農園の周囲には小さな森が広がっている。所有者は師匠宅と我々が関与する地主殿だ。ザクッと分類すれば、檜林と雑木林は師匠の所有、竹林は地主殿のお一人だ。重宝するのは地主殿の竹林、我々にとっては資材庫みたいな存在で、有り難く活用させてもらっている。農作業には各種の資材が必要なんだが、竹で賄える部分が多々存在するものだ。従って、時たま竹林に入り必要な素材を調達させてもらっている。竹の品種は「真竹」、古来より我が国に存在し、彼のかぐや姫の舞台ともなった竹林も真竹の森であったと思われる。
真竹は我が国の固有種みたいで、昔から竹細工の素材として利用されてきた。近隣では富田林市に多くの竹細工職人が存在し、原材料の真竹を必要としたようだ。当村も材料基地としての役割を担って来たのだろう。長く続いた伝統産業も廃れてしまったようだが。真竹の特徴は孟宗竹に比べ柔らかくて加工が容易な点であろう。竹細工の素材とされた所以でもある。
真竹の特徴は我々にも喜ばしい。上述のように時折頂戴して加工するのだが、素人にも容易に加工しやすい。孟宗竹の固さに比べれば何とも有り難い特性だ。しかも再生産が可能で、切り倒した後放置してても翌年は再び伸びてくる。まさにSDGs的な存在で、時代を先取りした素材なのかも。
真竹の利用は主に野菜類の添え木の役割やネット構築の支柱としての役割である。とりわけマメ科の栽培には竹の存在が非常に役立ってくれる。まさしく竹無くしての野菜栽培など考えられないだろう。こうした利点の多い竹だが、,反面弊害も存在する。竹はご存じのように地下茎で増殖するのだが、周囲を考慮すること無く増殖していく。結果、竹林をはみ出して耕作地の中にまで侵入し、栽培を妨害するのだ。地下深く侵入するので気付きにくく、手遅れとなってしまうことも少なく無い。
竹の長所・短所を知りつつうまく活用すれば非常に有効な資材となってくれる。地下茎の侵入を防御しつつ、効能面をうまく活用していきたいものだ。放置すればヤブ、活用すれば資源・・・・・・・せっかくの天からの贈り物なのだから。