2010年4月 1日
第12回準備書面 ~愛媛白バイ事故
いきなり第12回から読むというのも無謀とは思います。が、それでもトライしてみます。
事故の概要を掴んでいるつもりですが、その理解ではこの警察側の主張は意味不明・・・・
計算式まで出しておきながらワケワカメ、です。
それでも裁判長は判決を出したわけですから、この書面の意味もきちんと理解できた上で判断したはず。その判決文がどうなってるか、興味深いです。
◆ 「=被告=第12回準備書面= 」を取り急ぎ、文字化しました。 --> こちらのエントリから
◆ 他に参照したエントリー --> 「白バイ&ビックスクーターの転倒位置【県側の主張】 はこちら
平成19年(ワ)第751号 損害賠償請求事件平成20年(ワ)第253号 損害賠償請求反訴事件平成20年(ワ)第254号 損害賠償請求事件751号事件原告(反訴被告・254号事件被告) 山本昌樹
751号事件被告(反訴原告) 愛媛県
751号事件被告(254号事件原告) 兵頭 真
751号事件被告 国第12回 準備書面
平成21年10月2日松山地方裁判所民事第1部 御中
被告愛媛県及び被告兵頭真訴訟代理人弁護士 武田秀治
被告愛媛県指定代理人 鈴木雄二
同 白田英樹
同 大塚 徹
同 重松真史
同 花岡昌位
同 熊野雅仁
同 三多弘幸
同 川留信宏
同 金子 均
同 島村裕之
同 篠原政紀被告県らは,下記のとおり.原告の第13準備書両における求釈明事項に対
して釈明するとともに,同書面における原告の主張に対して反論をする。記
第1 原告の求釈明事項に対する釈明
原告は,本件事故における衝突後の車両の速度につき,白バイの移動距
離から白バイの衝突後の速度が計算できるのであれば,山本車からも山本車
の衝突後の速度を計算できるはずである旨を主張し,古本鑑定人が少年審判
時の証人尋問において,山本車の移動距離から計算した衝突後の速度が鑑定
書記載の衝突後の速度とほぼ同じであった旨を証言しているから,山本車の
移動距離から衝突後の速度を求めた際に使用した山本車の摩擦係数やその
計算式について明らかにするよう釈明を求めている。
古本鑑定人は,鑑定書(乙第5号鉦の2)記載の計算をするとともに,
山本車の摩擦係数を「0.35」と仮定して衝突後の速度を試算し,鑑定結果に
矛盾が生じないことを確認している。そして,その計算式は,
Ⅴ=√(2×α×l)
α:減速度(=摩擦係数×重力加速度(9.8))
l:衝突後の移動距離
の式から衝突後の速度を求めることができることから(乙第29号証第1
項《2頁》),古本鑑定人は,摩擦係数=0.35,衝突後の移動距離=9.
5を代入し.次の計算式により山本車の速度を約29.1km/h(約8.0
7m/s)と計算した。
なお,古本鑑定人は,少年審判の証人尋問において,上記計算により求め
た約29.1km/h(約8.07m/s)と白バイの移動距離から求めた約28.
