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『スクワッド 荒野に棲む悪夢』 その叫びは、魂を切る!

2012年09月17日 | 怖かった映画

英題:El Paramo
2011年・コロンビア/アルゼンチン/スペイン(100分)
               
監督:ハイメ・オソリオ・マルケス
出演:フアン・パブロ・バラガン、フアン・ダビド・レストレポ、
   アンドレス・カスタニェーダ ほか

鑑賞日:2012年9月13日 (渋谷)

シアターN渋谷で9月21日(金)まで限定のロードショー。
南米コロンビア産のパニック・スリラー
『スクワッド 荒野に棲む悪夢』と『ヒドゥン・フェイス』を観た。
ここでは、
異色のミリタリー・ホラー『スクワッド 荒野に棲む悪夢』の感想を!

<ストーリー>
 1964年に発生した内戦によって、
 いまだ政府対反政府ゲリラによる緊迫状態が続くコロンビア。
 ある日、山間部のナイフ・ピーク基地との連絡が途切れてしまった。
 ゲリラの襲撃によるものと判断した正規軍は、
 サンチェス中将にブラボー3小隊8名を率いさせ、
 連絡の途絶えた基地へと向かわせた。

 果たして、
 霧が出てきた山頂の基地にたどり着くと、
 駐留しているはずの兵士の姿はなかった。
 血にまみれ静まり返った基地内は、通信機器も壊れ、
 壁の裏側に閉じ込められ鎖でつながれた女性が1人と、
 血に汚れた日誌が残されていた。
 日誌には驚くべき内容が記され、
 9人の隊員たちは極限状況の中で疑心暗鬼にとらわれていく。

 なぜ基地の兵士は消えてしまったのか?
 囚われていた女は、
 ゲリラの一味か?狂人なのか?それとも・・・?

 霧が立ち込め、孤立した基地内。
 いつゲリラが襲って来るかもしれない緊張状態の中で、
 ブラボー小隊9名は、次第に目には見えない何ものかに、
 蝕まれていく・・・。


重く、息苦しい緊迫感が延々と続く。
そんな印象の映画。

だが、この息苦しさこそ、
半世紀も内戦が続いているコロンビアそのものを
あらわしているのかもしれない。

基地に囚われていた女が何者かは、明かされることがない。
だが、女が何を意味しているのかは、
全身が総毛立つようなラストシーンで、
否応なく知ることになる。

重苦しさ:★★★★★★★★★★★★
息苦しさ:★★★★★★★★★★★★
不気味さ:★★★★★★★★★★★★★★
正体の不明さ:★★★★★★★★★★★★
コロンビアの闇に棲む悪夢:★★★★★★★★★★★★★★★★

鑑賞後の総合評価:★★★☆

その叫びを耳にした瞬間、魂を切り付けられたかのように感じ、
総毛立った!

この作品は、ハリウッドでのリメイクが決定しているようだ。
となると、舞台はアフガニスタンか?それともイラクか?


余談:
内戦が長く続けば、結局国は疲弊し活力を失うのは目に見えている。
2011年1月から混迷が続くシリアの現状も、
出口が見えないまま事実上の内戦状態が続き、
すでに2万3千人以上が死亡していると推定されている。

取材中だった日本人女性ジャーナリストが、
この内戦の犠牲者となったことは記憶に新しく、残念でならない。

政府軍側と反政府側の交戦は激しさを増し、
今後も犠牲者の数は増え続けるだろう。

仮に収束したとしても、
失われた多くの命が戻るはずもなく、
同じシリア国民同士で殺しあった事実は消せるはずもなく、
シリアに生きる人々の心に刻まれた深い傷は、
決して癒されることはないだろう。

暴力による物事の解決は、
本当の解決ではないことをわたしたちは知っているはずなのだが。

『スクワッド 荒野に棲む悪夢』のラストに響く絶叫は、
内戦により失われた多くの魂たちの叫びに聞こえて仕方がない。

 



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