


酒蔵/金光酒造
場所/広島県賀茂郡
使用品種/雄町
精米歩合/50%
アルコール度数/16度
720ml/¥1,620
購入月/8月
(公式HPより)
爽やかな香りと雄町米の深い味わいが、食との相性抜群です。
(某販売サイトより)
香りは控えめとはいえ、きれいな吟醸香が存在感をアピール。
爽やかな酸味と雄町らしい懐の深い甘さとコクが感じられ、お米の旨味がしっかり伝わってきます。
食中酒としての実力も、さっぱりしたものからしっかりした味のものまで幅広く併せることができ、さらにお酒の実力が幅がついたように思いました。
(名前の由来)
金光酒造のある地区を表す「賀茂」郡と、若き蔵元・金光秀起さんの名前から「金」と「秀」を取ったそうです。
【感想】
いつも買いに行くお店の、いつもの店員さんに、僕はよく「ぴちぴち系が飲みたい」と注文します。
舌の上でシュワシュワと軽く弾ける感じのするフレッシュなタイプです。
それは例えば、九平次だったり、作プロトタイプMだったり。
もう大好物です。
今回はじめて紹介されたこのお酒も、そのひとつ。
かなりおいしいお酒でした。
九平次にそっくりだけど、こちらの方がコスパが良いですね。
(蔵元の詳細)
●広島の若き蔵元、金光秀起
広島県西条地区から少し離れた黒瀬町。ここに賀茂金秀を造る金光酒造が位置しています。金光酒造の創業は明治13年。以降「桜吹雪」をメインブランドとして販売していましたが、平成の時代に入っても普通酒を中心に造っていた蔵元であり、年間製造量は300石という小規模の生産量であったため、全国有数の名醸地である西条地区を擁する広島県において、金光酒造は高いポジションに位置する酒蔵ではありませんでした。
『それで良いのか?』そう疑問を感じたのが、金光酒造5代目に当たる、当時28歳の金光秀起さんです。秀起さんは東京農大の醸造学科を卒業後、小規模な酒蔵であるからこそ、品質重視の少量生産をするべきと考え、卒業後すぐに蔵に入り、自力で吟醸酒造りにチャレンジを開始しました。
●賀茂金秀」誕生
数年間の試行錯誤を経て、ようやく納得できるレベルの純米酒、純米吟醸酒を造れる迄に至った秀起さんは、その2種類のお酒を持って地元広島の実力地酒専門店へ向かいました。「新規取引に至るまでは3年はかかる」と噂される地元有力店で評価をされなければ、東京には出ていくことは出来ない、と考えたからです。この判断は正解でした。恐る恐る飛び込んだ広島の酒販店の反応は、秀起さんにとって予想外のもので、「このレベルなら直ぐに取り扱ってよい」と上々の評価。さらに、東京の地酒のプロデューサーを紹介することを申し出てくれました。その後、全国市場で戦うための最終仕上げが施され、金光酒造のある地区を表す「賀茂」郡と、秀起さんの名前から「金」と「秀」を取り、「賀茂金秀」と命名されました。
●強豪ひしめく西条地区で堂々1位
この蔵の注目すべき点は、吟醸蔵としての基盤が全く無いレベルから、金光秀起さんが進んで蔵の改革を行い、現在に辿り着いた点です。賀茂金秀は静かに確実に全国の名のある地酒専門店に認められていき、徐々にその名を知られるようになっていきます。取扱を開始した当初から、何かしてくれるような期待が感じられる蔵元です、と紹介していましたが、2010年、賀茂金秀は快挙を達成します。毎年全国新酒鑑評会が行なわれる前に、広島県西条地区ではこの地区の酒蔵を対象にした品評会が行なわれます。西条地区は古豪や大手蔵が多く並ぶ、全国有数の大酒造地帯であるため、毎年非常に高いレベルで競われるのですが、その並みいる強豪を押しのけて、賀茂金秀は堂々首席1位を獲得しました。現在では全国新酒鑑評会の上位入賞常連蔵の1つであり、出来の良い年には西条の鑑評会や広島県の鑑評会とのダブル金賞を獲得することもある実力蔵に成長しました。まだまだ規模は小さいですが、これからの活躍が楽しみな酒蔵です。