アリエッティ

映画『借りぐらしのアリエッティ』を観に行った。

ジブリ作品に登場する女の子は、強さと好奇心を持っていて、でも危なっかしくて、そんなところが魅力的だ。とはいえ、この歳になって一人でアニメ映画を観に行くのも気が引けるということもあり、すべての作品を観に行っているわけではない。だが今回は、ポスターを見たときになんとなく興味を持った。

夏休みに入ったとはいえ、平日だからそれほど混雑してはいないだろうと思っていたが、映画館に着くと人でごった返す光景が広がっていた。それでも何とか席を確保することができたのは、シネコンに変わったピカデリーの２スクリーンで上映されていたからだろう。

物語は、小人の少女アリエッティと心臓の病を抱えた少年の翔との関係を軸に展開していく。２人の間に漂う淡い恋心が奇跡を起こす…などという展開はない。それを物足りなく思う人も少なくないだろうが、その潔い結末に魅力を感じる。ジブリ作品は、子どもももちろん楽しめるが、大人が観ればそれなりの楽しみ方がある。今も残る余韻は、そんな大人の切り口の部分が多くを占めている気がする。

子どもたちの感想を聞きたいという気持ちはなくはない。だが、今はこの余韻に浸っていればそれだけで満足だ。