技術者はどこへ行った

私は一応理系の人間なので、自分の事を技術者だと思っています。周りは認めてはくれませんが。

小さな工場で生産計画担当を１３年もやってたら、当然かもしれません。

去年の頭から、その小さな工場の主要生産品種に、原因不明の品質不良が続発し、それからもう１年が経過しようとしています。

その不良現象は、冬の寒い時期に頻発するので、気温や湿度などの影響を受けていると考えられるのですが、具体的な原因は分かっていません。

技術部門からは、湿度が低いとか、温度が不足とか、冬場は危険なんて表現をしょっちゅう聞くのですが、私がかつて生産技術の仕事をしていた頃は、そんな発言をしたら、張り倒されてるところです。

私は昔上司からはよく、「形容詞を使うな」と注意されました。技術者なら、少なくとも相対湿度は◎％、温度は◎℃と言うくらいの表現はしてもらいたいものです。事実を詳細に観察して、現象を数値化するのが技術の仕事だと思うのですが。

会議の席上で、技術部門の若手が「加工機械の温度設定を◎◎℃にしたら、性能が上がる傾向がある」なんて発言したので、「じゃ、その時の加工されている材料の温度は何℃なんだ？何℃を狙えば規格を満足する性能が出るんだ？」と質問しましたが、だれも返事してくれませんでした。

結局どうすれば安定して良品が作れるのか、誰も分かっていないんです。

「おい、お前ら、本当に品質問題を解決しようと思ってるのか？毎月何百万円捨ててるか知ってるのか？毎月お前の年収を上回る金を捨ててるんだぞ」と言おうと思ったのですが、言葉を遮られて喋る事はできませんでした。

ただでさえ忙しい中、睡眠時間を削って無理して会議に出てるのに、質問や発言を遮るのなら、もう、暴れるぞ。

「この会社には技術者なんていないんだ」と改めて感じた出来事でした。

今日も寒い

バイクで通勤です。指先の感覚が無くなりそうです。