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『SP 野望篇』 SPはESPの間違いでは?

2010年11月24日 | ???だった映画

原題:SP 野望篇    (G)
2010年・日本(97分)
               
製作:亀山千広、藤島ジュリー景子
監督:波多野貴文
原案・脚本:金城一紀
音楽:菅野祐悟
出演:岡田准一、真木よう子、松尾諭、神尾佑、堤真一、香川照之 ほか

鑑賞日:2010年11月22日 (川崎)

鑑賞前の期待度:★★


11月22日は、いい夫婦の日。

しかも、109CINEMASでは、
毎月22日は、
夫婦&カップルはひとり1000円で観られるというので、
妻のリクエストで『SP 野望篇』を観て来ました。
TVドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』のファンだった妻は、
とても楽しみにしてたようです。

一方、ぼくはと言えば、このドラマを見ていなかった上に、
そもそも、
「TVドラマと映画は、まったくの別物。」と思っているので、
興味はなし。

しかし、11月22日は、いい夫婦の日。
妻の機嫌を損ねたくなかったので、リクエストに付き合うことに。

良い意味で「ぼくの予想を裏切って欲しい。」と切に願いつつ、劇場へ。

解説によれば、

 特殊能力を持つ主人公のSPやその仲間たちが、
 テロリストたちと戦う姿を描いたテレビドラマの劇場版。
 2部作のうち「野望篇」の本作では、
 東京で勃発した大規模テロ事件に立ち向かうSPたちの活躍を描く。
 主演の岡田准一、堤真一、真木よう子らのレギュラーメンバーのほか、
 大物国会議員役で香川照之が出演。
 見所は、
 2年間かけて肉体改造と格闘技術の修練を行った岡田の本格的アクション。

                                ということらしい。

果たして・・・


「あれれ? 岡田君演じる井上は頭痛か? 何だかオカシイぞ。

 おーーーっと! いきなり六本木ヒルズが、大変なことに~~~!!
 
 じゃないの?・・・へ???これって、何?」

と、思う間もなく、現場を離れテロ未遂犯を追いかけ出す岡田君。

「おいおい、それってSPの職務とは違うんじゃ・・・

 おーーーっと!!アクション、凄いよ!岡田君やるねぇ~。
 
 それも、かなり本格的な格闘技だ。凄い、凄い!!

 おお、やるな!!

 こりゃ、案外面白いかも・・・」

と思った冒頭のアクションシーンまでは、まだ耐えられたのですが、
ストーリーが動き始めると、何だか、おかしな雰囲気に。

次々と頭に浮かぶ疑問を、隣で観ている妻に問いかけたい衝動を抑え、
「多分、すべては『革命篇』に続く布石なんだろうな。」と信じ、観続けることに。

嗚呼、それなのに、それなのに!
後半のクライマックスは、ストーリー以前に、設定自体がツッコミどころ満載。

気がつけば、岡田君演じる井上は、
なんと!!“格闘能力に長けたGPS機能付き予知能力者”というマンガ的キャラに!(“シンクロ”と呼ぶらしいことは、後で知りました。)

たしかに解説にも“特殊能力”とは書いてあったけれど、
そこまで出来たら最早“超能力”。
タイトルの『SP』は、『ESP(エスパー)』の間違いじゃないのかと、
ツッコミたい気持ちをグッと堪え、
今日は、いい夫婦の日。
 
せっかく妻が楽しみにしていたのだから。」と尚も我慢し、観続けることに。

しかし、
思わず漏れそうになる失笑も、
周囲の観客への遠慮もあり押し殺さなくてはならず、息苦しい息苦しい。
そのうち横隔膜が裂けるんじゃないかと心配になり始めた頃、
ついには警棒で鉄パイプ爆弾を打ち返す始末。しかも、クリーンヒット!
「なんだ、原作は少年マンガだったのか。」と、勝手に解釈し、
明らかにウケ狙いの演出に思わず手を叩いてしまいました。
こうなったら、ボウガンの矢も素手で掴んで欲しいという願いは、
残念ながら適わず。

そうこうする内に、ようやく迎えたエンディング。
ホッと安堵したぼくの眼に飛び込んできたのは・・・!??
なんと“エピソード V”の文字!
「第5話だったのか~~~~!!」
そりゃ、ドラマ見てなきゃ話にならんワケだ!

結局、この作品は、
人気テレビドラマの最終回90分拡大SP(スペシャル)前編であり、
それをスクリーンで見せられただけということのようです。


それにしても、さすがにこの作品は如何なものかと、妻に問いかけたところ、
「TVはもっとリアリティがあったんだけど・・・」と、妻も困惑気味。
しかも、激しい映像の切り替わりに酔ってしまい、
せっかくのいい夫婦の日も、散々な結果に。

冗談抜きの感想としては、
出演者は全員頑張ってました。彼らには拍手を送りたいです。
特に主演の岡田君は、この映画のために2年間も準備に費やしただけあって、
体を張ったアクションも見応え充分。
格闘シーンも本格技で、迫力と説得力がありました。


問題は、この作品が最終話・革命篇へと続き、これで終わりではないということ。
リアリティがあるのかないのか判じかねる微妙な公安の存在や、
いくら深夜とはいえ、
首都東京の住宅街で、自動車やバイクがぶつかり、銃が発砲されても静まり返っている不思議や、
都会の真ん中で、鉄パイプ爆弾が爆発し、車や信号機が吹っ飛んでも、
パトカーの1台も駆けつけず、サイレンの音さえ聞こえない奇妙さ、
突然意味あり気に現れたカラスの謎など、
全ては最終話で明かされるのだろうということ。

納得のいかないことが多すぎて、
とても
映画作品とは思えないけれど、こうなったら革命篇も観ますよ。


なので、
鑑賞後の総合評価:★(映画作品としての暫定評価です。)

                           


余談ですが、
作品の中で「北朝鮮による弾道ミサイルが発射された」のセリフを聞いた翌日、
11/23に起きた北朝鮮から韓国への砲撃のニュースは、衝撃でした。



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