【コラム:】
すばらしい技術や能力や、役
割を持つこと。これは、人から
大切にされる条件だ。
しかし反対に、何の技術もなく、
何もできない人も大切にされる
ことがある。
たとえば赤ん坊。赤ん坊は無力
である。泣くことと眠ること
しかできない。
一見、何の役にも立たない。
しかし大切にされる。なぜだ
ろうか。
赤ん坊には無限の可能性があ
る。未来がある。今は何もでき
ない無力な赤ん坊だが、これか
らどんどん成長していく。
こういうヒトを、人は大切にす
るんのではないだろうか。
つまり、今はたいした能力がな
くとも、素直で、行動力のある、
これから成長する可能性を秘めた
人だ。
また、世話をする楽しみがある。
人の世話をすると、「自分が誰か
のために役立った」という気分に
なれる。めんどうを見たり、世話
をすることによって、
自分も何か学んだり、成長できる。
大人になっても、赤ん坊と同じ無力
では困る。自分では何もせず、人に
依存するだけではダメだ。
しかし、ある一面で無力であっても
いいのではないだろうか。
非情に貴重な能力を持つ人でも、何
ごとにおいても全て得意というわけ
にはいかないどろう。
苦手なことも、きっとある。すばら
しい絵を描く人が、
「実は私は歌がへたくそで・・・・」
ということもあるはずだ。
「あの人は、アイデアはすばらしい
けど、事務能力がないな。事務では
私がいろいろ教えてあげよう」
と、はりきって大切にしてくれる場
合もありそうだ。そんなときは、事
務の面ではしっかりお世話になって、
今後の成長を期待させれば、大切に
されるだろう。
「事務なんかできなくたって生きて
いけるんだ。そんなの必要ないバカ
げた能力だ」などといっているよう
ではダメだ。
大切になれる見こみはない。
自分にできることは快く提供して、
できないことは素直に提供しても
らう。お互い様に助けあえる人が、
大切にされるのである
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『創業120年』