Not doing,but being ~在宅緩和ケアの普及を目指して~

より良い在宅訪問診療、在宅緩和ケアを目指す医師のブログ

死の2週間から1週間前の兆候

2010-06-01 06:40:47 | 旅立ちー死を看取る
2.死の2週間から1週間前の兆候

 (1) 見当ちがい

 この時期は大部分は眠って過ごすことになります。目を開け続けることが
できにくくなるようです。
 しかし、誰かの刺激によってその眠りから目覚めることは不可能です。
文字通り新しい世界に足を踏み入れかけているのです。

 混乱がしばしばみられ、実在しない人と話したり、分からない場所や
出来事について話をしたりします。亡くなった家族に会ったり、会話を
したりすることがあります。

 寝具を引っ張ったり、興奮して手を動かしたりすることがあります。
意味がないようなからだの動きがみられたりするかもしれません。
この世界から次の世界へ焦点が移っていき、この世に対する基盤を失いつつあるのです。



 (2) からだの変化

 からだを維持する能力を失いつつあることを示す、からだの変化が現れてきます。

 多くの場合、血圧が下がります。

 心拍数が変化します。普通は1分間80回くらいですが、150回を超える
ほどにまで増えたり、反対に減ったりします。体温は上がったり下がったりして、
変動します。

 汗を多くかくようになります。多くの場合、じっとりとします。

 皮膚の色が変わります。発熱して紅潮したり、寒気とともに青ざめたりします。
 黄色がかった青白い色は、死が近づくとよくみられます。
(黄疸とまちがえないように)

 爪、手、足は青ざめたり、青白くなったりします。これは心臓が
からだの中の血液を、これまでどおりに循環させることができなくなったためです。

 呼吸の変化も起こります。呼吸は1分間に16回から20回が普通ですが、
1分間に40回から50回にまで増えたり、反対に1分間に9回から6回
までに減ったりします。

 あえぐような呼吸をしたり、息を吐くときにくちびるをブルブル震わせたり、
呼吸のリズムが止まったり再開したりすることがあります。これらは、
一般に眠っているときに起こります。

 たんが増えることがあります。そのために肺やのど元でゴロゴロと音がします。
 せきが出ることもありますが、一般的にせきをしてもこの症状はよくなりません。
 呼吸の変化やたんが増えることは、現れたり消えたりします。
 これらの兆候は現れたかと思えば、そのすぐ後にはすっきりとおさまる
ということがあります。

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呼吸や脈が速くなると、何か起きているのではないか、苦しくないかと
心配になると思いますが、これを読むとそうではなく、死に向かう自然
な過程なのだと気付くと思います。

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは こたろう先生。 コメント頂いていたのに申し訳有りませんでした。 あの後 母の調子が悪くなり 携帯に向かう事が出来なくなって… それから 一週間後危篤となり救急車でいつもの病院へ… 神様から 少し時間を頂いて ホスピスへ… モルヒネを注射してもら (リエ)
2010-06-01 15:05:09
私がうとうとした時に 母は黙って逝きました。母に有難うって 言ってあげられなかった…
うとうとするんじゃ無かった…
ちゃんと 見送りたかった…
家から送ってあげなかった事も…後悔ばかりです

心の準備はしていたつもりで居たのに 駄目ですね…

私は今からどうすればいいのか… この一年 在宅で母が中心だっただけに 何をしていいのか判らなくて…

すみません…
先生にこんな話し…
一人で 乗り越えなきゃいけないのは 分かって居るのですが…

つらくて…
涙が止まらないんです。

本当にすみません…
なんとか 一人で頑張ります。

有難うございました。
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Unknown (nino)
2010-06-02 21:41:17
はじめまして、ICU関連で検索しましたら
こちらにたどり着き、記事を読ませてい
ただきました。

「死の2週間から1週間前の兆候」の
タイトルに正直驚いたのですが、人の死
を看取る、ということへの理解において
わかりやすく記述されているのですね。
現実は個人差が多いと思いますが、不用
意な怖れから現実へ、の看取る人への
配慮も感じられました。

また、訪問させていただきたいと思いま
す。

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Unknown (こたろう)
2010-06-04 11:21:00
>リエ様

そうでしたか。お母様のご冥福をお祈り致します。辛いところ、わざわざ御報告有難うございました。最期の瞬間に立ち会えるかどうかは、家族の力ではなく、運。あるいは神様のご判断と言えるかもしれません。めずらしく会いに来た親戚がその瞬間に立ち会えることもあれば、何ヶ月も付き添った御家族が立ち会えない事もあります。トイレに、食事に行っている間に亡くなってしまう事もあります。リエさんのせいではありません。悲しみはすぐには癒えませんが、お母様の一番の願いはリエさんが幸せに過ごすことだと思います。くれぐれもお体を大切になさって下さい。
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Unknown (こたろう)
2010-06-04 11:23:33
>nino様

ご訪問、コメント有難うございます。
この素晴らしい文章は私が考えたものでは
ないのです…すいません。
ですが、とても大切なことが優しい言葉で
書かれていると思います。
またいつでもいらして下さい。
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