とね日記

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『ディープラーニングと物理学』の参考書籍

2019年07月14日 16時31分08秒 | 将棋、AI
ディープラーニングと物理学 原理がわかる、応用ができる:田中章詞、富谷昭夫、橋本幸士」(Kindle版)(紹介記事


この本の巻末にはたくさんの参考書籍が紹介されている。そのうち和書を中心として特に気になっているものをピックアップしてみた。「ディープラーニングと物理学 原理がわかる、応用ができる」(Kindle版)は専門書だから、参考書籍のほうも難しい。

本書の読者は物理学や数学を学んでいない純粋にコンピュータサイエンス系、プログラミング系の人もいるだろうし、逆にプログラミングはさっぱりで物理学しか学んでいない人もいると思われる。だから専門的な参考書籍だけでなく、入門者レベルの本もピックアップして紹介することにした。

機械学習、深層学習を学ぶには微積分はもちろん数学として線形代数、統計学(確率論を含む)が必須である。また本書では物理学の知識も必要だから統計力学、超弦理論、一般相対性理論、素粒子物理を中心に本書の流れに従って紹介しておこう。


【第I部 物理から見るディープラーニングの原理】

専門書レベルの本

情報理論、機械学習に関する本は次のようなものが本書で勧められている。

情報理論 (ちくま学芸文庫) 」(Kindle版)(紹介記事
情報の物理学 (物理のたねあかし)
代数幾何と学習理論 (知能情報科学シリーズ)
  


パターン認識と機械学習 上」(シュプリンガー版
パターン認識と機械学習 下」(シュプリンガー版
 


深層学習 (機械学習プロフェッショナルシリーズ) 」(Kindle版
深層学習 (日本人工知能学会監修) 」(Kindle版
これからの強化学習
  


統計力学、イジング模型はもちろん田崎先生の本がよいだろう。熱力学も学んでおくとよい。(参考: 田崎先生のホームページ数学:物理を学び楽しむために

統計力学〈1〉 (新物理学シリーズ)」(紹介記事
統計力学〈2〉 (新物理学シリーズ)」(紹介記事
熱力学―現代的な視点から (新物理学シリーズ)」(紹介記事
  


本書で線形代数の本は紹介されていなかったが、僕のお勧めはこの本である。

線型代数[改訂版]」(紹介記事)(線形代数学入門のための教科書



統計学、ベイズ統計は、このあたりの本でよいのではないだろうか。

完全独習 統計学入門」(Kindle版
完全独習 ベイズ統計学入門」(Kindle版
 

物理の世界 物理と情報〈3〉ベイズ統計と統計物理



入門者レベルの本

次の2冊は「「AI(人工知能)と物理学」:1日目」で橋本幸士先生がお勧めになっていた本だ。

これならわかる深層学習入門 」(Kindle版
機械学習入門 ボルツマン機械学習から深層学習まで」(Kindle版
 

次の本もお勧めしておきたい。ライブラリを使わずゼロからプログラミングすることにこだわった本、必要な数学の解説もしている本である。

機械学習のエッセンス -実装しながら学ぶPython,数学,アルゴリズム-」(Kindle版



入門者向けの線形代数、統計学の本はこれがよいと思う。

高校数学でわかる線形代数―行列の基礎から固有値まで」(Kindle版)(紹介記事
高校数学でわかる統計学―本格的に理解するために」(Kindle版)(紹介記事
 


入門者向けの統計力学、熱力学は芦田先生の「~を学ぶ人のために」か「ゼロから学ぶ~」シリーズがよいと思う。ただしイジング模型は含まれない。

統計力学を学ぶ人のために」(紹介記事
熱力学を学ぶ人のために」(紹介記事
 


ゼロから学ぶ統計力学」(Kindle版
ゼロから学ぶ熱力学」(Kindle版
 



【第II部 物理学への応用と展開】

専門書レベルの本

逆問題については、この本が勧められていた。

物理の世界 制御する〈2〉逆問題入門



最初の本は特殊相対論と一般相対論、2冊目のは一般相対論の本。どちらも内山龍雄先生による名著だ。

相対性理論 (物理テキストシリーズ 8)
一般相対性理論 (物理学選書 15)
 


相転移、イジング模型は、この3冊が定番のようである。

相転移・臨界現象の統計物理学 新物理学シリーズ
相転移・臨界現象とくりこみ群
相転移と臨界現象の数理
  


ハミルトン形式の力学系カオスは、この本がお勧め。(紹介記事

Hirsch・Smale・Devaney 力学系入門 ―微分方程式からカオスまで― 第3版



スピングラスについて書かれた本は、これしか見つからなかった。

スピングラス理論と情報統計力学」(中古書



多体系、多粒子系の量子論は、このあたりだろうか。

ザゴスキン 多体系の量子論 新装版
多粒子系の量子論 (量子力学選書)
ボルツマンマシン (シリーズ 情報科学における確率モデル 2)
  


超弦理論は、橋本幸士の著書を含めてこの3冊がよいだろう。初級講座弦理論の発展編のほうにAdS/CFTの解説がある。

Dブレーン―超弦理論の高次元物体が描く世界像」(紹介記事
初級講座弦理論 基礎編」(紹介記事
初級講座弦理論 発展編」(紹介記事
  


洋書になってしまうが、AdS/CFT、ホログラフィー原理はこの2冊がよいと思われる。

Introduction to the AdS/CFT Correspondence」(Kindle版
Holographic Entanglement Entropy」(Kindle版
 


