往復の行きと帰り路の両方で、ぶつぶつ独り言を言うオッサンとすれ違った。
往路の方は、いわゆる、ひたすら世の中だか特定の誰だかに対する不満を言い続けているタイプで、すれ違いざま「はッ、しょうもな!」とつぶやかれたので、なんだなんだ、何だこのオッサンと思ったけれど、そのまま続けてぶつくさ言いながら去っていったので、ああ、いわゆるの人ね、と放置。
帰りの方は、やはり文句だか不満だかがあるけれど、それの出し方が異なるタイプで、しかもブツブツでなくかなりハッキリした声でもって
「そやからな、ワシが言うたようにしたらよかったんや!」
…はい?
私に…では…ないですね?
ケータイは持って…ませんね…。
同一人物でもありませんね…。
なにげに行きのオッサンと帰りのオッサンの間で会話が成立している。
今回は30分以上間が空いていたけれど、もしかしたらこの二人、同時刻に同じ場所にさしかかるコトもあるかも知れない。そうすると完璧な独話なのにも関わらず、完璧に会話になってしまう現象が起きるわけだ。すごい奇跡なんだけど、まったくもってそうは見えない、みたいな現象が。