5km/h(約7.93m/s)とを比較して,ほぼ同速度である趣旨を証言した
ものである。
(計算式)
√(2×0.35×9.8×9.5)
=8.0727938・・・
≒8.07m/s
≒29.1km/h第2 「第1 転倒位置」について
1 原告は,本件事故直後に実施した実況見分において,見分官が訴外安藤
の指示説明等に基づいて特定した山本車の転倒位置(乙第32号証の2の
赤丸の地点)が,オイル様のものが滞れた位置や中本車を闘ったチョーク
の位置から大きく離れているから,実況見分調書添付図面(乙第1号証の
1)における山本車の転倒位置は正確なものではない旨主張する(原告第
13準備書面第1第3項《1~2頁》)。
しかしながら,見分官が,山本車の転倒地点を特定した経緯は,被告県
ら第10回準備書面第2第1項(4)《5~6頁》で主張したとおりであり,
合理的疑義を抱かせる事情は認められない。
そして,甲第12号証写真番号19及び20(乙第1号証の1写真番号
19及び20)に撮影されている路面のチョークについて,山本車は,転
倒した地点から「3人の若者」によって「道路端に移動させ」られており
(乙第7号証の1,第4項《丁数147》),警察官らが,山本車の位置に
チョークで印をしたのは,山本車が転倒地点から移動された後であり,ま
た,同証拠及び乙第32号証の2に撮影されている路面のオイル様のもの
は,転倒地点から移動後の山本車から滴下したオイル等の液体であると考
えるのが合理的な位置にある。
よって,これらのチョークやオイル様のものは,山本車の転倒地点に関
係するものではない。2 原告は.本件事故直後に実施した実況見分において,見分官が訴外安藤
の指示説明等に基づいて特定した白バイの転倒位置(乙第32号証の1の
赤丸の地点)が,オイル様のものが漏れた位置よりも近いところにあるし,
被告県らが白バイを道路端に移動させた後の写真を提出しないから,乙第
32号証の1の赤丸が白バイの転倒位置かどうか分からない旨主張する
(原告第13準備書面第1第4項《2~3頁》)。
しかしながら,見分官が,白バイの転倒地点を特定した経緯は,被告県
ら第10回準備書面第2第1項(4)《5~6頁》で主張したとおりであり,
合理的疑義を抱かせる事情は認められない。
また,本件事故当日に撮影した,現場路面及び両車両を撮影した写真,
フイルム等については,すべて裁判所に送付済みである(第2回弁論準
備手続調書《2頁》)。
なお,原告は,本件事故直後に実施された実況見分における関係距離の
測定方法につき,「赤丸の中心は分かるが,もう他方の「中心まで」とい
うが.それがどこかは分からない。」と主張している(原告第13準備書
面第1第2項《1頁》)ので敷行すれば,実況見分調書(乙第1号証の1)
添付の図面における「ア~イ 4.3m」は,乙第32号証の1の赤丸(白バ
イの転倒地点)の中心から乙第38号証の赤丸(衝突地点)の中心までを
測定したものであり,「①~② 9.5m」は,乙第32号証の2の赤丸(山
本車の転倒地点)の中心から乙第38号証の赤丸(衝突地点)の中心まで
を測定したものである。第3 「第2 移動距離と県警の鑑定」について
原告は,「現場で測定もしていない県警の鑑定者が勝手に白バイの移動距
離を「5.35m」として,白バイの衝突後の速度を計算する県警の鑑定書
が信用できるはずがない。」と主張する。
しかしながら,古本鑑定人は,刑事訴訟法第223条第1項に基づき鑑定
の嘱託を受けたものであるところ,「物体の重量は,極小化していくと物体
の重心に収束するため,正確な物体の移動距離とは,重心から重心までの移
動距離のことになり‥・実況見分調書に記載されている移動距離は,衝突
地点から白バイの転倒地点までの距離であり正確な移動距離とは言えない
ため,より正確な移動距離を求めるために,図面上で衝突時の白バイ(2車)
の重心点から白バイ(2車)の転倒地点までの距離を・・・計測し,その計測
結果である5.35mを移動距離として計算式に使用し」たのであるから(乙第
29号証第2項(9)《8頁》),物理学的計算をするにおいて,より正確な数値
を用いて鑑定を行っている。第4 「第4 チョークの有無,平行な2本線の白線」について
原告は,本件事故当日に撮影された写真によって,「平行な2本線の白線」
が見えたり見えなかったりすることを問題にしている。
しかしながら,被告県ら第11回準備書面第2第1項(1)《2頁》で主張し
たとおり,被告県らは本件事故の翌日に路面につけたとするチョークに基づ
いて本件事故態様を主張しているものではないから,チョークの有無が本件
訴訟において問題とはならない。
また,被告県ら第11回準備書面第2第1項(2)《2~3頁》で主張したと
おり,見分官がチョークを引く前に撮影された写真にチョークの線が見えな
いことは当然であるし,撮影の方向や光の当たる方向が異なる写真において
そのチョークが見えにくくなることがあったとしても不自然ではない。
なお,被告県ら第11回準備書面第2第1項(2)《2~3頁》で主張したと
おり,甲第14号証の写真番号2の写真には,乙第34号証の3において赤
線で示した箇所にチョークが撮影されているから,本件事故当日にチョーク
がつけられていることは明らかである。
以上