QCD(クォークの量子色力学)、格子QCDはこの3冊をお勧めする。

素粒子標準模型入門 」(紹介記事
格子上の場の理論
格子QCDによるハドロン物理 ―クォークからの理解―
  


ブラックホール表面の量子情報、時空の物理については、この本がよいと思う。

量子情報と時空の物理 第2版」(紹介記事



入門者レベルの本

逆問題についてはブルーバックス本が出ている。

逆問題の考え方 結果から原因を探る数学」(Kindle版



特殊相対論、一般相対論だとこの3冊がよい。

趣味で相対論」(Kindle版)(紹介記事)(著者のサイト
ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論」(紹介記事
一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する」(Kindle版)(紹介記事
  


ハミルトン系の解析力学を学んでいない方は、この本がお勧め。ただしカオス理論のことは書かれていない。

よくわかる解析力学」(紹介記事



超弦理論の入門書の定番、そしてカラビ-ヤウ多様体に関する科学教養書はこの2冊が詳しい。

エレガントな宇宙―超ひも理論がすべてを解明する」(紹介記事
見えざる宇宙のかたち――ひも理論に秘められた次元の幾何学」(紹介記事
 


超弦理論を手短かに知りたい方には、この2冊をお勧めする。

超ひも理論をパパに習ってみた」(Kindle版)(紹介記事
大栗先生の超弦理論入門」(Kindle版)(紹介記事
 


素粒子の標準模型、QCD(クォークの量子色力学)を手短かに知りたい方には、この2冊をお勧めする。

「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた」(Kindle版)(紹介記事
強い力と弱い力 ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く」(Kindle版)(紹介記事
 


この2冊は科学教養書である。それぞれ素粒子の標準模型と格子QCDを詳しく解説した本である。

「標準模型」の宇宙 現代物理の金字塔を楽しむ」(紹介記事
物質のすべては光―現代物理学が明かす、力と質量の起源」(文庫版)(紹介記事
 


ブラックホール表面の量子情報理論について知りたい方は、この2冊をお読みになるとよいだろう。

ブラックホール戦争」(Kindle版)(紹介記事
ホーキング、ブラックホールを語る:BBCリース講義」(Kindle版)(紹介記事
 


関連記事:

ディープラーニングと物理学 原理がわかる、応用ができる:田中章詞、富谷昭夫、橋本幸士
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5edea35c359ead77cf30915e9dd28bce

大学で学ぶ数学とは(概要編)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/07137c47d16d95ddde8f5c4cb6f37d55


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ディープラーニングと物理学 原理がわかる、応用ができる:田中章詞、富谷昭夫、橋本幸士」(Kindle版)(紹介記事


序文

第1章 はじめに:機械学習と物理学
・1.1 情報理論ことはじめ
・1.2 物理学と情報理論
・1.3 機械学習と情報理論
・1.4 機械学習と物理学

【第I部 物理から見るディープラーニングの原理】

第2章 機械学習の一般論
・2.1 機械学習の目的
・2.2 機械学習とオッカムの剃刀
・2.3 確率的勾配降下法
・コラム:確率論と情報理論

第3章 ニューラルネットワークの基礎
・3.1 誤差関数とその統計力学的理解
・3.2 ブラケット記法による誤差逆伝播法の導出
・3.3 ニューラルネットワークの万能近似定理
・コラム:統計力学と量子力学

第4章 発展的なニューラルネットワーク
・4.1 畳み込みニューラルネットワーク
・4.2 再帰的ニューラルネットワークと誤差逆伝播 
・4.3 LSTM
・コラム:カオスの縁と計算可能性の創発

第5章 サンプリングの必要性と原理
・5.1 中心極限定理と機械学習における役割
・5.2 様々なサンプリング法
・5.3 詳細釣り合いを満たすサンプリング法
・コラム:イジング模型からホップフィールド模型へ

第6章 教師なし深層学習
・6.1 教師なし学習
・6.2 ボルツマンマシン
・6.3 敵対的生成ネットワーク
・6.4 生成モデルの汎化について
・コラム:自己学習モンテカルロ法

【第II部 物理学への応用と展開】

第7章 物理学における逆問題
・7.1 逆問題と学習
・7.2 逆問題における正則化
・7.3 逆問題と物理学的機械学習
・コラム:スパースモデリング

第8章 相転移をディープラーニングで見いだせるか
・8.1 相転移とは
・8.2 ニューラルネットワークを使った相転移検出
・8.3 ニューラルネットワークは何を見ているのか

第9章 力学系とニューラルネットワーク
・9.1 微分方程式とニューラルネットワーク
・9.2 ハミルトン力学系の表示

第10章 スピングラスとニューラルネットワーク
・10.1 ホップフィールド模型とスピングラス
・10.2 記憶とアトラクター
・10.3 同期と階層化

第11章 量子多体系、テンソルネットワークとニューラルネットワーク
・11.1 波動関数をニューラルネットで
・11.2 テンソルネットワークとニューラルネットワーク

第12章 超弦理論への応用
・12.1 超弦理論における逆問題
・12.2 曲がった時空はニューラルネットワーク
・12.3 ニューラルネットで創発する時空
・12.4 QCDから創発する時空
・コラム:ブラックホールと情報

第13章 おわりに

謝辞
参考文献

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