超ひも理論やM理論によればこの世界は10次元空間に存在する振動する「超ひも」や11次元空間に存在する「膜」からできているそうだ。原子や電子を構成するさまざまな素粒子はこの弦が多様に振動する結果にすぎない。
超ひもが存在する10次元のうち6つの(余分な)次元はドーナツ型に丸まってしまって、時間と空間の1次元+3次元=4次元に住む私たちには見えない。この6次元のドーナツのことを発見した数学者の名にちなんで「カラビ-ヤウ空間(カラビ-ヤウ多様体)」という。(数学的にはカラビ-ヤウ多様体はn次元だが、超弦理論ではそのうち6次元のものが研究対象になる。)掲載画像は私たちにも見えるように3次元空間に投影したものだ。それぞれのカラビ-ヤウ多様体の大きさはは超ひもとほぼ同じで10のマイナス33乗センチメートルだ。水素原子のサイズが10のマイナス8乗センチメートル、電子のサイズが10のマイナス17センチメートルなので、これがいかに小さいかということがおわかりであろう。超ひも理論やM理論が相対性理論と量子力学を統一するこの世界の究極理論だとすると、このドーナツ型をしたものが空間のあらゆる点に存在しているそうだ。超ひも理論で、巻き上げられているカラビ・ヤウ空間の性質に「特定の操作を加えると、できた新しい空間が持つ偶数次元の穴の数が、もとの空間の持つ奇数次元の穴と数が等しくなる」という。(ワケわからん!)
掲載画像はこのページから拝借した。Mathematicaを使って描いたようだ。もともとの画像は掲載画像よりも鮮明なので掲載元のアニメーションをご覧いただきたい。
先日紹介した「エレガントな宇宙」の紹介記事はこのページで読めるが、ここにもカラビ-ヤウ多様体の図が掲載されている。また、このページでは掲載画像とは別のカラビ-ヤウ多様体がQuickTimeアニメーションで見れる。
竹内薫先生の「超ひも理論とはなにか」の表紙に使われているのもカラビ-ヤウ多様体である。
カラビ-ヤウ多様体について検索するうちに、これを理解するためにはかなりの数学的知識と経験が必要なようだ。キーワードを「カラビ-ヤウ多様体」として検索すると次のようなページがヒットする。群論、多様体、微分幾何学などまだまだ数学を勉強してからでないと歯が立たないようだ。まだ登山口にも着いていない気がする。道のりは遠い。。。
微分幾何学の最先端:
http://www.baifukan.co.jp/sinkan/shokai/mokuji/003476t.html
超弦理論のコンパクト化に基づく標準模型へのアプローチ:
http://www.icepp.s.u-tokyo.ac.jp/tokutei/outcomes/c01jun2006.html
原理の探求:
http://www.phys.sci.osaka-u.ac.jp/coe/program/principles.html
超弦理論の現象論・宇宙論への応用:
http://www-gauge.scphys.kyoto-u.ac.jp/pages/activity-pics/intro3.html
おまけ:携帯電話の待受けアニメーション画像
上で紹介したカラビ-ヤウ空間の画像を使って待受け画像を作ってみた。(240x240ピクセル)ファイル・サイズに制限があったのでなめらかに回転する動画にはならなかったが、このURLを自分の携帯メールに転送して使ってください。
カラビ-ヤウ多様体のステレオグラム動画を見つけたので紹介しておこう。手ごろなサイズで表示させて見てほしい。(立体視をするための方法)
関連記事:
見えざる宇宙のかたち:シン=トゥン・ヤウ、スティーヴ・ネイディス
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/943c5a3cf09a78c3b4e8e933ce379879
番組告知:NHKスペシャル「神の数式」(2013年 9月21日、22日)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1a809c46b31c32b3b3c84dc0be881ddc
NHKスペシャル「神の数式」の感想
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a2368bbcee58771d16dbcb4613dc077d
解説:NHKスペシャル「神の数式」第1回:この世は何からできているのか
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5f0430e3fed08f6947d5efbe9559fbbd
解説:NHKスペシャル「神の数式」第2回:宇宙はどこから来たのか
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/7ddecf5c37c9ef0e467bb5be8f168898
番組告知:NHK-BS1「神の数式 完全版」全4回 (2013年12月24日~27日)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d763b4d8161efae445f37e05ab23f1e6
番組の感想:NHK-BS1「神の数式 完全版」
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d63e471fcfd568bb2c5646646792e3cb
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私は小さい頃にニュートンが読める小児科に通っていたというだけで、いい大人になって再び興味を持ち始めつつある者です。いくつになっても、好奇心は忘れずにいきたいものですね。
