ゆらぎつつゆく

添島揺之歌集。ツイッター感覚で毎日つぶやきます。色調主義とコラボ。

草の穂は

2018-01-14 03:09:33 | 資料

宮沢賢治に興味を持ってみた。

草の穂はみちにかぶさりわが靴はつめたき露にみたされにけり    宮沢賢治


なんということはない歌のように見えるが、読後に鮮やかな感覚が残る。

実際、冷たい露に満たされた靴を履いていた時の感覚がよみがえる。それはさわやかなほどだ。

言葉だけではない。作家が感じた霊魂の感動が染みわたっているのだ。

露に濡れた靴を感じた作者が、そののちに空をも見るような動作さえ思い浮かぶ。この人はこれから試練の道に踏み込んでいくのだ。

作者の大きさを感じる作である。


露むすぶ荒野の草を分けつつもゆふべの空に照る星を見る    揺之




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