10月、11月はオオハクチョウの生態を観察するには最高の時季です。根室地方では
本州に越冬のために渡って行く間、約2か月半滞在して行きます。
おばんです。小太郎でごじゃります。
★ オオハクチョウ・塩類腺 ★
野付湾に集まってくるオオハクチョウは警戒心が強く、接近しにくく、いつも遠目に
いることが多いのです。それでもチャンスを願い通っていると近くまで寄ってくる
個体がいるものです。
上げ潮になり、それまで離れたところでアマモを食べていたオオハクチョウが2羽、
食べていた場所が深くなり、私が待ち受けていた岸辺に寄ってきました。ヒナを連れて
いない番いです。
水位が急速に上がってくるので、頭を水の中に入れ、くちばしが底に届くところを
求めてきています。とうとう10メートルの近くでアマモを採りだしました。
頭を水に突っ込み、逆立ちをするみたいに体を立てます。尾羽が垂直に鮒釣りの浮き
みたいに立っています。2羽が同時にアマモを採りだすと、ツインの島みたいです。
水の中で採ったアマモを食べ、頭を上げ来て、くちばしをバシャバシャして水を外に
濾しだしているように見えます。
その時に気づいたのは、両目の上がふっくら膨れているように見えるのです。眼窩の
上です。写真を見た宮城県伊豆沼・内沼環境財団の主任研究員、嶋田先生から問い合
わせがありました。
淡水で生活しているオオハクチョウに比べ、海でアマモを食べているオオハクチョウの
頭部はふっくら膨れている傾向にあるというものです。
そこは塩類腺があるところです。塩類腺は過剰な塩分を涙として排出する機能があります。
海鳥は海水を飲んで水分を補給し、目の近くにある塩類腺から過剰な塩分を涙として排出
していると言われています。
海水に生息するアマモを食べるオオハクチョウの塩類腺も同じような機能が働いている
可能性があるかもしれません。
淡水域と海水域で食べ物を調達するオオハクチョウの環境適応。
近くに来たオオハクチョウの眼の上の膨らみを見て考えてみました。
僕が初めてオオハクチョウを間近に見たのは、下北半島の大湊でした
その時は、もうちょっとで触れるくらいに寄ってきたので、驚いた記憶があります
(45年前のことです)