossible is nothing(不可能なんて何事でもない)』に意味を変え、大きなインパクトを与えたんだ」

広告で成功したアンディが次に目指すのは映画だという。

「こっちでトップに昇り詰めた人材は、皆そうだよ。アイデアを考えて、それをどう実現させていくか、予算面も含めて作戦をねることは、映画にもぴったりだろう!?」

「180」という会社のネーミングも、フランシス・F・コッポラが映画を撮影する時に口癖のように言っていた、「いつも180度の転換、違う視点を心掛けよ」から来ている。

一流のクリエイターは、国境やジャングルをやすやすと横断していく。


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マタ・アトランチカ救済基金

2009-03-11 19:33:46 | クリエイティブ
ルシアーノ・リンコンの代表的な作品、「マタ・アトランチカ救済基金」です。

右下の作品は、木の年輪をマッチの炎に見立てたもの。

その下は、手の血管を木の枝に置き換えたものです。

何となくユーモラスな感じがするところが、いい味を出しています。


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現代広告を牽引する、5人のクリエイター2/ルシアーノ・リンコン

2009-03-11 19:16:55 | クリエイティブ
第二弾は、ブラジルのサンパウロ在住のクリエイターです。

“いいアイデアというものは、ほとんどの場合シンプルなものです”という言葉が、記憶に残りましたね。


SAO PAULO サンパウロ

ルシアーノ・リンコン
木々を人間に見立てて、森林保護をアピール

1974年ぺルナンブコ州レシーフェ生まれ。ペルナンブコ連邦大学ソーシャル・コミュニケーション学科卒業。大手広告代理店アルマップBBDOでアートディレクターを務めた後、6年前にF/Nazca社に転職。


ブラジルの広告といえば、明るいラテン気質を反映してか、派手な色使いが印象的だ。さらに、元々の写真に手を加えて、非常に人工的なビジュアルに仕上げてしまうことも多い。

そんなブラジル広告界にあって、ルシアーノ・リンコンは異彩を放っている。彼は、写真の持つ力をストレートに活かして、広告にメッセージを託す。代表的な作品が、環境保護を訴えた一連のシリーズ広告だ。


◆手を組み祈りを捧げる枝、両手を広げ天を仰ぐ新芽

子どもを抱く母親のようなシルエットの切り株、手を組んで祈りを捧げているような木の枝、両手を広げて天を仰いでいるような新芽……。

"人間"に見立てた木々の写真を使い、「コルポス(身体)」と名付けられたシリーズ広告は、ブラジルの森林地帯「マタ・アトランチカ」の救済基金を呼びかけるもの。

「優れた広告とは、単刀直入なものであり、わかりやすさはストレートに伝えるための最低条件です。植物を人間の姿にたとえることで、そのかけがえのなさを、ひとりひとりが感じてほしかった」とリンコンは語る。

全長4500㎞にも及ぶ広大な森林地帯マタ・アトランチカは、ポルトガル人がブラジルを発見した500年前に比べて、7・3%にまで縮小されてしまった。

無秩序な伐採によって消滅の危機にある肥沃な森林地帯は、動植物の宝庫であり、地球規模で保護すべき財産でもある。

マタ・アトランチカの広告では、「コルポス」シリーズ以外も、シンプルなビジュアルが特徴的だ。手の血管を木の枝に置き換えたものや、マッチの炎を木の年輪に置き換えたものなど、一目でメッセ可ジが伝わる。そのわかりやすさこそ、彼の真骨頂だ。

「マタ・アトランチカの広告は、”シンプルに伝えること”を念頭に作りました。ほかの広告を作るときもそうですが、いいアイデアというものは、ほとんどの場合シンプルなものです」

広告作りにおいて、リンコンは自分の特徴を、あえて出さない。

「優れたアートディレクターは、多彩な顔と手法を持っているものです。美しいもの、知的なもの、そしておかしなものを、写真やイラストなど、さまざまな要素を駆使してワンパターンにならないように心がけています」

では、リンコンにとって、広告とはいったい何だろうか?

「人を楽しませ、人の注目を呼ぶものでなくてはなりません。その結果として消費者を説得できるものでないといけないと思います」

確かに、森林保護を訴えるマタ・アトランチカの広告には、そのすべての要素が含まれている。


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TALK TALK

2009-03-10 23:30:42 | クリエイティブ
これは、チャールズ・インジの有名作品です。


新規参入のブロード・バンド電話会社「トーク・トーク」のCF。

たくさんの人が、輪になったり、手をつないだり、整列しながら、文字と絵を作っていく。

カラフルなビジュアルと、明るい音楽で、コミュニケーションの楽しさを前面に打ち出している。

消費者に名前を覚えてもらうためには、有名なタレントを使うだけが手段ではない。

アイディア次第で、面白いCFをいくらでも作れることを知らしめる1本。


「コミュニケーションとは、人と人とがつながること」という本質を、楽しいビジュアルで伝えることに成功しています。

芝生の上の「TALK TALK」の文字の、人列で作られたことを感じさせる微妙なずれのデザインが心憎い気がします。


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