【 exactly just when or how 】 そんなわけで、2020年代最初の「かけら化」対象曲は「The Sound Of Your Cry」になりました。1970年6月4~8日のナッシュビル”マラソン”セッションの初日に録音され、その曲調などからしてLP「That's The Way It Is」に収録されていてもおかしくはなかった歌に思えるのですがそこには収録されず、LP「Elvis Country」にも収録されず、続く「Festival」なるアルバムに収録予定となるも、アルバム自体が没企画となり、「Festival」によく似たLP「Love Letters From Elvis」からも外され、1971年9月にシングル盤B面曲として発表されるも、シングル・チャート100位にも届かない歌となってしまいました。 「The Sound Of Your Cry」の作者は「Giant / Baum / Kaye」であり、FTD「Writing For The King」に載せられた同作家チームの作品を邦題にしてみると(↓)、「お気楽」なイメージの歌が並んでおり、「The Sound Of Your Cry(君のすすり泣き)」は、「サントラ曲向け作家チーム」の作品だからこそ軽々しく扱われて、「先送り、先送り」のリリースになってしまったのではないかと思ったのですが、どうやらその考えは間違っているようで・・・ |
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おいらの世界 恋の野獣 アスク・ミー 浜辺の小屋 早く抱いて 夜の町 邪魔をしないで ドゥ・ザ・ベガ ダウン・バイ・ザ・リバーサイド エッジ・オブ・リアリティ 悲しき闘牛士 今宵はショーボートで 若者よ、東へ行こう 恋の面影 砂の家 |
僕を縛らないで いとこ同志 まぼろしの君 ナイト・ライフ 両手に花だが ワン・トラック・ハート ハワイアン・パラダイス プランテーション・ロック いたずら仲間 わが愛のちから クイーニ・ワヒニのパパイヤ 青春カーニバル かゆい背中をかき合おう 叩けタンブリン |
ここはゴキゲン サウンド・アドバイス 春は悩まし 恋はストップ 愛はやさしく 君のすすり泣き 山には素敵な娘がいっぱい ここは天国 恋の讃歌 聖者の行進 チャンスを逃すな 狼コール ストップ 悲しき悪魔 |
・・・「Giant / Baum / Kaye」の作家チームがエルヴィスに提供した最後の歌となった「The Sound Of Your Cry」は、実はエルヴィスのインスピレーションが作家チームに伝えられ、生み出された歌だったと、FTD「Writing For The King」に解説されているのです。つまり、マラソン・セッションの初日に歌われ、シングル曲として発表されることが大前提だったであろうに、LP「Elvis Sings The Wonderful World Of Christmas」の発表時期と重なったシングル盤B面曲の扱いになってしまった「可哀そうな歌」だったわけです。1971年3月のナッシュビル・セッションでエルヴィスが掲げた「フォーク・ソングのコンセプト」が遮られ、事態が「悪い方、悪い方」に向かった経緯は、「かけらページ」に置いてあるFTD「Love Letters From Elvis」のライナーノーツ翻訳を参照してみてください。
【 it was wrong to start 】 「日々是エルヴィス」にも書いたように モノラル・シングルは3分15秒hほどで、 最初のステレオ・バージョン(→)は4分2秒ほど でしたが、その後5CD「70's Masters」などで発表された「The Sound Of Your Cry」は「3分15秒ほどのステレオ・バージョン」になりました。しかしそれらのバージョン違いに無頓着なレコード会社の姿勢が、日本版解説書に見られたのです。 3分15秒バージョンはエンディングの繰り返し("Sleep my love ~")が、4回目の途中でフェイドアウトしますが、5CD「70's Masters」の日本語解説書には * Repeat 6 times (* 6回繰り返し) と書かれてしまったのです。この間違いの理由を推測しますと「ステレオ・バージョンが収録される」と知らされていた日本版解説書担当者が、LP「Greatest Hits Volume 1」で発表された4分2秒ほどのステレオ・バージョンが用いられると勘違いをして「* Repeat 6 times」と書いてしまった可能性があると思います。ですからおそらくLP「Greatest Hits Volume 1」の歌詞カードにも同様の説明があったのであろうと・・・ あらら、LP「Greatest Hits Volume 1」をレコード棚から取り出し、調べましたら「Repeat」という表現があるもの「6 times」とは記されていませんでした。おそらくLP「Greatest Hits Volume 1」収録の「The Sound Of Your Cry」を聞き直し、「繰り返し6回」と確認したために起きた間違いだったのでしょう。まあ、そもそも5CD「70's Masters」のボックスやオリジナル解説書に各トラックの収録時間が記されていなかったために、確認作業の時間が取れなかった中では、致し方無かったミスだったのかも知れませんね。 それに対し、2008年発売の日本盤紙ジャケ「Elvis Now」収録の「The Sound Of Your Cry (Monaural Single Version)」に見える「繰り返し6回」の記述については、単にチェックを怠ったミスとしか言いようがありません。 昨年末に発売されたFTD「The Elvis Is Back! Sessions」のCDにはノイズが混入し、FTD「The Making of Viva Las Vegas」のCDはトラックの割り振りを間違えて、曲の途中に「スキップ信号」が反応してしまうなどのミスを繰り返す「エルヴィス周りの環境」は、なかなか改善されませんね ![]() そんなわけで ![]() |
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