はじめまして。コメントありがとうございます。
「ニュートンが読める小児科」というのはいいですね。
この記事を書いたのは2006年12月。待受画像は当時の携帯で許容されるGIFファイルの最大バイト数に合わせて作ったのですが、あれから携帯はずいぶん高性能化したものだとあらためて思いました。
ニュートンムック(ニュートン別冊)にも素晴らしい入門書が揃ってきました。常に新しい知識や考え方にワクワクしている人生を送りたいものです。
コメントいただき、ありがとうございます。気がつくのが遅くなり、失礼いたしました。
そうですね。現在の理論は現在を基準に打ち立てられているから、きわめて長い時間に動的に変化している宇宙を1次近似で見ているだけかもしれません。大統一理論では宇宙開始のごく初期の段階で4つの力が統一されていましたが、長い時間のスケールでは万有引力定数Gをはじめ、さまざまな宇宙定数が変化している可能性も考えられます。
ご指摘ありがとうございます。10年も前の記事で、当時は勉強不足でした。
正しくは「超弦理論で考えるカラビ-ヤウ空間は6次元」です。数学的にはカラビ-ヤウ多様体はn次元のものが考えられるわけですが、超弦理論では6次元の余剰次元空間が研究対象になります。
記事の本文を修正しておきました。
ちなみにM理論(時空次元が11次元)のときにどうなるのか、僕はまだ理解できていません。
それから時間が5次元だといわれましたがよく理解できません。外国の研究者の訳本を読んだら相対性理論で数学的には時間は4番目の次元なっているから時間は4次元であると書いてあります。また他の書物で時間軸を含めた4次元空間と書いてありますので時間は4次元ということになります。今まで私はそういうことで時間は4次元とばかり思っていました。
M理論のときのカラビ-ヤウ空間について、今後わかったらコメント欄を通じてお伝えしますね。
時間の次元についてですが、鈴木さまの勘違いの原因がようやくわかりました。つまりこういうことです。
ニュートン:1番目から3番目の次元は空間、4番目の次元は時間です。つまり空間は3次元、時間は1次元です。数学っぽく座標で書くと次のようになります。
空間:(x1, x2, x3)
時間:(t)
アインシュタイン:空間は3次元、時間は1次元なのですが、空間と時間が一体となった「時空」を考えるので「時空としての次元」は3+1=4次元です。数学っぽく座標で書くと次のようになります。
時空:(x1, x2, x3, t)
カルツァ・クライン理論、リサ・ランドール博士の理論(そして鈴木さまのお考え)では「空間」だけで4次元と考えていますね。
カルツァ・クライン理論
http://goo.gl/NVI80C
リサ・ランドール博士の理論
http://kamakura.ryoma.co.jp/aoki/paradigm/Lisa.htm
そして「時間」の次元は相変わらず過去から未来へ伸びる「1次元」です。空間だけで1番目から4番目の次元をあらわしているから、時間の次元は5番目の次元となるわけです。そうすると4+1=5次元になります。そしてアインシュタインのように空間と時間は一体ですから4次元空間の宇宙論での「時空」の次元は5になるのです。数学っぽく座標で書くと次のようになります。
時空:(x1, x2, x3, x4, t)
このうち4番目の空間次元の x4 は、これまでのやり取りからわかるようにコンパクト化されていることになりますね。
超弦理論では空間を9次元、時間を1次元と考え、時空としての次元数は10です。数学っぽく座標で書くとこのようになります。
超弦理論の時空:(x1, x2, x3, x4, x5, x6, x7, x8, x9, t)
このうち6次元の(x4, x5, x6, x7, x8, x9)の空間がコンパクト化されているカラビ-ヤウ空間をあらわしているのだろうと考えられているわけです。
> 相対性理論で数学的には時間は4番目の次元なっているから時間は4次元であると書いてあります。
これは間違いですね。時間はどの理論であっても今のところは1次元です。(2次元以上の時間次元を考える理論もありますが、ごく少数派です。)
> また他の書物で時間軸を含めた4次元空間と書いてありますので時間は4次元ということになります。
正しくは「時間は4番目の次元」で「時空は4次元」ということになります。
いいえ、時間の次元は空間の次元と関係ありません。ニュートンの理論、アインシュタインの理論、カルツァ=クラインの理論、超弦理論、M理論のどれであっても「時間の次元数は1」です。
アインシュタインの4次元の時空: (x1, x2, x3, t)
ですが、時間が2次元、3次元、4次元だとすると
時間が2次元の5次元時空:(x1, x2, x3, t1, t2)
時間が3次元の6次元時空:(x1, x2, x3, t1, t2, t3)
時間が4次元の7次元時空:(x1, x2, x3, t1, t1, t2, t3, t4)
のようになってしまいます。このような理論を考える物理学者はほとんどいません。
> 高次元空間になるほど時間の次元が上がって行くようですね。
いいえ、違います。鈴木さまが「上がっていく」とおっしゃっているのは時間のtの位置が( , , , )の座標の取り方で右にずれていくからそうお考えになったのだと思いますが、( , , , )の中の位置と次元数は関係ありません。
また、「○次元」、「次元数」、「○番目の次元」という言葉を混同されているようにも思えます。