国語屋稼業の戯言

国語の記事、多数あり。国語屋を営むこと三〇余年。趣味記事(手品)多し。

置いてきた本たち

2021-05-23 09:28:50 | その他・雑文

●一部の方から厚いと売れないので、本を置いていったということを書いたところ、それらの本を知りたいという方がいらしたので、恥ずかしながらここで公開。原則として本棚一列近く(かそれ以上)を制圧している本を記す。

●新書版の類いは抜かしてあるが文庫版は残しているものもある。

●いずれにせよ、売りに出す暇がない。兄が一度、本棚を古本屋に見せてめぼしいもの(本居宣長、上田秋成、橘守部、柳田國男らの全集)を持っていったので、あとは古本屋がめんどくさくてか、なぜかしら置いていかれたものを以下に。なお、原則として小説は飛ばしている。

●いきなり、原則の例外であるが、筒井康隆。この方で読書の楽しみを知った。最初に多読した作家。『やつあたり文化論』というエッセイ本から入ったのが良かったか。読書=感想文の課題であった自分の蒙を啓いてくれた方。

●小室直樹。新書版を含めると最初に多読した学者。大学一年の夏休みの頃か。新書版を含めると一日一冊ペース。夏休み中に彼を多読したことを会計学、近代経済学の先生から褒められた記憶がある。社会科学の基本を知った。

●小室直樹氏の関連として橋爪大二郎。自分にとって難しい本に初めて手を出した本である。たしか『民主主義は最高の政治制度である』という本(題名は違うかもしれん)は『銀河英雄伝説』とともに私の民主主義びいきを確定させた。ちなみにこれは易しい良著。社会学という学問を知るきっかけの人。かなり偏っていますね。大沢真幸の本が隣に少々並ぶ。

●栗本慎一郎。人類学という言葉を意識させてくれた方。また、いわゆる現代思想にも触れさせてくれた方。かなり偏っているが、多読した。大学二年の頃か。本棚の同じ列に吉本隆明、柄谷行人、蓮實重彦などあり。いわゆる現代思想にかぶれていたなあ。今じゃ読めんよ。いや、当時ですら読めていたことやら。また、人類学としてエドマンド・リーチの著作が複数あり。「粛慎の沈黙交易とアマテラスとスサノオの誓約 」の構造主義的発想を企んだ(企んだだけで論文にしなかった)のはこの頃か。

●今村仁司。社会科学と現代思想の中間に位置していたか。難関模試に使用したことあり。まあ、あんなわけのわからない文章に昔の中学生は立ち向かっていたんやなあ。

●野口武彦。江戸思想全体の見取り図を与えてくれた。この方がいらっしゃらなかったら、江戸思想史に挑戦できたかどうか。

●鎌田東二、荒俣 宏。神秘学、日本思想史を意識する。鎌田東二氏には直接会い、薫陶を受ける。現在は縁がなくなってしまったが。

●小松和彦、赤坂憲男。民俗学などを学ぶ。おおざっぱすぎるけど。両者から「異人」論を学んだのは影響大。ゼミ論を「江戸時代の富の分配による憑きもの筋の発生」にしたのはこれの影響か。モデルを作って説明したのに先輩方に経済学とみなされなかった記憶がある。教授は厚生経済学の一種として一定の評価をくれた。

●その他、フリーライターごっこをしていた頃の資料多数。

●なかなかの品揃えだと思うんだがなあ。古本屋のけち。


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