黒猫亭日乗

題名は横溝氏の「黒猫亭事件」と永井荷風氏の「断腸亭日乗」から拝借しました。尚掲示板が本宅にあります。コメント等はそちらへ

おまけのこ

2008年04月02日 | 本のページ
おまけのこ
 
畠中恵  

評価☆☆☆      

おなじみ「しゃばけ」シリーズの第4巻となる本作、若だんなや仁吉、佐助に屏風のぞきや家鳴たちといったレギュラーメンバーがまたまた活躍してくれます。
ある意味佐助や仁吉にも手に負えない妖怪狐者異(こわい)の出現する「こわい」、家鳴が思いもかけず大冒険する「おまけのこ」、その他のお話「畳紙」「動く影」「ありんすこく」も楽しんで読むことが出来ました。
ただ、さすがに主だった登場人物に直接かかわるお話は少なくなってきているので、思い入れがない分読みごたえがないのは致し方ないか。それと「動く影」から急に出てきた感のある自分のことをさした「われ」という言い方がとって付けた印象が否めない。
それにしても妖怪とは元々、人の心が作り出したものだとすれば、どの妖怪もある面人そのものとも言える。とすれば、狐者異もまた人そのものと言えるのだろうか。なんだかそんな気がしてしまうほど、昨今は殺伐とした物事をよく見聞きする。それでも、彼の残した悲鳴にも似た叫びは忘れられない。
今回は解説を、ドラマにて仁吉役を担当している谷原章介さんが担当しているのもお楽しみです。



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